あなたの弱みはいちばん愛してあげたいと思うところ
こんにちは 平です。
ご相談におみえになった彼女は、かなり強いコンプレックスの持ち主でした。
3人兄妹の末っ子で、彼女曰く、上には“とても優秀で性格の良いお兄さん”と“素直でかわいいおねえさん”の二人がいました。
彼女はややぽっちゃりタイプの甘えん坊で、そんな自分が大嫌いだったわけです。
彼女はいつも兄や姉と自分を比べ、「私はなにもできない」と自分のことを責めていました。
これは末っ子のパターンとしてよくあるものです。
子どものころの経験として、家族が当たり前のようにできることが、末っ子の自分には上手にできないということがよくあったのです。小さいのだから、うまくできなくて当然なんですけどね。
しかし、みんなができることが自分にはできないことが、とても悔しく感じられるわけです。
といっても、そう感じているのは本人だけで、家族はなにもできないその末っ子をかわいらしいマスコットのように思っています。そして、愛し、大事にしているわけです。
しかし、彼女はまるで“なにもできない自分”と対決するかのように、非常な努力家になっていきました。
どんな場面でも力を尽くすがんばり屋さんであり、もちろん、それは素晴らしいことでした。
が、問題は、まわりの人ががんばっていないように見えると、それに対し、耐えられないほどの嫌悪感を感じるということだったわけです。
あるとき、彼女の勤務先に、お坊ちゃまタイプの新入社員が入ってきました。
彼女より2歳下。育ちが良く、家族に愛されて育ったのだろうと感じさせる人物です。その彼の教育係を彼女が担当することとなったのです。
とにかく努力家でがんばり屋さんの彼女の常識は、「努力し、がんばる」こと。
そんな彼女にとって、どんなときにもマイペースで、焦ったりすることもなく淡々と仕事をする彼の姿は不満で仕方がありません。
で、ついつい、「社会人として、そんなことじゃ‥‥!!」などと目くじらを立ててしまうのですが、彼に伝わっているとも思えませんでした。
しかも、職場の人たちからは、「まあまあ、そんなに怒らなくても‥‥」などと言われ、ますますムキになってしまう彼女がいるわけです。
そして、その職場の対人関係のことで、彼女は私どもにご相談にみえたわけです。
前述のようなお話をうかがったあと、私は彼女に聞きました。
「職場と同じようなことが、あなたの恋愛においても起こっていませんか?」
すると、彼女は、つきあった男性に「もう、いいかげんにしてくれ!」と激怒され、二度と連絡がとれなくなったということが何度かあったということを話してくれました。
いずれも、本来は温厚なタイプの男性で、つきあって3カ月から6カ月経ったころのことのことだったといいます。
子どものころから劣等感に悩まされてきた彼女は、それを感じたくないがために、一生懸命、努力してきました。
そして、対人関係ではいつも人の上に立とうとしてきました。彼女にとって、人より下にいるということは劣等感を刺激されることだったからです。
「どうやら、彼の上に立ってコントロールしようとすることで、彼に劣等感を感じさせてきてしまったようですね」
私がそう言うと、彼女は意気消沈。「やっぱり私は、なにをしてもダメなんだ‥‥」とまたまた劣等感の沼に沈み込んでしまいました。
その彼女に私はこう問いかけました。
「“なにもできないのがかわいい”と男性はよく言うのですが‥‥」
「はぁ?」と、彼女はよく理解できない様子です。
「“この固いフタを開けて”とか、“手が届かないので、取ってくれる?”とか、ちょっとしたことを頼まれるのは、男性はとても好きなんですよ」
「でも、フタは熱すれば簡単に空くし、高いところのものを取るなら、踏み台を使えばいいですよね」と自立的な彼女。
「あなたは、自分の弱みを人に見せると、攻撃されてしまうと思っていませんか?」
「それはそうでしょう」と彼女は好戦的に答えます。
私は言いました。
「あなたは男性のことを、あなたを愛してくれる味方ではなく、弱みを見せると、そこをつついてくる敵だと思っているわけです。
だから、いつもあなたから先に男性の弱みをつつき、彼らの敵になっていたんですね。そのあなたのことを、彼らは自分を愛してくれる味方だとは思えないですよね」
「たしかに‥‥。じゃあ、弱みを見せるといいんですか?」
「そうです。あなたが見せたくない秘密や弱みは、男性からすれば、いちばん愛してあげたいと思うところなのです。その愛を受け取ってあげるということが大事なポイントになるのですよ」
彼女は目を丸くして、この話を聞いてくれましたのですが、それはもしかして、彼女だけではないかもしれませんね。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!