両親ともに支えが必要な状態だと、早くから大人にならなくてはいけなくなる
両親どちらともが、健康で精神的にも安定していると、子ども時代に心おきなく子どもらしくいることができます。
また、どちらか一方がもう一方を支えることができる状態であっても、子どもは子どもでいられます。
ところが、両親ともに支えが必要な状態であったとしたら、早い段階から子どもでいられなくなり、どんどん自立していくことになってしまいます。
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今回の心理学講座は、自分自身が愛されキャラになるとか、そのように扱われることが「気持ち悪い」と感じてしまう女性の皆さんに向けたものとして書かせていただいているシリーズの第4弾です。
「愛されるより愛したい」という考え方や生き方に、何の問題もないですし、その方が幸せ度が増すとも言われていたりします。
ですが、愛されることに気持ち悪さを感じてしまい、愛してくれる人に対して敵意をむき出しにしてしまったり、自分へ向けられた愛を拒絶してしまったりすると、恋愛がうまくいかなくなってしまうことが多くなります。
もちろん恋愛だけでなく、愛されることを拒絶してしまうと、人間関係全般に様々な問題が出てきてしまうのですが、今回は恋愛に表れることに限定して書かせていただいています。
両親どちらともが、健康で精神的にも安定していると、子ども時代に心おきなく子どもらしくいることができます。
また、両親のうちどちらか一方が病気やケガがあり、支えが必要な状態であったり、落ち込みやすかったり、精神的に不安定であったとしても、もう一方が支えているのであれば、子どもとしていられます。
ですが、両親がともに健康面で支えが必要であったり、精神面で支えが必要であった場合、子ども時代に子どもらしくいられなくなってしまいます。
子どもとして面倒をみてもらうというよりも、両親を「私が支えなくては」と、支える側に回らざるを得なくなってしまうのです。
とても愛情深いとも言えるのですが、甘えるということが、一切許されないような状況になってしまうので、とても苦しいです。
今までご紹介してきた「父に敵意を持っている」「両親の仲が悪すぎた」「家族の男性達が頼りなかった」というどのパターンよりも、強力に早い段階から自立していかなければならない状況になることも少なくありません。
自立というのは、男性性が持つ要素でもありますので、早い段階から子どもでもいられないし、女の子でもいられなくなってしまったという状況かもしれません。
もちろん見た目や仕草などは、女の子なのですが、自立的な要素が強くならざるを得ないので、依存心を禁止し、人に頼らず、自分で何とかやっていこうとし、そのうえに両親を支えるという役割まで追加している状態。
ですから、本当はそうではないのですが、「愛される」ということが、「大切な人を支えられなくなる」というのと同じ意味のように感じてしまうことがあるのです。
また、両親を支えなくてはいけなかった立場ということは、とても頑張って何事も取り組んできているものなのですが、自分自身が子どもであっただけに、できないことや、力不足を感じることが多くあります。
それでも必死でやってくるわけですけどね。
そうやって、できないことがあったり、力不足を感じた分だけ、「もっと頑張らなくてはいけない」と強く思っていたり、「自分は何もできていない」と感じていたりします。
もっと頑張らなくてはいけない自分が、愛されるという立場になって、「甘えてもいいよ」「頼ってもいいよ」などともし言われたとしたら、「そんなわけはない!」と言いたくもなってしまいます。
そもそもは、もっと頑張らなくてはいけないという思いが誤解で、愛されていいですし、甘えてもいいですし、頼ってもいいわけですが、愛される立場というのは、その人にとっては、大切な人を支えられない立場と感じ、力不足の自分が余計にダメになってしまうように感じる立場になってしまうのです。
だから「愛される」ということを、受け入れがたい気持ちになり、気持ち悪いという感情を使って、拒絶してしまうことになってしまいます。
本当に自分は頑張ってきたこと。
十分やってきたこと。
を自分自身できちんと認めていくことが必要になります。
そして、自分を常に後回しにしてきたわけですから、自分のことを優先していくとういことが、チャレンジになってきます。
そうすることで、恋人から愛されることも、自分にとってほしいことの一つであると認識していくことができるようになってきます。
自分を優先することと、支えが必要な人を支えなくなることとは違います。
自分も誰かに支えてもらいながら、大切な人を支えていくことだってできるわけですからね。
(完)