視覚・聴覚・触覚
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
はじめて人を好きになったり、はじめてデートをしたという方からいただくご相談の一つに、「パートナーをなんとか楽しませたいと思うあまり、しゃべりすぎてしまって失敗してしまった」というものがあります。
こんな時期は、まだまだ男女関係に経験不足ですし、デート中にも「なんとか相手を楽しませなきゃ」と考えてしまうものです。若い方たちからは、「デートの最中に話す話題をレクチャーしてほしい」という依頼を受けることもあります。
そんなときに、われわれカウンセラーは、よくこんなふうにアドバイスします。「相手を楽しませてあげたいと思ったら、たしかに、あなたが楽しい話題を用意して、パートナーを笑いの渦に巻き込こんであげる方法もあるでしょう。でも、それよりも、もっと簡単な方法がありますよ。
それは、人はたくさんしゃべれたときほど楽しいと感じるということです。
カウンセリングの本は、必ず、われわれカウンセラーに、『傾聴』というのですが、「じっくりと相手の言うことを聞きなさい」と教えています。これは見方を変えれば、「カウンセラーはクライアントがいっぱい話せるようにしなさい」と教えていることになります。
自分がいろいろなことをしゃべることができればできるほど、私たちは楽しいのです。ですから、デート中のパートナーを楽しませたいなら、相手が話しやすい雰囲気や環境をあなたが作ってあげることが、とても大事なのかもしれませんね。
昔、テレビで観たのですが、銀座のママさんたちは、こんな接客術を身につけているそうです。それは、お客様の仕事や趣味などについていろいろなことを教えてもらう、『生徒』のようなポジションに入るということです。すると、お客様は自然に「もう、しょうがないなぁ」となって、いろいろなお話をするようになるわけです。
ママさんたちは、「へえー」、「まぁ!」、「なるほど」とうなずきながらお客様の話を聞きます。そして、「先生、きょうはとても勉強になりました。
私どものほうが授業料をお支払いしなくてはいけないほどですね。ホホホ」という状況になればなるほど、お客様はいい気分になり、何度も来ていただけるようになるらしいのです。
女性のお友だちどうしでも、久しぶりに会って、いっぱいおしゃべりをするのを楽しんでいらっしゃる場合は多いことでしょう。同じように、私たち人間は、いっぱいしゃべることが楽しいことになっているのかもしれませんね。
さて、ここで、男女関係が親密になっていくプロセスについて、少しお話してみたいと思います。
プロセス1)視覚によって認識する。
これは、相手とまだ話をする機会もなくて、目で相手のことを確認するだけの状態です。見たままの情報のみで、「かっこいい人だなぁ」とか「かわいい娘だなぁ」などと認識し、もう少し近づいて話し合えるような関係になりたいと思います。
恋愛初期の段階で「彼女の笑顔をずっとそばで見ていたい」という心理や、大好きな人の写真やアイドルのポスターを「見続けていたい」という心理もこの段階にあたります。
プロセス2)聴覚によって認識する。
この段階では、おしゃべりでのできるような近い距離に相手をおくことで、より親密感を感じます。プロセス1の視覚的な情報だけでは思い込みや判断が強くなりますが、ここではじめて、おたがいにコミュニケーションをはかることで、より正しい情報を入手します。
今回、このメルマガの前半に書いたことは、ここをテーマに書かせていただいたわけです。
プロセス3)触覚によって認識する。
さらに親密になり、おたがいにふれあうことができる状態です。私たちは、人に「ふれられる」ということに関してつねに『危険』を感じていますので、ふれられてもまったく『安心』な関係というのは、とても親密な関係といえるわけです。この段階では、「手をつなぐ」、「キスをする」というように、とくべつなレベルの親密さを作り上げているわけです。
ここでいう、視覚・聴覚・触覚の順番は一般的な基準です。
たとえば、セックスから入る恋愛というのも、昨今はありうるのです。これは、いきなり触覚的なところから入っていったわけですね。
男女関係では、よく『親密感』という言葉が使われます。どうも、私たちは好きな人を自分のそばにおいて、いつもふれあうことによって、愛情を確認したいようなのです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!