“恥ずかしい”を彼に伝えることができたら
こんにちは 平です。
彼女は自分のことを「冷たくて、感情が動かない女」だと思い、日ごろから自らを責めていました。
客観的に見た彼女は「理性的で、冷静な女性」。
けっして冷たいという印象はないのですが、たしかに、喜怒哀楽をはっきり表現することはあまりありません。
もちろん、感情に振り回されたり、人前で泣き出したりするようなこともないわけで、そんな自分を「冷たい」と彼女は評価していたわけです。
「心にもないことは言わない」と言ったりしますが、私たちは心を伴わないことを表現するのは、嘘つきであり、よくないことだと思っています。
ある意味、それはその通りだと思うのですが、じつはそれは自分中心の考え方ともいえます。
たとえば、あなたがだれかのことをほめたら、ほめられた人はとてもうれしいですよね。
ここで彼女のことに話を戻すと、私どものところには、「彼氏ができたものの、私はほんとうに彼のことが大好きなのかわからない」というご相談でおみえになったのでした。
わからないといっても、週末、彼とデートをしているときや、彼の部屋に行って、ごはんを作ってあげたりするのがいやという感覚はまったくないわけです。
ただ、「愛おしい」とか「愛している」と心の底から感じられない、そんな自分はほんとうは彼のことを愛していないのではないかと考えてしまうのですね。
私が受けた過去のご相談を振り返れば、このケースは冷たいというより、「恥ずかしがり屋」の人に非常によく見られます。
で、彼女に言ってみたのです。
「彼に、“愛してる”とか“大好き”って言ってます?」
「そんな、心にもないことは言えません。彼に嘘をつきたくはありません」
「でも、おつきあいしてるんだし、そう言ってあげたら、彼はとっても喜ぶよ」
「でも‥‥、彼に嘘をつきたくないから、言えません」
私からは、彼女はこのセリフを言わないことで、自分の心をコントロールしているように見えました。
こんなふうに、自分の感情を抑えつけたり、隠したりすることが、彼女にとってはクセまたは習慣のようになっていたわけです。
そして、その抑えこむ力よりも大きな力で「彼が愛しい」という感情が湧いてきたときに、自分でそれを実感するのだろうと彼女は思っていたようでした。
そんな彼女に、私は提案しました。「不思議なものでね、“好き”って言った数の分だけ、彼のことを好きになるんですよ」
すると、「ほんとうかどうか試してみる」と彼女は答えてくれたのです。
1カ月後、彼女がふたたび面談カウンセリングに来てくれたときに、効果のほどを聞いてみました。
しかし、彼女は「まだ、一度も言えてません」と言うのです。
私が「言おうとしたら、すごく恥ずかしくなっちゃったんじゃないの?」と言うと、顔を真っ赤にして彼女は下を向いてしまいました。
そんな彼女に私は言いました。「いまのこれが“恥ずかしい”という感情なんだよ」
「恥ずかしいと自分を隠さなきゃって思うんだけど、この“恥ずかしい”を彼に伝えることができたら、きみの世界は変わると思うよ」
その後、彼女はついに彼に言うことができたのです。
「とっても、とっても、恥ずかしいけど言うね‥‥。あなたのことが、大好き!」
彼は大喜びしましたとさ。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!