カウンセリングの相談案件の中で、恋愛やパートナーシップ、家族との関係に並んで多いのが、職場での人間関係です。
「転職を考えている」というような相談案件も、よくよく話を聞いてみると、「仕事場の人間関係があまりよくないので転職を考えている、しかし次の仕事場でも同じ事が起きないか心配だ」というような話だったりする事は多いです。
考えてみると、仕事の内容は自分の意志で選ぶことができますが、「仕事場の人間関係」は自分では選べませんね。
「こういう人がいる仕事場がいい」とか「こういう意地悪な人がいない仕事場にして下さい」というのは事前に選択するのは難しいですし、後から困った人が入社してきてしまう可能性も否定できません。
多くの人が、毎日8時間とか、起きてる時間の半分ぐらい、もしくはそれ以上の時間を仕事に費やしますから、「気苦労の無い安心して働ける8時間」と「嫌な事に耐えながらなんとか乗り切る8時間」との違いはかなり大きいと言えます。
しかもこれが毎日、1年、10年、20年と続くとしたら、仕事場の人間関係の重要性は非常に大きいと言えるでしょう。
反対に言えば、これがちょっとでも改善するなら、人生の負担は大きく減る事になります。
仕事場にどんな人がいるかは選べませんが、自分の反応や対応、心の働きや傾向などは、ある程度選んだり、変えていくことができます。
簡単ではない場合もありますが、時にはちょっとした傾向の変化で大きな結果が出る事もあります。
今の仕事場の人間関係が、「決してベストではないな」と感じる人は、少しでも改善できる事があれば、長い目で見ると大きな成果になりますので、少し意識を向けてもらえればと思います。
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まず、困った人間関係というのは、大きく2つに分けられるような気がします。
1つ目は、「露骨に敵意を向けてきたり、嫌がらせをしてくる人」で、
2つ目は、「好みが合わない人」や「周りの人には馴染んでいるけど、個人的にあまり好きではない人」です。
この、露骨に嫌がらせをしてくる人が周りにいるとしたら、これは早めに対処する必要がありますが、カンタンではない場合も多いです。
こういう人は残念ながら世の中に一定の数いるようで、結構やり口も巧妙だったりするので、小手先のテクニックでは対処できない事が多いので、「自分の心の中を変えていく作業」が少し必要になるかと思います。
しかし、一度心の中が変わってしまうと、こういう人にはもう関りがなくなってきます。
たとえば今まで「怖いな、また今日も嫌がらせをされるんじゃないか」と思っていたのが、「また今日も何か言ってるな、そんな事より今は恋愛の事が気になるなぁ」という風に、怖くなくなったり、言葉の内容が気にならなくなったりする状態になると、「怖い人」は「ただの変な人」になり、驚異ではなくなり、そのうち相手の方から離れていきます。
ただ、ここまで心の中を整えていくのは結構しっかりした取り組みも必要なので、これは早めにカウンセリングに相談したい案件です。
どちらかというと、多くの人が見落としてしまいがちなのが2つ目の「悪い人じゃないんだけど、私はあまり好きじゃないなぁ」というような人間関係かも知れません。
さっきみたいな「露骨に嫌な人」を除くと、じゃあどんな人間関係がいいのかというと、あとはもう「人それぞれ好みが違う」という部分はあります。
そんな中で、「より、自分にとって楽しく、負担が少ない関係の人は誰かな?」という目線を持ってみて欲しいと思います。
ここで注目してほしい部分としては、「この人とは結構いい関係だな」と思う人の中でも、「好みとしてはどうかな?」という、ちょっと欲張った目線も持ってみて欲しいのです。
どういう事かというと、「とりあえず攻撃してきたり、トラブルが起きない関係なら、それに越したことはない」ぐらいに思っている状態だと、好みとか細かい事は言っていられないので、「悪い人じゃないけど、一緒にいても別にそんなに楽しくはない人」とか「悪い人じゃないけど、ちょっとうるさくて困る人」みたいな関係になっている事があり、これも案外負担になっている場合があるのです。
穏やかな人、元気な人、飲み会に誘ってくれる人、放っておいてくれる人、相談に乗ってくれる人、面白い話を聞かせてくれる人。
これらは個性であり、良し悪しは無いのですが、「自分の好みのタイプ」と違っていると、結構負担になる事が多いです。
あるいは、「同じようなタイプばっかりが周りにいる」というのも、バランス的に偏ってしまって負担になる場合もあります。
「飲み会に誘ってくれる人」が周りに7人もいたら、悪い人じゃなくても、断るのが大変で疲れてしまうかも知れません。
「職場にどんな人がいるか」は選べませんが、「職場の人とどんな風に関わるか」は、やり方次第で選べるようになっていきます。
「いい人ばっかりの職場に行きたい」というのは難しくても、「いい人とは仲良くなって、嫌な人とは関わらないでおきたい」というのは、できるようになります。
せっかく毎日長い時間働くのであれば、人間関係はちょっとでもいい方がいいですよね。少しでも改善できそうなポイントがあれば、ぜひチャレンジしてみて欲しいと思います。