「別れましょう」と言う代わりに
こんにちは 平です。
パートナーと別れたいと思っている人の中には、こんなことを考えている人が少なくないようです。
「相手のほうから“別れましょう”と言ってくれないものかな‥‥」
読者のみなさんも、一度はこう考えたことがあるかもしれませんね。
なぜ、そんなことを考えるかというと、自分から別れを切り出すと、相手を傷つけ、罪悪感という感情を感じることになるからです。
だあから、相手から言ってもらえると助かる‥‥というわけです。
しかしながら、この「別れましょう」が言えなかったゆえに、たいへんな事態に陥った人を私はたくさん見てきました。
ある看護師さんの彼氏は、以前、自分が担当した入院患者でした。彼は非常に依存傾向が強い人だったので、自分がふるとひどく傷つくだろうと思った彼女‥‥。
なんと、「別れましょう」と言う代わりに、病院を辞め、自宅を引っ越し、それまでいた場所から姿を消してしまったというのです。
すべてが順調だと思っていた彼氏のほうは、ある日、突然、彼女の家が空き家になり、職場も退職していると知ることとなります。そのときは、どんなにびっくりしたことでしょうか。
ほかにも、多くの人がしているのが、自分が「よくないパートナー」になることで、相手から嫌われようとする努力です。
当然ながら、それはつらい努力です。そして、その努力の報いは、相手から罵倒され、嫌われるという結果です。
そんな思いをすることよりも、われわれは自分がだれかを傷つけることを恐がっているのでしょうか? だとしたら、私たちはとてもやさしい存在なのかもしれませんね。
心理学的に見ると、「ノー」が言えない人は、かつて自分が拒絶されたり、否定されたりしてひどく傷ついた経験をもち、そして、その相手をまだ許していないという場合が多いようです。
それが、心理学でいう“投影”となって表れるわけです。
「私がだれかにノーを言うと、私があの人を恨んでいるように、私もその相手から恨まれるにちがいない」、と。
その結果、きらいなものを「きらい」と言えず、いやなことを「いや」と言えず、がまんしたり、犠牲をしたりというパターンにハマッていくのです。
しかし、がまんして、がまんして、がまんして、がまんして生きていると、怒りはどんどん増大していきます。
その怒りが外に出せないわけですから、怒りは自分のほうに向かい、自己攻撃が始まります。
その結果、あなたは引きこもってしまう‥‥、言い換えれば、自分を隠すようになっていきます。
つまり、「ノー」が言えない人は、自分の好き嫌いや思いを隠すことがクセになっていますので、「自分を表現する」ということにチャレンジすることで、自分を解放していくことが期待できます。
このタイプの人は、カラオケで歌ったり、ダンスをしたりして自分を見せることでさえ、だれかを傷つけたり、いやな思いをさせるのではないかと思っていることが多いものです。
もちろん、それは誤解なのですが、そのために自己表現することに恥ずかしさを覚えることが非常に多いようです。
コミュニケーションの秘訣は、「ノー」をちゃんと伝えることにあります。
それができる人は、なにが好きか、どうしたいのかなど、自分にとっての「イエス」もまわりの人にうまく伝えられます。
一方、「ノー」が言えない人は、「イエス」もはっきり言えない人であり、まわりの人にとっては、「いったい、なにを考えているのかがよくわからない人」になっています。
「ノー」が言えるようになっていくと、自分の中でも、なにが好きで、なにが嫌いかが明確になっていくので、人生で自分が向かうべき方向もはっきり見えるようになっていくことが少なくありません。
今回のテーマに自分があてはまっていると思うみなさんは、怒りを伴わずに「ノー」をやさしく伝えるということにチャレンジしてみてください。
それができるようになったなら、あなたはコミュニケーションの達人となるとともに、人生の目標もしっかりと見極められるようになっていくことでしょう。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!