自分が大きな愛情を持っていることに気づくと、誰も悪く思いたくない心の本質にたどり着ける
誰も悪くないと思える自分になるためには、怒りを整理し、自分の価値を回復させていくことで、段々と許しの道を歩くことができていきます。許しは心を自由にしてくれ、そのことでパートナーシップについての自分の本当に気持ちに気づけ、自分の幸せを軸にこの恋愛の方向性を見つけていけるようになります。
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最終回は今までお伝えしてきたことを踏まえて「誰も悪くないと思える自分になる」ためのアプローチについてまとめていきます。
1.怒りを切り分けること
明らかに相手が悪い場合には、相手を責めない、恨まない、許してあげることはとても難しいですが、自分の中の怒りについて整理をしていきます。
そのためには、怒りが単純に相手への怒りだけでできていないことを理解することが役に立ちます。
怒りは、「相手への怒り」+「自分への怒り」でできているのです。
私のカウンセリングでは、ご相談者さんのお話を伺いながら、一緒にこの二つを切り分けていきます。
すると、相手への正当な怒りの大きさがわかり、そのことによって相手への怒りの量を減らすことができます。
つまり、それほど自分への怒りが大きいということなのです。
2.自己価値の回復
自分への怒りに気づけたら、そこにある誤解を解いていきます。
自分に怒っているのは「私のせいでこうなった」という自己攻撃です。
この時、自分に価値を感じられることができていません。
ですから、この自分の価値を回復させてあげます。
失恋を例にとれば、今までの付き合いの中で相手のためにしてあげたこと、彼もあなたにしてくれて嬉しかったことなどを整理していきます。
あなたに価値があるから相手のために何かできたのだし、あなたに価値があるから相手もあなたに嬉しいことをしてくれたのです。
すぐには難しくても、段々と自分の価値を回復していけると自分を責める気持ちが減って怒りも減ります。
3.許しへのアプローチ
怒りを整理し自分の価値を回復していくと段々と許しが進んでいきます。
許しは、相手にも何か理由があったのではないか、と理解をするところから始めていきます。
連載の第1回でお伝えした、音信不通の彼に対しての理解の例として「彼の実家が遠方にあって親が病気になり看病のために帰らないといけなくなった」というやむ得ない状況とか、「彼があまりにも自分に自信がなさすぎて結婚が怖くなってしまった」などです。
悪い態度がいいはずはありませんが、理解できると許しに進んでいけます。
しかも、理解が進むと「彼にも事情があったのなら、私だけが悪いわけではない」と自分を責める気持ちを許すことにもつなげていけます。
4.自分の感情に責任を持つという視点を使う
連載の第3回でお伝えした視点です。
被害者の位置にいると問題解決は相手次第になってしまいます。
自分の感情は自分で決められるという視点で整理していくと、相手のせいにせず、そこに学びと成長のチャンスを見つけていけます。
このことを実感できると「誰も悪くない」に気づいていけます。
5.次のステップとして、どうしていきたいか
被害者でも加害者でもなく、誰も悪くない、お互いに理由があったと感じられるようになると、本当にこのパートナーシップをどうしていきたいか、を感じられるようになっていきます。
何にも囚われていない自由な心で感じた時、二人の関係性をどうしたいのか、本当にこの人でいいのか。
そんな自分の本心に気づけ、選択していくことができるようにも進んでいけます。
この整理が進むと、自分が幸せになるためにはこの人でいいのか、と自分の幸せを軸に考えていけるようにもなります。この時、自分だけでなく、相手の幸せも考えてあげられているのです。
◇悩み苦しんでいるのはあなたには愛がある証拠
「誰かのせいにしない」視点について考えていくと、実は「誰かのせいにしている」時でも、悩み苦しんでいるあなたには大きな愛があることに気づいていけます。
明らかにパートナーの態度が悪い時でも、実は、自分を責めているとしたら。
しかし、この自分を責めていることに気づくことが本当に難しいのです。
その理由を深くみてみると、相手のせいにしておかないと自分が優しいことがわかってしまうから、なのですね。
どんなに悪い態度を取られても自分に原因を求めて責めてしまうのは、優しい証拠なのです。
でも、それを認めてしまうわけにはいかない。
認めてしまうことは、自分を甘やかすことになり、自分に厳しくできなくなってしまうから。
もしかしたら、あなたはこんな風に自分のことを叱咤しているかもしれないのです。
自分を責めていることに気づけない理由こそ、あなたの愛の証拠。
私はカウンセリングでいつもこのことをお伝えしています。
それだけ人の心は優しくできているということなんですね。
このことをいつも忘れないでおくことが「誰も悪くないと思える自分」になるためにとても大切なことなのです。
心は誰のことも悪く感じたくありません。逆に誰をも愛したいと思っています。
愛することが心を本当に喜ばせることに気づけると、そもそも誰も悪くないと思いたかった真の自分に気づけ、この視点で見ていくことができるようになります。
(完)