物が捨てられない心理的な5つの理由と対処法
物が捨てられない心理的な理由には、自分はダメを証明する自己虐待、損や失うことを避けたい心理、いただき物を処分できない罪悪感、不安・さみしさを物で満たすことと変化へのオソレ、自己信頼の不足で決断できないといったものがあります。対処のポイントも簡単に紹介します。
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キレイに片づいた家で暮らすための様々な片づけ方法が話題になっています。それだけ片づけに悩む人は多いのです。ここでは「断捨離したいけれど物が捨てられない」「家に物があふれている」など「捨てられない」の背景にある心理を5つ紹介します。
○自己虐待〜自分はダメの証明〜
物があふれる部屋にいてどんな気持ちを感じるでしょうか。「捨てられない自分はダメ」と思うとしたら、実はその気持ちが物を捨てない理由になっていることがあります。
どういうことかというと、私たちは頭で考えること(思考)と心で感じること(感情)と実際にすること(行動)を一致させたい欲求があります。中でも感情が持つ影響力は大きなものです。
心に「自分はダメな人間だ」「自分にはどうせ無理」といった気持ちがあると、そう思うための行動を無意識にしてしまいます。その結果のひとつが物のあふれる部屋なのです。
物が捨てられないから自分はダメなのではなくて、自分はダメと感じているから物が捨てられないのです。そして視覚的にもダメな自分を証明して、自分で自分を虐待しているわけです。
このタイプが捨てられるようになるには、自分を大切にする気持ちを育むことが必要です。
○損失回避バイアス
「もったいない」「買った時に高かった」「いつか使うかも」と捨てられない背景には、「損をしたくない」という心理があります。人は得をするよりも損をしたくない思いの方が強く、また一度所有したものは失いたくないと感じるものなのです。
「物を捨てると損をする」と思っていると手放せません。
これに対抗するのは、不要なものを保管する空間を損している、物を探す時間を損している、重複買いすることになりお金を損している、物の価値を活かしきれずに損をしているといった考え方です。自分にとってどちらが損なのかを考え直してみると、「捨ててもいい」と思いやすくなるかもしれません。
ただし、損する恐怖をモチベーションにする方法は長くは続きません。片づけのモチベーションは他の要因と組み合わせて作ることをお勧めします。
○罪悪感
いただき物が処分できない場合、障害になるのは「捨てるのが申し訳ない」という罪悪感です。この理由で物が捨てられないのは、人に気を遣うタイプが多いです。本当に持っていたいのは贈り主との関係や贈り主の気持ちなのですが、物と人・物と思いを結びつけて考えていると物を捨てにくくなります。
ちょっと想像していただきたいのですが、物の贈り主はあなたに捨てられない苦しみを与えたいのでしょうか。贈り主が与えたかったのは、善意や好意や愛情ではないでしょうか。だとしたら、物を通してあなたが罪悪感を持つことを贈り主は望んでいないでしょう。
贈り主の思いを本当の意味でうけとれると、物品という形で残すことにこだわらず、心に思いを保存する方法に切り替えやすくなるでしょう。
○不安・さみしさを埋める手段
人は心の空白を物で満たそうとすることがあります。溜め込む物の量が不安やさみしさの量と比例するケースです。物がある状態に安心を感じ、思い出の物を持つことでさみしさを埋め、物で自分の価値を裏付けているとしたら、捨てるのは難しいでしょう。
このケースは、未来の不安に準備したり、過去の思い出に固執したりして、今現在に焦点が合っていないのが特徴です。心理的には、今の状況を変える力は自分にはないと誤解していて、物に依存している状態です。
人は行動して失敗するよりも、不満があっても何もせずに現状維持を選びやすい傾向があります。過去に傷ついた経験があれば、なおさら保守的になります。捨てるのは変わることなので怖いのです。
変化にはチャレンジする勇気が必要です。今を充実させる意思を持って行動をはじめると、物理的にも心理的にも手放せるものがあります。そして、手放せば新しい何かを得やすくなるでしょう。
○自己信頼の不足
人が後悔しないためにすることは2種類あります。徹底的に向き合うか、決めずに先のばしにするかです。捨てられない人の多くは後者でしょう。
決められない理由によくあるのは、これまで人の期待に応える、正解を探すなど、決定を自分の外側にゆだねてきて、自分で決めることに慣れていないケースです。
捨てるかどうかを迷う時点で、その物を「絶対に必要」とは思っていません。それでも「本当に捨てていい?」と迷うのは、自分が決めることを信頼できないでいるのです。
捨てる選択をするには、主体的に自分が決断する必要があります。そのためには、再入手が可能な物から捨てる練習をするといいでしょう。捨てても大丈夫、捨てると快適と思う体験を重ねると、自分の決断に自信が持てるようになります。
なお、愛着が強い物などは無理に捨てることはありません。大事に持つと自分が選んだ物ならば、幸せをもたらすアイテムになるでしょう。
(完)