新年度に合わせて、仕事の役割が変わった方もいるかもしれません。
早い人なら新しい仕事に慣れてくる頃でしょうか。
そんな時に、あなたの仕事の前任者や上司、あるいはあなたの仕事を良く知っている同僚の言葉にカチンと来ることが増えるかもしれません。
「あ、〇〇さん(←あなたのこと)、あの件だけど、先方にちゃんと伝えました?」とか、
「この資料、ここ間違ってない?」とか、
何か指摘されると、カチン!と来て、
いちいちうるさいなぁ、
なんで人の仕事に口を突っ込むのかなぁ、と、我慢できなくなるかもしれません。
◇どうして、うるさいことを言うの?
あなたはすでにあなたの仕事を自力で進めているにもかかわらず、周りの人はあなたの仕事を逐一チェックしているかのように、あーだこーだと質問や指摘をしてきます。いったいこれはなぜなのでしょうか?
あなたの側からすると、そのような人達は悪意の人のように思うかもしれません。細かいミスを目を皿のようにして探したり、あなたがまだ一人前ではないことをなんとか指摘しようとしているように思うかもしれません。
ところが実は、そのような人たちがあなたの仕事に口出しをしてくる大きな理由は、あなたにはありません。その人たちの心配性の気質だったり、ときには思いやりだったりするのです。
信じられないかもしれませんが、大抵の場合、あなたの力量とは全く関係なく、また、その仕事をしている人があなたであろうが、別の人であろうが関係なく、細々と確認したくてたまらないだけなのです。
◇どうして、カチンとくるの?
とはいえ、いちいち口出しされるとカチン!と来る、あるいはムカッとした気持ちが顔に出てしまう、ということもあるでしょう。
そんなに私を役不足だと思っているの?と聞き返したくなるかもしれません。
心配性だからといって、こちらに迷惑をかけないでくれと思うかもしれません。
周りの人達の口出しが、悪意としか受け取れないと思うかもしれません。
その理由を考えてみましょう。
ここでたとえ話です。
あるところに、貧乏なおうちの少女(A子ちゃん)がいました。
そしてA子ちゃんに友だち(B子ちゃん)がリンゴを一つあげたとします。
「A子ちゃん、うちの庭で真っ赤なリンゴが出来たの。とても美味しそうだったから、一つA子ちゃんにあげるね。」
すると、貧乏なことが恥ずかしく誰にも言えないと思っていたA子ちゃんは、こう思うかもしれません。
(なによ、B子ちゃんったら。私が貧乏でリンゴも買えないと思っているのね。くやしい!)
ところが、A子ちゃんが自分が貧乏なことを何とも思っていなかったとしたら、こんなふうに思うかもしれません。
(わぁ、美味しそうなリンゴ!B子ちゃんって、やさしいな。)
貧乏なことを隠しているとき、A子ちゃんはそんな自分を責めています。
すると、周りの人の言葉が、同じようにそんな自分を責めているように聞こえるのです。
同様に、自覚しているかはともかく、自分は実はまだまだだな、とか、自分は人に信用されない、とか、そんな不安を隠し持っているとしたら、周りの人の言葉が、同じように自分を信用していないように聞こえてしまうのです。(これを心理学では投影といいます。)
自分を信用していないところに輪をかけて、周りの人が「君もまだまだだね」と言っているように聞こえたとしたら、カチン!と来るのも仕方のないことではないでしょうか。
それに加えて、「そう思われたくない!」という競争心があれば、なおさらです。
◇どうすれば、気にならなくなるの?
上述のように、心配症の相手による指摘と、あなたの隠し持っているネガティブな自己イメージがぶつかると、あなたは嫌な気分を味わいます。
ということは、
1.相手を安心させる。
2.あなたの自己イメージを変える、
ということが、楽になるための近道かもしれません。
心配しやすい人の指摘を受けたら、すかさず、こんなふうに返してみましょう。
「ありがとうございます。」
「そうですね、確認します。」
「かしこまりました。」
「指摘してもらって助かります。」
これは、相手が心配に思う気持ちを受け入れましたよ、と相手に伝わります。まずはこれで、少し安心してもらいましょう。
しかし、あなたはくやしく負けたような気分になるかもしれません。
そうしたらこう考えてみてほしいのです。
相手はあなたを責めているのではありません。
責められる理由もありません。
あなたは実際はとても頑張って、とても良くやっていて、成果も出しています。
だからもっと素晴らしい結果が出せるように、その人の指摘を素直に聞いてみることもできるのです。
そして大事なことは、本当に良くやっているあなた自身を心から正当に認めてあげることです。
そうすることで、相手の指摘を余裕を持って受け入れられ、単に心配してくれているのだなと感謝すら覚えるようになってくるでしょう。