不平不満は「愛してほしい」の不器用なリクエスト
不平不満や文句を言うばかりの人がいます。不満や文句は心理的には「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」「認めてほしい」などの不器用なリクエストです。不満を感じやすい人は、自分には力がないと誤解していて、自分からは行動しません。愛されにくい態度で愛を求めている人なのです。
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「なぜ○○しない!」「どうして○○しなかった!」「まったく○○なんだから」「なんで私ばかり?」「○○してくれればいいのに」「あの人ずるい」などと、尽きない不平不満や文句。本人は気分が悪いから吐き出すことでストレスを発散していますが、いつも聞かされる側の人は逆にストレスが溜まりやすいものです。
不平不満や文句が多い人はどんな心理で、どうかかわればいいのでしょうか。
◆目的は「わかってほしい」
不満や文句は「思い通りにならない」イカリの表現になりやすいので、直接言われる側は「責められた」「否定された」とダメージを感じます。ただ聞く場合も、聞いていて楽しい話ではないでしょう。
心理的に見ていくと、不満や文句は「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」との訴えです。悪い態度でのお願いであり、とても不器用なやり方で甘えているのです。
「何をわかってほしいのだろう?」「どう助けてほしいのだろう?」「どんなふうに愛してほしいと望んでいるのだろう?」などと、言葉とは異なる気持ちに反応しようとすると、うけとめ方が変えやすくなるでしょう。
たとえば、夫に「痩せろ」と文句を言われて「ダメ出しされた」と思うと腹が立ちますが、「妻にキレイでいてほしい」「妻に健康でいてほしい」と思っているのかもと脳内変換できたら、うけとめ方が違うでしょう。
◆「自分は力がない」という誤解
不満や文句は、誰かのせい・何かのせいと思う時に出てきます。この背景には「自分には状況を変えるだけの力がない」という無力感があります。「自分には力がないから誰かに何とかしてもらわなければならない」と依存的になるのです。
そして、「力がない」という誤解から、自分が挑戦することを避け、行動しようとしません。不安やオソレが先に立ち、「でも」「だって」「どうせ」と言い訳が多くなります。他人から不満を解消するためのアドバイスをされても、実行しないことがほとんどです。
また、「自分が不十分」と感じていると、それを補うために完璧さや正しさを求めます。不完全な人や行動に批判的になったり、自分が完璧にできないものは「一切やらない」と放棄したりします。
心理的には、自分が人に不満を持つ度合いだけ、「自分ができないと不満を持たれる」と感じます。不満を感じるほど、こわくなって動けないという悪循環が起こるのです。結果、人に対して文句を言うばかりになりがちです。
「自分は不平不満・文句が多い」と問題意識がある方は、小さなことからでいいので、とにかくチャレンジしてみることをお勧めします。
たとえば「子供を持って親の気持ちがわかった」と言われるように、依存する側から依存される側(与える側)になってみると、「うまくできない理由」が理解できるようになります。相手の立場や気持ちを考えられるようになると、不満は減らせるでしょう。
◆承認を求めている
不満や文句が多い理由に、「充分認められていない」「もっと認めてほしい」と思っている場合があります。
「これだけの仕事をしているのに評価されない」「できて当然と他の人より仕事量が多い」「私ばかり難しい仕事を任される」「家事をしても感謝されない」「大変だった苦労をわかってほしい」など、本人的には努力していることの承認を求めて、不満や文句の形で表現することがあります。
聞く方はこれを「あなたのせいでこんなに大変」と言われているように感じたり、改善を要求されているように思ったりしがちですが、必要なのは承認や感謝のことが多いです。
現実的には、ちょっと上から目線になったり、ほめてアピールが激しかったり、自分基準で独りよがりだったり、同じ話を何度も繰り返したり、承認しにくい態度をとっていることがよくあります。
愛されにくい態度で「愛してほしい」と求めて、どれだけの愛が得られるでしょうか。不満や文句で表現する不器用なコミュニケーションしかできないために、気持ちが満たされることがないとしたら、本人も苦しいでしょう。
◆周囲の人ができること
「何を感じるか」は自分に責任があって、感じ方を変えられるのは自分自身だと気づかないと、不満を感じやすいパターンは変わりません。不平不満や文句を言いたいだけの場合、「そう思うんだね」と可能な範囲で受容しましょう。
不平不満や文句が多い人は、いい気分でいることが苦手です。物事の悪い面ばかり考えたり、イヤな出来事を思い出して何度もイヤな気持ちになったりして、いい気分でいられないことが多いのです。
周囲の人は、不平不満を言う人の不機嫌になるべく振り回されないようにして、自分はご機嫌でいるようにしましょう。そして、むしろ自分のいい気分に相手を巻き込んでみましょう。楽しみ方・喜び方・感謝の伝え方など、その人が知らないいい気分を味わう方法を示して、いい見本になってあげてはいかがでしょう。
(完)