「ダメ」な自分の受け入れ方 〜まずは誰かを「リスペクト」してみませんか?〜

自分を責めて孤立を深めるのではなく、弱みを受け入れる勇気を持ちたい

自分への期待が大きすぎると、自分の弱みを受け入れられずに自己攻撃が強くなります。自分ではなく他者をみることを心がけ、自分ができないことを責めるのではなくて、できる人を尊敬し、見習う気持ちが、自己承認できる心を養い、自己愛を高めます。

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● 弱みのない人はいない

「ダメ」なところのない人はいません。忘れ物が多かったり、方向音痴だったり、勘違いの多い人もいます。怒りっぽい人もいれば、面倒くさいことからは逃げる人もいるでしょう。そのことで、迷惑をかけ、大切な人との関係性を失うと、自分を責め、失敗感が劣等感やコンプレックスを作ります。

誰しも強みも弱みもあるのですから、お互いの弱みを受け入れあえると、助け合えるのですが、競争心やプライドが邪魔をして問題を大きくしてしまうこともあります。自分を責めて孤立を深めるのではなく、弱みを受け入れる勇気を持ちたいですね。

 

● 「ダメ」な自分を一番許せないのは「自分」

自分の弱みを許せない人の特徴として、自分に対する「期待」が大きいことがあげられます。自分への「期待」とは、「自分は、もっと凄くなくてはいけない」という、自分が自分にかけるプレッシャーを言います。

自然体の自分を受け入れられていると、「次はこれができるようになりたい」と気負わずに目標に向かって努力できますが、「これくらいできないのはダメだ」と自分に鞭打つように頑張ろうとすると、気持ちが空回りして、自分の能力を効果的に使えません。自分の「期待」に応えられずにがっかりする経験が続けば、自尊心が損なわれて自己攻撃が強くなる悪循環にはまります。

「ダメ」な自分を一番許せないのは、心の中に住む、自分に高い「期待」を背負わせてしまう、もう一人の厳しい自分なのです。

 

● 「ダメ」な自分を愛して欲しいという切ない願い

そんな自分を嫌いながらも、「ダメ」な自分に執着してしまうのにも理由があります。

私たちは、幼少期に、親(多くはお母さんですが)に自分が「できない」ことを受け入れてもらい、「愛される」という体験を通して、自己愛を育み、自信をつけていきます。

ところが、躾が厳しい家庭で育つ、あるいは事情があって幼少期にあまりかまってもらえないと、「できない」自分では愛されないという思いが強くなり、「凄い自分」にならないといけないというプレッシャーも強化されます。自分の弱みを受け入れられないので、誰かにそんな「ダメ」な自分を受け入れて欲しいという気持ちも強くなります。

逆に、子供の頃に、過干渉なくらい溺愛されると、「できない」自分が愛された子供時代に執着してしまい、大人になることが、「凄い自分」になることのように感じられて、ハードルが高くなってしまいます。「ダメ」な自分を責めながらも、それを手放せない葛藤に苦しむ方は少なくありません。

私たちは、自分の得手より不得手に敏感です。それだけ、自分が大切な人に「ダメ」なところもひっくるめて自分のすべてを無条件に愛してもらえているかどうかが、気になるのですね。

 

● 人の「いいところ」をリスペクトするところから始めたい

もともと私たちは、自分の「ダメ」なところばかりに注目しがちで、「できる」こと、「いい」ところを見ようとはしません。自分のできないところを責めるよりも、長所を伸ばした方がいいことわかっていても、自分の長所は大したことがないように思われて、人から褒められても認められない方が多いです。

そんな方にオススメしたいのは、まずは、自分が不得手なことが得意な人を、リスペクトすること、です。リスペクトは英語で、尊敬する、尊重する、認める「態度」を指します。

自分ができないことをやれている人を見れば、どうしても羨ましい気持ちから、やっかみ、妬み、拗ねたくなります。そこを、悔しいけれど、素直に「すごいなぁ」、「偉いなぁ」、そして、「私も、できたらいいのになぁ」と思っていることを認める、のです。

それを当人に伝えられたら、もっといいですね。誰よりも、あなたは、それが価値のあることで、しかも、やりたくても難しいことで、それができることが素晴らしいことだということを知っているのですから。

あなたがコンプレックスを持っていることを上手にこなす人が身近にいませんか?その人を、そのことについては、自分の「先生」だと思って見習う気持ちを持ってみましょう。

できないことを「責める」のではなくて、できる人をリスペクト(尊敬し、見習う)したい、と思ってみませんか。

できることが「当たり前」で、できないことを糾弾する心の世界から、できることがリスペクトされ、感謝され、承認される世界へのお引越しは、あなたがご自分のコンプレックスを、人の素晴らしさに気づくのに使うところから始まります。できることが「当たり前」ではないことがわかると、きっと自分の素晴らしさもリスペクトできるようになりますから。

(完)

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