ふり向いてくれない人ばかり好きになる

ふり向いてくれない人に慣れ親しんでる?

こんにちは 平です。

彼女は一人娘として、ご両親に大切に育てられてきました。

ご両親はとても仲がよく、父親はふだんから、「生まれ変わっても、またママと結婚する」と言っているほどでした。

が、彼女はそれを聞くたびに寂しい気持ちになったのです。

なぜなら、彼女はたいへんなパパッ子で、小さいころから「パパと結婚したい」と思っていたからです。

もちろん、父親も彼女のことを深く愛してくれていましたが、「パパはママのことが大好きだから、自分とは結婚してくれない‥‥」と心の中で思っていました。

もちろん、父親は娘のそんな気持ちを知るよしもなく‥‥、そして、彼女は年頃の娘へと成長していったのです。

あるとき、彼女は4歳上の会社の先輩に恋をしました。

しかし、先輩には好きな女性が別におり、彼女のほうはけっして向いてくれません。

この件で、彼女は私どもにご相談におみえになったわけです。

彼女の生い立ちの話などを聞いたあと、私はこう言いました。

「あなたの恋愛パターンは、小さいころからのご家庭の状況と同じですよね?」

彼女はビックリして、こう言いました。

「ほんとうに、ほんとうだ! でも、なんで、私はそんなことをしてしまうんでしょう?」

私は説明しました。

「“自分が好きになる人は、私以外のだれかのほうを向いている”とか“私以外のだれかを好きになる”とあなたが思い込んでいるから、そういう人ばかり好きになるのですよ」

「え、でも、どうして‥‥?」

「そうですね、それは慣れ親しんできたことであり、安心できるからですよ」

「安心できる?」

そうなのです。

それがいいものであれ、悪いものであれ、自分のイメージ通りに世界が回ることで、私たちは大きな安心感を得ることができるのです。

みなさんも失恋したときなどに、「ほーら、やっぱり」と思ったことはないでしょうか。

心のどこかで「きっと自分はふられる」、「こんな自分を愛しつづけてくれる人などいない」と思っていて、その思い通りにことが運んだわけです。

もちろん、残念な出来事であり、あなたにとってはなんのメリットもないのですが、思い通りの結果となって、安心してするあなたもそこにいるわけです。

そして、このタイプの人に非常に多いのが、あなたのことを大好きになり、あなたのことだけを見てくれるような男性が現れたとしても、その人にまったく興味が湧いてこないというケースです。

また、違う女性のほうを向いていた彼が、自分のほうを向いてくれると、急に興味も恋心もなくなってしまうというケースもあります。

たとえば、不倫相手の彼がようやく妻と別れ、自分だけのものになった途端、いままでの情熱はいったいなんだったのかというほど彼への興味が失せるというのは非常によくあることです。

ほんとうに変な話なのですが、論理的にはわけのわからない理論が心の中にあることが少なくないのです。

「私が好きになる人は、私以外のだれかを好きになってくれないと、それは私が好きな人とはいえない」という‥‥。

ただ、このパターンが作られる土台として、「パートナーが自分以外に興味をもっている一方で、私も一人の人に決めず、いろいろな人に恋をしてみたい」という隠れた欲求があることはしばしばあるようです。

「だって、彼もそうだから、私もしてもいいでしょ?」というかんじですね。

一人には決められないがゆえに湧いてくる浮気心‥‥、あなたの心には潜んでいませんか?

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。