失恋からの贈り物

感情を取り戻すと人生の喜びがわかってくる

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

彼は27歳。理系の大学から研究職へと進んだので、これまで女性との接点はほとんどありませんでした。

いわば無菌室で純粋培養されたかのようなこの彼に、このたび初めてのガールフレンドができました。

当然というか、彼のほうから女性に近づいたり、声をかけたりするということはできません。この初めてのおつきあいも、彼女のほうから近づいてきてくれたのを機にはじまったわけです。

じつはこの彼女は、純粋な彼には向いていないようでした。気になる男性がいると、すぐに近づき、つきあってみるというタイプだったのです。

彼はといえば、そこには気づいていません。男性は、「自分がタイプだと思う女性は、性格がよい」と思い込みがちなのですが、とくに彼のように男女関係に慣れていないとそうなりやすいのです。

ちなみにこれは、「そうでないと困る」という男性心理から起こります。

恋愛に疎い彼は、「彼女は理想の男性である自分に出会い、惚れ込んでいる」と思い込みたいわけです。

彼の友人たちの目からは、彼女はちょっとした浮気の恋を楽しんでいて、その彼女に彼がもてあそばれているようにしか見えません。

しかも、彼女は彼にどんどん飽きていっているようでした。

見た目はちょっとイケている彼ですが、恋愛にはまったく疎いので、彼女を楽しませたり、喜ばせたりする術をもっていないからです。

といっても、頭の中は彼女のことでいっぱいで、仕事中も彼女のことばかり考えてしまいます。

で、「きょうは、どこに行くの?」、「いま、なにしてるの?」などと逐一、聞いてしまったりするわけですが、やましいことの多い彼女にとっては、答えたくないことばかり。

で、彼はどんどんウザイ男になっていくわけです。

つきあって4カ月も経ったころには、彼女は彼の誘いを断るようになっています。態度も、「わかるでしょ、もうあなたには興味ないのよ!」というかんじです。

ところが、それを感じても、まったくもって認めたくない彼は、いよいよしつこく彼女に執着をしはじめます。

そして、いまや、彼女に連絡をとろうとしても、LINEはいつも既読スルー、電話は応答なし‥‥。いったいどうすれば・・・。

‥‥という彼から、私どもにご相談があったわけです。

当然、どのカウンセラーもこんなふうに答えます。

「執着を手放しましょう。執着すればするほど、彼女はあなたにウンザリします」

「しつこくして、彼女がつけるあなたの点数がいま以上に下がってしまったとしたら、リバイバルの可能性もなくなりますよ」

「だから、いまはできるだけ連絡をとらず、彼女の気持ちがもう一度、あなたに向くのを待つことしかできません」

しかし、こうしたアドバイスを彼はまったく受け入れることができません。

で、彼女にさらに執着した結果、手ひどいフラれ方をし、激しいハートブレイクをしたわけです。

「もう、女なんか信じられん。二度と恋なんかしない!」

そうして、しばらくは強がっていた彼ですが、心が苦しくて苦しくてしょうがないので、私どものセミナーにやってきて、癒やし体験などしてしまうわけです。

それまでは喜怒哀楽もほとんどなかった彼が、この失恋をきっかけに、怒ったり、涙を流したりして、どんどん感情を取り戻しはじめます。

その間に、やさしく彼に接してくれた彼女がいて、やがて彼はこの彼女と結婚することになるわけです。

ハートを閉ざした男性にとって、ひどい失恋というのはしばしば感情を取り戻すきっかけになるようです。

たとえひどい出来事でも、まったくなにもないよりもいい。

感情を取り戻し、表情を取り戻していくと、人生の喜びがわかってくることもあるようですよ。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。