とてもやさしくて紳士な最低なヤツ?
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
昔からよく、「女心のわからないヤツ」という表現がありますが、今日は、男女関係でよくある間違いについてのお話をしていきたいと思います。
とある女性のクライアントから離婚の相談を受けたのですが、彼女のだんなさまは、とてもやさしくてとても紳士な最低なヤツだったのです。
とてもやさしくて紳士な最低なヤツ?
実は、今からお話しするこのような男性はとても多いのです。
彼は、彼女の会社の4つ上の先輩で、理系の技術者。とても誠実でまじめな人でした。
彼女が一目ぼれ、猛アタックして、恋がスタートし、2年後に結婚しました。
彼女は、料理や家事のことはとても苦手でしたが、仕事はさらに大嫌いだったので、専業主婦を希望しました。
とてもやさしい彼は、彼女の申し出を受け入れてくれ、彼女の理想どおりの新婚生活がはじまったのです。
しかし、しばらくすると彼女は、働いていないせいか、夜、なかなか眠れずに、ついつい夜更かしすることが多くなり、その結果、朝、彼が出勤するころに起きてあげられなくなってしまいました。
それでもやさしい彼は、自分でトーストを焼き、生ゴミまでちゃんと出して、出勤をしていきます。
昼前になると彼女も目を覚ますのですが、寝起きの悪い彼女がしばらくぼーっとしていると、いつの間にか午後2時、3時になってしまい、洗濯するチャンスを逃すことが多くなりました。
そのころから、彼女は「私は専業主婦なのに、何もできない」と自分を責め始めました。
しかし、やさしい彼は、そのことで彼女を責めることもなく、「じゃあ、朝、洗濯機を回しておいてあげるから、目が覚めたら干しておいてね」と洗濯までしてくれるようになりました。
彼女がそれすらできないと、今度は彼が洗濯物を干して出勤する始末です。
彼女は、買い物のもままならず、料理の腕もまったくあがらず、レトルト食品に頼っていると、週末には彼が「野菜もとらないとね」と料理に腕をふるってくれるようになります。
もちろん、彼女よりもおいしく料理を作ります。
彼は、やさしくて紳士で完璧なだんな様とも言えます。
彼は、奥様を責めず、彼女のためにがんばることが、よいことだと思っているのでしょう。
しかし、その一方で、彼女の方は、どんどん自分がみじめになり、自分を責めはじめます。
そのうち、「私が奥さんじゃない方が彼のためになるんじゃないの?」とか、「彼には私など必要ないんじゃないの?」と感じてしまうのです。
彼のしていることは、とても立派で正しいことかもしれません。
しかし、「感情」に目を向けて考えると、彼のりっぱですばらしい行いのせいで、彼に悪気はないのでしょうが、彼の奥様はどんどんどんどん自分を追い詰めていき、とてもひどい感情を感じるようになってしまいます。
人によっては、「自業自得」ということで済まされてしまうかもしれませんが、彼が奥様を愛している場合、献身的に奥様に尽くせば尽くすほど、彼女を追い詰めてしまうことになるのは、とてももったいないことです。
まったく逆説的なのですが、「この人は私がいないと何もできないんだから」とか、「私が先に死んじゃったら、きっとこの人、栓抜きのありかすらわからないんでしょう」と思わせる方が、奥様に自信を持たせ、「してあげられることの大事さ」を教えてあげられるかもしれません。
私たちは、最高のパートナーシップの形を「相互依存」と表現するのですが、お互いがお互いを頼れる関係こそが、パートナーシップとして一番大事なもののようです。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!