会社を辞めたい。
ここにいても、自分を活かせない気がする。
転職したほうがいいんじゃないか……。
そんなふうに思うときは、ありませんか。
もやもやした気持ちを抱えたまま停滞している状況は、しんどいものです。
人は「役に立ちたい」「よりよくしたい」という貢献意識を持っているものです。
その思いを持っているのに実行できないでいる状態ほど、実は辛いことはありません。
自分が役に立てていないとか、自分自身を活かせていないと感じるのは、「本当はもっとできるはずなのに」という思いが根底にあるからなんですね。
「本当はもっとできるはずなのに」「本当はもっとやったほうがいいのに」という思いが強ければ強いほど、自分の力を発揮できていないことがしんどくなります。
「できていない自分」を責める意識が働いてしまうからです。
自分の力を発揮していたり、自分にできることをやれていたり、自分が役に立っている感覚を持てていたり、周りの人たちとうまくやれていたりしているときには、会社を辞めたいとは思わないものです。
「それができていないから、しんどいんだ」。
まずはそうに思ってみるといいかもしれません。
できていない自分を責めるのではなく、「できていないことがしんどいと思っている自分」の気持ちを受け入れてあげるのです。
「そっか、そんなに役に立ちたいんだね。周りの人たちとうまくやりたいんだね」。
そんなふうに自分の気持ちを受け入れてあげるのです。
場合によっては、「もううんざり。やってられない」という気持ちを抱えていることもあるでしょう。
理不尽に思えることが積み重なって「もうやってられない」と限界に達したのかもしれません。
そこにはずっと堪えてきた感情が、たくさんたまっているかもしれません。
悶々とした思いがあるのなら、まずは人に話してリリースしてみていただきたいんです。
「やってられない」と思ったことを誰かに聞いてもらって、受け止めてもらってリリースしていく。
自分をたくさんいたわってあげてください。
◆もう一度、自分から与えてみる
こんな会社辞めたいという気持ちになっているときに、その状態のまま辞めてしまうのは得策ではありません。
辞めるにしても、いったん態勢を立て直してからのほうがいいことが少なくないんです。
「こんな会社辞めてやる」と思うほどそこにいるのが嫌だとしても、その気持ちのまま辞めてしまうと敗北感や失敗感を抱え込んでしまうことがあるからです。
その辞め方だと「なんか負けてしまった感じ」がつきまとってしまうことが少なくないんですね。
仮に「負けてしまった感じ」を抱えたまま転職活動をしても、「この求人に本当は応募したい」というものがあっても応募せずにスルーしてしまったり、新しいチャレンジがしたくてもできなかったりしてしまうこともあります。
会社を辞めるにしても、自信を持って次に進めるほうがいい流れに乗りやすいんですね。
転職について「いまの会社が嫌だからという理由での転職は、おすすめしない」とよく言われているのは、このためです。
会社辞めたいという気持ちになっているときこそ、今いる場所で自分にできることをもう一度やってみることが実は大切なのです。
自分から一歩踏み出して、役に立つことをやってみるんです。
それは電話を率先して自分が取ることでもいいのかもしれません。
お客様や周りの人たちの役に立つことを自分からしていくのです。
間接部門の仕事なら、社内の人たちの仕事がスムーズに進むために自分にできることはなんだろうと、見つけてやってみる。
営業をしているなら、お客様に喜んでもらうために自分にできることはなんだろうと考えて、実行してみる。
企画の仕事なら、お客様の声に真摯に耳をかたむけてみる。
そんなことかもしれません。
仕事って、一つ一つはほんの小さなことなんです。
ある起業家は、「これをやったらこうなるんじゃないかと思ったことを、自分は全部やっただけ」と言っていました。
一つ一つはたいしたことないものだけど、自分は全部やってきただけ。
それを積み重ねてきただけなんだというんです。
そのくらい仕事って、一つ一つは小さなことなのかもしれません。
小さなことやこうしたほうがいいんじゃないかと思ったことを、自分からやってみる。
今いる場所で、やってみる。
そんなふうに役に立つこと、やったほうがいいと思うことを自分からやり続けるうちに、今いる場所でも手ごたえを感じ始めるかもしれません。
「いい仕事ができたな、自分なりによくやったな、ここでできることは十分やった」
そんなふうに思えるようになったときには、もはや「負けた感じ」はありません。
それどころか、今いる場所で「いてもらわないと困る人」になっていることも少なくないでしょう。
このまま続けることもできるし、新しい場所に移ることもできる。
そんな気持ちになれたとき、改めて転職するかどうかを考えてみる。
どちらでも選べる状態になってからのほうが、いい流れに乗って次のステージに移っていきやすいんですね。
転職活動をするにしても、自信を持って仕事を探すことができるでしょう。
「こういうことにチャレンジしたいから、それができる会社にいきたい」「ワークライフバランスを考えて、ライフに比重を置いている人たちが多い会社に移りたい」など自分はこうしたいという意思のもとに次のステージを見つけていけるでしょう。
逆境だと思うときほど、自分から一歩を踏み出して目の前のできることを一つ一つやっていく。
自分のほうから、与えていく。
それが、いい流れを呼び込むカギなのかもしれません。