「フラれそう」と思ったときの考え方 〜何を手放して何を信頼するか〜

最善なことが起こるから、それを「信頼して待つ」という愛し方もある

おつきあいしている「はず」なのに、心がつながっているように感じられなくて心細く思うことがあります。相手の「愛」を感じられないときは、つい不安にかられて行動してしまいますが、そんなときこそ、状況と戦わずに、自分を見つめて自分を充たすための時期なのだと考えてみましょう。最善のことが起こると信頼できるといいですね。

 

●「期待はずれ」を受け入れよう

もし、あなたが誰かとおつきあいしているのに、つながりを感じられなくて不安に思うのであるならば、それはお互いに「期待はずれ」だと感じています。

あなたは、お相手と「毎日、話したい」と思っているとします。でも、思い出した頃に、ポツンと「元気?」のようなメッセージが来るくらいです。あるいは、業務連絡のような用件メールに終始しているとします。感情のやりとりが少ないと特別な関係性を感じにくいので、「私は、本当にお付き合いしているのだろうか?」と不安になりますね。

この場合、あなたのお相手への「期待」は充たされていませんので、あなたはがっかりしています。そして、自分の期待を満たしてもらうには、どうしたらいいかとあれこれ考えます。

このとき、知っておきたいのは、「期待はずれ」だと思っているのは、あなただけではなくて、お相手もそう思っている可能性が大である、ということ。お相手の「期待」は、あなたと違い、「毎日、話したい」ではないかもしれません。「面白い本の情報を分かち合いたい」かもしれませんし、何をどうやって楽しんでいるかがわかる写真があればいいだけかもしれません。いずれにしても、「おつきあい」に求めるものが、あなたとちがうのかもしれない、ということをまず受け入れる必要があります。

 

●「起きていることが正しい」と思ってみよう

相手の「期待」を満たせていないかもしれないと思うと焦ります。なんとか状況を改善できないかと思い、相手の「期待」がどこにあるのか探ろうとして、思いつくままに電話をしてみる、メールを送ってみるなど、関わろうとします。

でも、この段階で足掻いても、あまり効果はありません。どんなに相手の立場で考えようとしても、自分の「不安を解消したい」気持ちに掴まるので、うまくいかないのです。何かが違うのだとしたら、その何かがわからないうちに行動しても、墓穴を掘るだけになります。

それよりも大切なのは、「起きていることが正しい」と、今の状況を一旦、100%肯定してみましょう。

「そんなはずはない」。
「そうならないようにしたい」。

受け入れ難い気持ちが湧き上がるかもしれませんが、暴れる気持ちに「不安だね。怖いね」と声をかけながら、「でも、これでいいらしいよ」と繰り返し伝えます。

ピンチのときは、感情が収まるまで、闇雲に動くよりも、じっと「起きていることが正しい」と信頼して、状況を観察できるといいですね。

 

●「執着を手放す」とは、失敗を受け入れて成功を手放すこと

よく「執着を手放すといい」と言いますが、このとき、二つの執着を手放すと人生を前に進めることができます。自分が「うまくできなかった」という失敗と、「楽しかった」という成功体験の両方に執着するのですが、その両方ともを手放したいのです。

心がすれ違っている状況が受け入れられると、途端に怒りや悲しみが湧き上がってきます。それは、そうですよね。お相手といいパートナーシップが欲しくて頑張ってきたのですから。うまくいっていないことを受け入れるのは切ないものです。

どうしてもこの段階では、うまくいっていない「失敗」の犯人探しをしたくなります。お相手がするべきことをしていない、と腹立たしくなり、返す刀で、自分がお相手を上手に愛せなかったことを突くように自分を責めるのではないでしょうか。

カウンセラーとして多くの恋愛の問題をお聞きしていると、数々の「失敗」があっても、それでも続くカップルもあれば、1回、2回ぶつかって壊れてしまう関係性もあるわけです。もっとお相手を愛せるようになりたいと思うのはいいことですが、「だから自分はダメなのだ」、「愛されなかった」と自分を責め立てても、残念ながらいいことはありません。

「これは失敗だったなぁ」と受け入れることができると、怒りが溶けて悲しみが溢れてくるので、自分を労りながら、思う存分泣けると感情のしこりやもつれも解けてきます。

次に「楽しかった」という成功体験にしがみつきたい気持ちが上がってきます。これを失うのが辛くて、「うまくいっていない」ことを認められず、「楽しかった」ときにうまくいっていたやり方に頼るのですが、状況が変わっているので、それでは逆効果になるのです。

あなたがお相手を「上手に愛せなかった」としたら、お相手もあなたのことを「上手に愛せていない」のです。あなたが失敗感を持っているということは、お相手も同じで、失敗感とともにうしろめたい気持ちを抱えています。この罪悪感が刺激されるので、あなたの愛が重く感じられてしまうのです。

「楽しかった」思い出も、「過去」にする勇気がここは求められます。

 

● 「信頼して待つ」という愛し方もある

そうなってくると、自分には何もできることが無いように思います。確かに、行動は、何もしないほうがいいことが多いのですが、いつだってピンチはチャンスと背中合わせです。こんなときこそ、心が脱皮して、大きく変容し、成長するチャンスです。

ただ起きることをじっと見ながら、自分の気持ちと向き合い、自分で自分を労り、慈しむことが必要な時期だ、と考えてください。お相手とも、自分とも「戦わない」と決めることで心の平和が戻ってきます。

私たちにとって「愛せない」ことほど辛いことはありません。何もできることがないと思ったら、お互いにとって最善なことが起こるから、それを「信頼して待つ」という愛し方もある、と考えてみてくださいね。

(完)

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