あたりまえだと思っていたものは、あたりまえではなかった
こんにちは 平です。
時代はだいぶ遡りますが、1980年代の後半、“ニュー・エイジ・ムーブメント”という大きな流れが日本にやってきたことがあります。
これは、アメリカから押し寄せてきたもので、“精神世界”という、まったく新しい視点に立ったものごとの見方や生き方を示したものでした。
「内なる声に耳を傾けよう」
「心がよろこぶことをしよう」
「夢は叶えることができる」
こんなふうに、現在では一般的によく耳にするような見方・考え方がまるで雪崩のように日本に入ってきたのです。
バブル経済へと向かっていたこの時期、日本では『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本がベストセラーになっていて、国内では好景気が続いていました。
サラリーマンの多くはかなり高額のボーナスをもらい、経済的には豊かになっていたのですが、企業活動が活発化していたぶん、だれもが仕事に追われっぱなしでした。
休む間もなく働いて、みな、クタクタに疲れており、発散の方法といえば、飲みにいったり、カラオケに行ったり。社員旅行といえば高級な宿に泊まってドンチャン騒ぎをする‥‥というのがお決まりのパターンだったのです。
そんな時代の中、「もう、こんな犠牲や辛抱はしたくない」と思いはじめる人も少なくありませんでした。そして、自分の好きなことや心がワクワクすることを求めるということが大ブームになったのです。
例をあげれば、「北海道や沖縄の離島でカフェやペンションを経営する。そして、自然とともに生きる」、「これまでに貯めた貯金を使って、世界を自由に旅する」といったことを考えたことは多かったようです。
さらに、こんなことを考えた人も大勢いました。
「海外でよりスピリチュアルなワークショップやセミナーを受け、日本に帰ったら、自分のセミナーを開催する」。
それを実践したみなさんがどうなったかというと、残念ながら、ほとんどの人が失敗してしまいました。その中で、なんとか生き残った私はレアケースといえます。
当初、ほとんどの人はこう考えていました。
「いま、もらっている安定的な収入はあたりまえのもの。その一方、心の平安や好きなことをする自由が自分にはない。その欲求を満たしたい」
ところが、独立してみてわかったのは、「いままであたりまえだと思っていた安定的かつ高額な収入はまったくあたりまえではなかった」ということ。
さらに、「好きなことをする度合いだけ、その収入を手放さなければならないという現実がある」ということでした。
その結果、ほとんどの人がその後、かつてより条件も環境も悪い企業に再就職することとなったのです。
このパターンは、じつは男女関係でもよくあります。
パートナーがいつもあなたに与えてくれているもののことを、「そんなの、当然でしょ。彼(彼女)なんだから」と思っていると、パートナーがあなたに与えてくれているものではなく、与えてくれていないものばかりが目につくようになりがちです。
たとえば、あなたは彼に100点満点で90点の点をつけているとしましょう。10点減点の理由は、忙しくてかまってくれないことだとします。
そんなあなたの前によくかまってくれる男性が現れると、まるで100点満点の人と出会ったと錯覚しがちです。
ところが、実際につきあってみると総合得点は10点。かまってくれることだけがとりえの彼だったりすることもあるわけです。
では、どうすれば、相手を見損なうリスクを回避することができるのでしょうか。
答えはとても簡単です。
それは、あなたが当然のように与えてもらってきたものが、じつは当然のものではなかったということを知ることです。
具体的には、あなたがご両親から与えてもらってきたものが、どれだけ愛にあふれているか、与えつづけるというのはどれほどたいへんなことなのかということを学び、そして、感謝することに尽きます。
“ピーターパン・シンドローム”とよばれますが、これができないと、あなたはいつもファンタジーに追い回され、地に足がつかない人になってしまいます。
あなたが親にしてもらってきたことは、あたりまえのことでも、簡単なことでもありません。じつはとてもスペシャルなことであるようです。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!