やりたいことがわからない心理〜答えはハートが知っている〜

「やりたいことがない」と思い込んでいるケースも

「やりたいことがわからない」とお悩みの方は少なくありません。私たちが欲しいものは、やりたいことをしたときに味わえる喜びなどの「感情」です。やりたいことがわからない人は、感覚よりも思考優位になっている傾向があります。また、不安や恐れが強いために「やりたいことはない」と思い込んでいるケースもあるのです。

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こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『高見綾』が担当します。

◆私たちが欲しいものは「感情」

今の時代は、心の充足を求めている人が増えてきているように感じます。

「今の仕事は好きというわけじゃなくて…でも他に何がやりたいかと言われるとよくわからないんです」というお話をよく聞きます。仕事にやりがいを求める人にとっては、1日のうち長い時間を費やす仕事がそれほど楽しくない状態であれば、人生全体の満足度が下がってしまいますよね。

仕事が嫌だと思うときは、仕事そのものが嫌なのではなく、「職場で感じている感情が嫌なのだ」と考えます。私たちは幸せになりたいと思いますが、色々な条件はあれど、幸せとは感じるものですよね。好きな仕事をしたいと思うとき、私たちが求めているのは、楽しさや、やりがい、達成感、ワクワク、喜びといったポジティブな感情です。仕事を通じて、これらの感情を味わいたいと思っているのです。

ということは、やりたいことは自分のハートが知っているということです。今まで色々な方とお話してきましたが、好きなことや、やりたいことが何もないという人はいませんでした。やりたいことを大きく捉えてしまうとわからなくなってしまいますが、日常のちょっとした「いいなぁ」という感覚で十分です。自分の心の動きを細かく丁寧に見ていくことで、心の琴線に触れるものが何かに気づけるようになっていくのです。

 

◆感覚を鈍らせてしまうもの

ところが感覚が鈍っていると、ハートの声が聞こえなくなってしまう、ということが起こります。やりたいことがわからないと言っている人の多くは、頭で物を考えすぎている傾向があります。

「この仕事はお給料がいいから…」「かっこいいイメージがあるから(見栄えがいい)」など、損得計算をしすぎていると、だんだんやりたいことがわからなくなってしまいます。もちろん損得計算をすることは、仕事という面では必要なこともありますが、損得や理屈だけでは、私たちの心は本当の意味で満たされることはないですよね。心が動かされるときは、理屈を超えた何かがあるのです。

仕事の在り方がどんどん変わってきている今、今ある職種に限定して探そうとすると、やりたいことがわからなくなってしまうケースもあります。例えば、自宅で自分のペースでお仕事をすることに喜びを感じる人だったとします。それなのに「社会人だから、外に出て働くべき」というような「こうすべき」「こうあるべき」といった思い込みが、自分のやりたいことを邪魔しているケースも少なくありません。

まずは、職種などの枠から入るのではなく、どんな環境やシチュエーションのときに、自分の心が「なんかいい感じ」と反応するのかを、今の仕事をやりながらじっくり観察してみることがおススメです。

 

◆のめり込むことを恐れているケースも

やりたいことがわからないと言う人でも、詳しくお話を聞いていると、好きなことにのめり込むことを無意識のうちに恐れているために、「好きなことはない」と思い込んでいるケースもあります。そこには、好きなことで失敗したくない、否定されたくないという思いが隠れていることも多いです。恋愛でも、大好きな人とお付き合いしたら、相手にハマってしまって感情のアップダウンが大きくなってしんどいという理由で、恋愛から遠ざかってしまうこともありますよね。

もちろん好きなことをすれば、感情は揺れやすくなるでしょう。でも、そういった不安や恐れは無価値感から来ています。「私は選ばれない」「どうせ私じゃダメでしょう」という無価値感を癒していくことができれば、ネガティブな感情のアップダウンはしにくくなります。

もし好きなことから遠ざかるだけだと、自分が傷つかないでいられる安全圏の中にいることになります。そこは、安全ではあるけれども、感情が動かない感動のない世界です。つまらないと感じることも増えるはずです。

そんなときは、ちょっぴり勇気は要りますが、感情的なリスクをおかす必要があるかもしれません。安全圏から出て、「ちょっと怖い」と感じるくらいのことをやってみるといいかもしれません。本当に好きなことを自分に思いっきりやらせてあげることは、自分に対する愛です。恐れが強いときは、無価値感を癒し、周りの人からのサポートを受けながら進んでいきましょう。

(完)

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