もし、「大好きな人はいつも私を傷つける」と感じているとしたら
こんにちは 平です。
その日、おみえになった女性のお悩みは、「男性を心から好きになったことがない」ということでした。
ご相談にいらっしゃるぐらいですから、ほんとうは「すごく愛してる!」といえる男性に出会いたいし、燃えるような恋をしたいとも思っているということでしょう。
しかしながら、好みの異性と出会っても、「いえ、べつに‥‥」、「それほどまでは思っていません‥‥」というような態度になってしまうわけです。
恋に情熱的になれないというご相談は、男女とも決して少なくありません。そして、このお悩みは、世界的に見ても日本人にとくに多いといえそうです。
理由の一つは、感情を表現するということは、「あまりよいことではない」、「はしたないことである」と考えるという文化的な背景といえそうです。
しかし、私の経験上、それ以上に大きい実感しているのが、「さほど好きにならずにすむ人」を恋の相手に選んでいる人が非常に多いということです。
「なぜ、そんな人と?」と思うみなさんは多いと思いますが、では、「さほど好きにならずにすむ人」とつきあうメリットがあるとしたら、なんだと思いますか?
それは、別れたときに、「さほど傷つかずにすむ」ということです。
大好きな人に告白することを想像してください。もしも、その相手に断られたとしたら、心に大きなダメージを負うというリスクがありますよね。
だから、過剰に緊張してしまうし、「ほんとうは、この人のことはそれほど好きではなかったかも‥‥」、「こんな私が告白しても、ぜったいムリ!」などと考えがちです。
その結果、好きという気持ちを抑え込んでしまう人が日本人には非常に多いのです。
とくに、昔、大好きな人が自分のものにならなかったとか、自分のほうをふり向いてくれなかったという体験がある人にその傾向は大きいようです。
もう二度とそんな痛みは感じたくないがゆえに、「恋をしない」、「ふられても、深手を負わずにすむ人とばかりつきあう」ということですね。
自分の恋愛をふり返ってみて、「私のほうが優位に立った恋愛ばかりしている」、「異性に対してネガティブな思いが強く、積極的になれない」ということに思いあたる人は、このパターンを疑ってみてもよいでしょう。
今回のご相談者の場合は、過去の恋愛ではなく、出張ばかりでふれあう機会の少なかった父親との関係でこのハートブレイクが作られたようでした。
彼女が小学生だったときの夏休み、キャンプに連れていってもらうのを楽しみにしていたのに、父親に急な仕事が入り、その予定がキャンセルになってしまったそうです。
母親からは「仕事だから、しょうがないのよ」となぐさめられたのもの、彼女は泣きやむことができず、そして、こう思い込んだようなのです。
「大好きな男は、いつも私を傷つける」
以来、好きな人にはできるだけ期待しないように、自分ができるだけ傷つかないようにしながら生きてきたわけです。
また、その夏休みからは父親との関係にも距離ができ、彼女は父親にまったくなつかない娘になっていきました。
そこで、彼女にちょっとしたイメージワークに挑戦してもらいました。
「想像してくださいね。小学生のあなたは、おとうさんの前でどんな顔をしていますか?」
「‥‥目を合わせず、ムスッとしていて、かわいげのない顔をしています」
「もしかして、その女の子には、ムスッとする代わりにおとうさんに言いたいこと、聞きたいことがあるのではありませんか?」
こう質問すると、彼女の目にはみるみる涙がたまり、そして、答えました。
「どうせ‥‥、私のことなんか、どうでもいいんでしょ!」
イメージの中でほんとうの思いを父親に伝えることができたとき、彼女は自分がどれほど父親との親密な関係を求めてきたかと言うことに気づきました。
その気づきが、恋愛においても、より魅力的な男性と親密になりたいという気持ちになるきっかけとなったのです。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!