恋愛問題と異性の親

異性の親は初恋の人?

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

20代後半の女性からこんなご相談を受けました。

「いつも、付き合う前には「今度こそは」と思うのですが、いざつきあってしまうと自分の目の前にいる人に魅力を感じることができず、違う人の方がいいのではないかと思ってしまうのです」

「隣の芝生は青い」というのはよくある話ですが、彼女の場合、あまりにも毎回それが続く、ということなので、今、目の前にいる彼に、あえて魅力を感じないようにしているのはなぜか?と考えてみました。

女性からの恋愛相談をお受けしたときには、お父さんの話をしてもらうことがよくあります。

子供たちにとって異性の親は自分の初恋の人だと言われています。

基本的に「好きで好きで大好きなはじめての異性」というのは自分の父親や母親なわけです。

彼女にお父さんの話をしてもらったところ、お父さんは、日本全国に高圧電線を張る仕事をしていて、一度仕事に出ると、3ヵ月も4ヵ月も帰って来ないし、連絡も取れなかったそうです。

そういうお仕事ですから、家に帰ってきたときには、2週間から3週間ほどずっと家にいてくれるのですが、運動会や音楽発表会などほかの子にはお父さんが来てくれているときに、彼女だけお父さんがいなくて、よく大泣きをしていたそうです。

そんなことから、大好きだったお父さんを「お父さんはあてにならん!」と考えるようになり、どんどんどんどん嫌いになって、距離をおくようになってしまいました。

「お父さんは、私がこんなにさびしがっていることを何とも思っていないから、帰ってきてくれないんだ」と思い込むようになり、お父さんが家に帰ってきてもだんだん無視するようになってしまったのです。

弟や妹がお父さんと楽しく遊んでいても、彼女はお父さんを無視していたそうです。

彼女は、目の前にいる身近な大好きな人がいなくなってしまったり、自分の気持ちをわかってくれていないと感じることが、つらすぎるようで、それを防衛するために、最初から「期待しない」ということで自分の心が傷つかないようにしているようでした。つまり、彼女は本当は、お父さんがいつも自分のそばにいないということが、すごくつらかったのです。

「いつごろからお父さんをあてにしなくなったのですか?」と聞いたところ、彼女の8歳の誕生日の話をしてくれました。

お父さんは、彼女の誕生日に帰ってくる予定だったのですが、仕事が長引いてしまい、2日ほど遅れて帰ってきたそうです。

しかし、「誕生日にはお父さんに会える」と思っていた彼女は、2日間の延着を耐えることができず、お父さんとの心の扉を閉めてしまったようなのです。

彼女は「もし期待していたのに、お父さんが帰って来なかったら、どれくらい傷つくことになるだろう?」と感じてしまったようです。

だって、たった2日ですら、こんなに傷ついたわけですから。

それ以来、家にお父さんがいても、いつも心の距離をとり、自分を防衛していた彼女は、パートナーができても、お父さんと同じように、隣にいる彼を信じきれず、いつもほかの人のことを考えたりするようになってしまったようなのです。

イメージワークを使って、彼女にお父さんの気持ちになってもらいました。

長期出張の後、家に帰るお父さんの気持ちになってもらったところ、彼女はお父さんはいつも出張帰りにチョコレートを買ってきてくれたことを思い出してくれました。

彼女は、チョコレートが大好きで、お父さんが出張から帰ってくる度に「チョコレートは?」と言っていたため、いつも買ってきてくれるようになったそうです。

そのとき私は彼女に「お父さんにチョコレートを買ってもらってください」というに宿題を出しました。

実際、お父さんがチョコレートを買って彼女に手渡してくれたとき、彼女は大泣きしてしまったそうです。

お父さんは昔、「チョコレートを見る度に、お前の笑顔を思い出すよ」とよく言ってくれていたそうで、彼女はそのことを思い出して、お父さんとの心理的な距離が近づいたようです、。

それ以来、彼女はお父さんといろいろな話ができるようになり、それと並行して実際の自分の彼にも、自分が欲しいものやしたいことに関する話ができるようになったそうです。

私たちは大人になると、父の日や母の日にプレゼントをすることが多いようですが、たまには、何かプレゼントをねだってみるのも愛を受け取る実習になっていいのかもしれませんね。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。