自己表現に苦手意識があると、ネガティブな話題を選びがちになる
こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『高見綾』が担当します。
距離が近づくためにはお互いによく知り合うことが必要ですよね。
とはいっても、自己表現が苦手な人にとっては、何か自分のことを話さなくちゃいけないと思うあまり、一体何を言えばいいのかわからなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
◆言えていないのはネガティブな話題だけ?
自己表現に苦手意識があると、日頃から言いたいことを言えずに我慢してしまうことがありますよね。その、言えていない本音とは、ネガティブな内容であるケースが多いのです。
自己表現しようと思うと、自分の欠点を話したり、過去のつらかった経験を打ち明けたりといったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
もしくは、日頃感じているけど言えていなかった不満などを伝えてみるなど、「わかってほしい」「受け入れてほしい」と思っていることを言おうとしがちです。
でも、そういった自己表現を続けていくと、関係性が案外うまくいかなくなっていくことが多いかもしれません。
期待したほど距離が縮まらないこともあるでしょうし、相手から「そんなことは求めていない」という反応が返ってきてしまうこともあるでしょう。
すると、「せっかく勇気を出して表現したのになんで?」となりますよね。自己嫌悪や小さな後悔の気持ちが湧いてきてしまうこともあるかもしれません。
◆一歩踏み込んでみることで見えてくる世界
では、自己表現とは何なのか、一体何を言えば距離が縮まるのでしょうか。
本来は、自分のことなのだから言いたいことを素直に言えばいいんだよ、という話になるのですが、言えていない本音には、ポジティブなものも含まれているはずなのですよね。
自己表現に苦手意識がある人は、ネガティブな気持ちもポジティブな気持ちも、実は両方とも伝えていないケースが多いのです。
もし、あなたが「何を考えているのか分からない」「本音でしゃべってほしい」というようなことを言われたことがあるのであれば、ポジティブなものもネガティブなものも両方の気持ちが伝わっていないと思ってみていいかもしれません。
例えば、人見知りでうまく言葉が出てこなくて困っている場合は、「うまく言葉が出てこなくて、そんな自分が嫌になっちゃう」というのが本音かもしれませんが、そこまで悩むのは「みんなと仲良くなりたい気持ちがある」ことの表れでもありますよね。
パートナーとうまくいってないときに、不満をぶつけたくなるのは、「自分の気持ちをわかってもらって、パートナーに愛されていると感じたい」とか、「パートナーが好きだから、仲良くしたい」という気持ちが隠れていますよね。
どうでもいい相手なら、自分の気持ちをわかってほしいなんて思わないでしょうから。
こんなふうに、もしネガティブな気持ちが出てきたときには、もう一歩踏み込んで考えてみると、自分の中にあるもう一つの本音に気づけるようになるのではないでしょうか。
◆関係性が良くなるような本音とは
同じ本音を伝えるにしても、関係性が良くなるのは、やはり前向きな表現の本音でしょう。
先程の例で言えば、「あなたと仲良くなりたい」「あなたから愛されていると感じたい」の方を伝えてしまった方が、相手もうれしく感じます。
ちょっと恥ずかしいですけどね。
そう。本音って結構恥ずかしいものなのです。
心の中に葛藤があるときは、葛藤ごと全部しゃべってしまう方がよく伝わります。
例えば、「本音を話してって言われると何を伝えればいいのかわからなくて、うまく話せないんだけど、仲良くなりたいって気持ちはすごくあるの」といった具合に。
すると相手も「そんなふうに思っていたのか」とあなたのことが分かりやすく感じて、もっと理解しようとしてくれる可能性がありますよね。
もしネガティブな気持ちの裏にある前向きな本音に気づくことができたら、「自己表現しなくちゃ!」とあえて思わなくなる日が来るのも近いのではないでしょうか。
もちろん、「感謝」の気持ちを伝えるのもすごく良いと思います。
相手との関係性が良くなるような本音を積極的に伝えるよう心掛けてみると、自己表現への苦手意識も薄れていくはずです。
(完)