自分では人に嫌われる要素は、まわりの人があなたを愛しやすくなる要素
こんにちは 平です。
彼は四人兄弟のいちばん下の弟で、とてもかわいがられて育ってきました。
ですから、彼は「人というのは、自分を愛し、かわいがってくれるものだ」と解釈しています。
自分にはいっぱいできないこともある、でも、それは“かわいいポイント”であり、そんな不出来なところもあるがゆえに、人は自分を愛してくれると彼は考えています。
実際、会社などでも彼は周囲の人たちにかわいがられます。
自分のダメなところを隠そうとはしませんし、いかに自分がダメなのかをおもしろおかしく話したりもします。
そんな彼をまわりの人は「ほんと、バカだなぁ、おまえ」と笑顔で受け入れてくれます。
彼が自分のダメなところを嫌わずに受け入れているので、まわりの人たちも同じように、彼のダメなところを愛をもって受け入れているわけです。
そして、ここにもう一人、同じく末っ子である彼がいます。
彼はみんなができることが、なに一つできないといつも自分を責めています。
彼は、お兄ちゃんやお姉ちゃんが当たり前のようにできることが、自分にはできないと評価しています。
その自分のダメな部分は人に批判され、けなされ、バカにされると思っています。
じつは、けなしたり、バカにしたりしているのは彼自身であるのですが‥‥。
そんな彼なので、どうしても見栄を張ろうとしたり、背伸びした生き方をしようとしたりしてしまいます。
ダメなところを隠したいがゆえに自慢話が多くなりがちで、まわりの人のことをちっぽけに扱います。
そうすることで、自分を誇張してみせることができると思っているからです。
しかし、自分のコンプレックスを隠そうとする行為は、まわりの人たちのコンプレックスをも刺激するものです。それをしつづけているということに彼は気づいていません。
当然、彼の元からは多くの人が去っていきます。彼といたって、いやな気分になるばかりですからね。
そして、その現実が彼のコンプレックスをより強化していくわけです。
さて、いわば対極ともいえるこの二人の彼が、私どものセミナーで偶然、出会ったわけです。
二人は“バディ”と呼ばれるコンビになり、数日間を一緒に過ごすこととなりました。
そして、いつものように、コンプレックスくんはかわいがられくんのダメなところを見つけると、それをバカにしたり、責めたりしたわけです。
が、かわいがられくんはこれまたいつものように、自分のダメなところを強調するわけです。
「そうなんだよー。ほんとに最低最悪。自分なんか、ミジンコ以下だよ」と平気で笑って受け入れます。
その彼の様子を見て苦々しく感じる、コンプレックスくん。
そこには、劣等感ばかり感じてきた彼がぜったいにしてこなかったもう一つの生き方が存在していました。
当然ながら、その劣等感を強調するような生き方を彼は嫌うわけです。
が、時間の経過とともに、その圧倒的なポジティブさに彼も魅力を感じるようになっていました。
そして、彼も自分の不出来な部分を隠すのをやめ、まわりの人にコミュニケーションするということを始めたんですね。
すると、コンプレックスくんが、まわりのひとからおもしろいと思われる人にどんどん変わっていったのです。
本人が自分が嫌っていた部分を受け入れるようになると、まわりの人も同じようにそれを受け入れるようになっていきます。
そして、「こいつ、おもしろい」とか「こいつ、ほんとにクレイジーだな」などと感じられるようになっていくわけです。
心理学に“自己開示”という言葉があります。
隠そうと思っている部分を開示していく度合いだけ、自分では人に嫌われる要素だと思っていたことが、まわりの人があなたを愛しやすくなる要素になっていくのです。
少しずつでもいいのです。
あなたが自分のことをだれかに話しはじめると、それだけ、あなたとまわりの人々との関係はよくなっていくようですよ。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!