いまのあなたを作っているもの

心のなかにある物語に気づく

こんにちは 平です。

最高のパートナーとめぐり会えた人、「相も変わらず、なにも起こらなかったわ」という人、そして、大事な人と別れ、失望の中にいる人‥。

人それぞれに異なると思いますが、ちょっとでもいいですから、あなたがいまおかれている状況を肯定してみましょう。

肯定?そうです。

つまり、いま、あなたがどのような状況であろうが、「どうも、私はそれを望んでいたようだ」と考えてもらいたいのです。

もちろん、頭では、「あんなに大好きだった彼と別れたかった」なんて、ぜったい思っていないと思われるでしょう。

でも、もし仮に、あなたの心の奥の奥の奥のほうでそう思っていたとしたら、それはいったいなぜなのでしょう?

じつは、このように「もし」とか「仮に」という仮説からスタートするのは、深層心理の力学を見つける方法の一つなのです。

よく、『願えば思いは叶います』とか『信じて願えば人生思いのまま』というような本がありますが、逆にそれがネガティブなことであったとしても、あなたのその現実は、じつはあなたの願ったことだったと考えてみるわけです。そして、「では、なぜ、私はこんなことを願っていたのだろう」と考えてみてほしいのです。

何度も言いますが、「そんなこと、願ってません!」とお叱りを受けるのは覚悟のうえですよ。それでも、ちょっと考えてみていただきたいのです。

ある女性は、ずっと憧れていた彼と2年つきあって、今年、別れました。

この彼女にこの質問をしたところ、やはり、「そんなこと、けっして思っていません! 彼とは別れたくなかった!」と泣きながらにらみつけられたわけです。

しかしながら、彼女が冷静になって、この「もし」、「仮に」について考え、答えてくれたのは、「彼のことがどんどん好きになり、もう、どうしようもないぐらい好きになってしまっていたので、別れられるとしたら、いまがギリギリいっぱいだったと思う」ということでした。

彼のことがあまりに好きだったので、万が一、ふられたとしたら‥‥という恐れが彼女の中にはいつもあったようです。

そして、つきあって2年たったころ、その恐れは、「これ以上、彼のことを好きになり、そして、万が一にもふられてしまったら、私は生きていけないし、やっていけないだろう」という思いをつくったようです。

そのため、「ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、私のことが好き?」とか「ぜったい、ぜったい、ぜったい、こんな私でも愛してくれる?」とか、彼を試すようなことばかりしはじめたようなのです。

それが、温厚な彼でさえ、うんざりとさせてしまう要因となり、「ウザイ私」を作り出したわけです。

さらに、それは、「もう、いい加減にしてくれ! なぜ、おれのことを信頼できない?」、と彼が言えば、「ほら、やっぱり、私のことなんか愛していないんだ!」と返すような大喧嘩を呼び、そして、別れたそうなのです。

冷静になった彼女は、こう言ってくれました。「これ以上、好きになってから別れたら、耐えられないので、その前に別れたかったんだと思う‥‥」

気づいてほしいのは、彼女のこの考え方の下に、「私を愛してくれる人など、だれもいないのではないか」という不安と恐れがいつもあったということです。これが土台となり、この別れの物語が作られたのです。

私たちの心の中には、なぜか、この彼女と同じような物語があることがよくあります。

「愛されない私」という思いにしがみつくあまり、「どうせ、捨てられるのなら、ずっと一人でいるほうがいい」とか「傷つかないために、期待しないでおこう」と人はよく思います。そして、そのネガティブな考え方が、あなたのいまの現実を作っていることも少なくありません。

ときには、「もし」、「仮に」と考えてみると、思いがけないことを発見することもあります。

ぜひ一度、お試しあれ。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。