自分の感情を受け容れる
自分らしく生きたいと思うのに自分軸で生きられないと感じる方のための、自己愛を育むレッスンを4回にわたりご紹介します。どのように考えたらいいのか。自分を大切にするためのポイントはどこにあるのか、解説します。第1回は、自分の感情を受け容れることから自分を知りましょう、というお話です。
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自分らしく生きるためには自己愛が必要だから
好きなことをやって幸せそうに生きている人は、自分軸で自分の人生の目的を生きているように見えます。「自分を大切にしましょう」、「自分らしく生きればいいよ」、と言われても、その「自分」が何だかわからないと、焦るし、困ります。
自己愛が低いと、相手に好かれるために、つい自分の気持ちよりも、相手の感情、意見、意思、価値観、観念を大事にしてしまいます。他人を大事にするのは、もちろんいいことなのですが、このときに自分が数に入っていないと、犠牲感がつきまといます。そうすると、いくら相手に「いい人だ」と思われたとしても、本人的には、自分をないがしろにしていますから、ちっとも自分を「いいもの」とは認識できません。
「自分らしく生きる」とは、「自分を与える」ことです。「自分を与える」とは、自分をとことん表現することです。これは、健康な自己愛があり、自分のことを受け容れていないとなかなかできません。自分らしく生きようとするとき、自分を受け容れ(自己受容)、自分を承認(自己承認)できる自己愛はどうしても必要なのです。
自分の感情を受け止めることは自分を知るための「はじめの一歩」
あなたは、ご自分が、何を感じていらっしゃるかご存知ですか?
きっとあまり考えたことがないかもしれません。私たちは、とても忙しい世の中に生きているので、普段、自分の感情と向き合うということはあまりやっていないのではないでしょうか。本当のところ、自分が何を感じているのか、何を考えているのかも、よくわかっていないかもしれません。
とはいえ、自分の気持ちや思いとつながることが、その人本来の能力を発揮するためにどれだけ大切かは、Google社がマインドフルネス瞑想を取り入れてパフォーマンスを上げたという話が有名になるくらい、認知されるようになりました。
感情は、自分の中の深い思いから、あなたに向けて発せられたメッセージです。
「私は、今、悶々としています」。
「私は、今、嬉しいという気持ちと逃げ出したいくらい怖いという気持ちの両方を感じています」。
ときに、同時に、いくつもの感情が入り混じり、あるいは、相反する感情がコロコロと目まぐるしく入れ替わります。それに翻弄され、乗っ取られるのが怖いと思うかもしれませんね。
でも、この感情が、私たちの行動動機になります。
「かわいいっ!」と心が踊るから、そのネイルしたくなります。
「あの人を助けたい!」と胸が高鳴るから、損得勘定なく頑張るのではありませんか?
感情の言葉を聞くことは、自分の心の深いところにある「思い」を受け止めることなのです。
あなたの苦手な感情は何ですか?
感情の話をすると嫌な気持ちになりませんか?誰しもネガティブな感情はあまり感じたくありません。なので、感情が湧き上がってくると、自然と検閲がかかります。
「落ち込んでいる場合じゃない」。
「男の子は泣いちゃいけない」。
「悲しんでばかりいるとご迷惑になる」。
感情を感じることにストップをかける、あるいは、はじめから無自覚に感じないようにしていることもあります。
誰しも、苦手な感情というのがあります。感じないようにしているものがあるのです。感情は、深い思いからのメッセージなので、自分がどんな感情に支配されているのかを知ることは、「自分を知る」のにとても有益な情報です。
よくあることですけれど、女性は「怒り」たくなくて、怒りを「悲しみ」だと感じやすいですし、逆に、「男の子は泣いてはいけない」と育てられた男性は、「悲しみ」は感じにくくて、感情はすべて「怒り」として体験しやすいです。
すべての感情はあなたが「愛」をどう感じ、どう「愛したい」人なのかを教えてくれる
どんなネガティブな感情も、心の奥底では、大きな「愛」と繋がっています。例えば、「寂しさ」は、あなたがどういうものと「つながり」を感じていたのかを教えてくれていますし、「悲しみ」は、あなたが何に「喜び」を感じていたかを教えてくれます。「恐れ」は「安心」を教えてくれるし、「怒り」は、あなたがどんな「願い」を持っている人かを教えてくれます。
すべての感情は、「あなた」が何を、どのように、「愛したい」人なのか、どう「愛」を感じる人なのかを教えてくれるものなのです。
なので、感情を「感じてはいけない」とコントロールすればするほど、自分の本質がわからなくなります。
かといって、感情に振り回されてばかりいても、辛いですし、やっぱり自分が何を思っているのかわかりません。
とても多くの場合、私たちは、気づかないうちに感情に支配されて、自律的に、反射的に、感情に従って行動を決めがちです。そこを冷静に一拍置くと、違うものの見方もできるのですが、これをするには、感情を切り、押し殺すのではなくて、逆に、自分の感情を感じる心の器を育てることが必要なのです。
まずは、どんなネガティブな感情もいいとか悪いとかの判断をせずに、そのまま、感じたままに受け容れようと意欲を持ってみましょう。
「これは悲しみだな」。
「イライラしているな。何かに怒っているのかな」。
自分の気持ちと、長椅子に隣同士で座るような心持ちで、興味を持って心の声を聞いてみます。自分の感情を受け止めるのは、はじめのうちは、難しいと感じるかもしれませんが、意識的に自分の気持ちと対話を繰り返すことで、心の器は少しずつ大きくなります。
心の成熟は、時間を要する課題ですけれど、自分育てと思い取り組めると、それは誰もあなたから取り上げることのできない大きな財産になります。