自己価値を思い出すために有効なのは、親の才能、魅力、価値を知ることです。
私たちは親から悪いことばかり引き継いでいるように感じています。
「悪いところばかり似る」とは親子共に感じている感覚。しかしながら、引き継いでいるものが悪いことのみ、と考えることに無理があります。
いいところも必ず引き継いでいるはず。こうした良い部分を見ていくことで、自分の価値を感じやすくなっていきます。
それは本来、自分に備わっている価値だからです。
自分の価値を知るために役に立つ方法があります。
それは「自分の親の才能、魅力、価値を見る」ことです。
あなたは、お父さん、お母さんから生まれました。
その遺伝子を引き継いでいるはずです。
ということは、二人の才能、魅力、価値を何らかの形で引き継いでいるはず。
大きさや質が違っているところがあったとしても、要素は引き継いでいるはずなのです。
ところが、私たちは、それを意識しにくいようです。
「悪いところばかり似てしまう」とは、親、子、両方が思うことですが、ネガティブな部分にばかり目がいって、いいところは自覚しにくいのです。
長い親子関係ですから、お互いの嫌な思い出もいろいろあるはず。
それは自然なこと、当然なことなのですが、その一方で、いい思い出もたくさんあるはずなのです。
しかし、私たちはネガティブな記憶の方が残りやすいと言われることがあるように、悪いところに目がいってしまう。
親子関係というのは、とても近しいものなので、愛情を感じている度合いだけ、衝突したり、嫌悪したりしやすくなります。
また、子供が大人になると親子関係に恥ずかしさが加わってきますから、余計にいいところを見るのは難しくなります。
しかし、衝突したり嫌悪したりできるのは、そうしてもお互いの絆が壊れないと感じているからこそ。意識できていなくても、深層心理ではそうだったりします。
いろんな感情は一旦、横に置いたり、保留にして、改めて「親の才能、魅力、価値」を見ようと思ってみてください。
そもそも、親から自分が引き継いでいるものが悪いことのみ、と考えることに無理があります。
いいところも必ず引き継いでいるはずなのです。
具体的には、親の才能、魅力、価値について考え、それを言葉にしてリストアップしていきます。
この作業、つい、悪いところを書いてしまいがちですが、必ず「才能、魅力、価値」だけをリストアップしていきます。
短所は長所に変換していきます。
(例えば、肝心な時にいなくなる→自由、細かすぎる→繊細、感受性が豊か、など)
<例>
◎父:朗らか、自由、リーダーシップ、優しさ
◎母:最後まで成し遂げる力、天真爛漫、ユーモア、包容力
リストアップが難しい時、ヒントになるのは「してもらって嬉しかった思い出」そして「周りの人の良い評価」です。
あなたがしてもらって嬉しかったこと、感謝してること、あるいは周りの人や仕事の関係者などで、親がしてあげて感謝されたり、すごいな、と思えること。
また、親のいいところを周囲にいる人に聞いてみましょう。
こうして、リストを増やしていきます。
後から思い出したら、追加していきます。
こうしてできあがった親の才能、魅力、価値について、じっくり眺めます。
次に、この才能、魅力、価値は自分にも引き継がれているはずだ、と思ってみます。
この作業をすると、とても自己価値を思い出すのに役に立ちます。
ピンとこないものがあっても構いません。
大切なのは、価値がある親から生まれた自分は価値があるはずだ、という感覚なのです。
この感覚が積み重なっていくと「生まれてきた価値がある」と感じられるようになっていきます。
なぜなら、それは本当のことだからです。
本当のことは心に必ず響くものです。
親の才能、魅力、価値を自分が引き継いでいるという思いを、何度もイメージしていくと、心が温かくなっていったり、力を感じたりする瞬間が出てきます。
まっすぐ、同じ才能、魅力、価値ではないかもしれません。
しかし、あなたの中にあるこうした要素が、あなたらしい価値として、あなたに備わっている。
そのことが少しずつあなたに力を与えてくれます。
次回、最終回は、自己価値を身につけるために、具体的な日常でできる自己価値を感じられる、回復するためのエクササイズを紹介します。