ネガティブな思い込みは魅力を隠す
「自分には〇〇といった欠点・コンプレックスがあって、だから魅力がないって思ってしまいます」というお声を伺うことも少なくありません。いわば「自分が嫌っている自分」が色濃く存在するからこそ、魅力的ではないと判断しているわけですね。このような欠点・コンプレックスを魅力に変えていく方法があるとしたら、「自ら克服する努力」と「受け容れ、愛されるプロセスを歩む」の2つがあると考えられます。
「自分には〇〇といった欠点・コンプレックスがあって、だから魅力がないって思ってしまいます」というお声を伺うことも少なくありません。
いわば「自分が嫌っている自分」が色濃く存在するからこそ、私は魅力的ではないと判断しているわけですね。
このような欠点・コンプレックスを魅力に変えていく方法があるとしたら、「自ら克服する努力」と「受け容れるプロセスを歩む」の2つがあると考えられます。
今回は「受け容れるプロセスを歩む」の話をご紹介しましょう。
◯ネガティブな思い込みは魅力を隠す
ある女性は最近ご主人のご結婚されました。
が、どうしてもご主人のご実家に行くことが嫌で、なんとか避けられないだろうかと考える毎日。
そんな彼女の態度を見てご主人は、彼女のことを愛していながらも、「嫌なのは分かるけど、俺の実家をそこまで毛嫌いしなくてもいいだろう」という不満を抱えておられたようです。
どうしてそこまで毛嫌いするのか、とご主人が聞いても、彼女は「嫌なものは嫌なの、気をつかうし、疲れるし」としかおっしゃらない。これでは埒が明かないわけでして、どんどん二人の関係がギクシャクしはじめていったというわけです。
そんな彼女にとっての本当の実家に行きたくない理由は、「妻なのに家事が苦手。料理と掃除が全然ダメ」でした。
もともと「片付けられない」が彼女の悩み。だから彼女は「結婚したのだから家のことはちゃんとしなければならない」と思って頑張っておられたのです。
が、お姑さんと会うとなるとどうやら話は違うようで、どうしても自分のアラを探されているような気がして、ご主人の実家には生きたくなかったそうです。
しかし、どうして彼女にはそんな「家事ができない」という強い思い込みがあったのでしょう。そんな私はきっと女性として魅力的ではないと思い込んでいたようです。
その理由は彼女のお母さんと妹さんにありました。お母さんはとても家事ができる人で、妹さんもとても家庭的な方だったそうです。
ただ、彼女はどちらかというとアクティブでお父さん似。ただ、その彼女に惹かれた人こそご主人さんだ、ということはすっかりお忘れになっているようでした。
そして、彼女にとって、お母さんや妹さんの振る舞いが「妻・母の基準」になっていたのです。だから、そのように家事ができない自分を責めるようになったのです。
すなわち、彼女は「お母さんとの関係」を癒すまでは、ことあるごとに母と比較してコンプレックスを持ち続ける、そんな心理状態になっていたわけですね。
かつ、自分では絶対越えられない壁として母を認識しているからこそコンプレックスを抱えていた彼女にとって、お姑さんはまた「越えられない壁」のように思えてしまい、だから実家に行きたがらなかった、という話だったのです。
◯自分のコンプレックスを信頼できる人に差し出すこと
カウンセリングでは、母を許していくプロセスを勧めていきながら、ひとつのチャレンジをしてもらいました。
それが、お母さんと夫に自分のコンプレックスを打ち明けることでした。
これは自分の隠したい部分を表現することで、目に見えない隠れた葛藤(競争心)を手放す方法です。
まず、勇気を出してお母さんにそのことを伝えたら、お母さんに「そんなこと思っていたの」と驚かれたようです。母には自由で活動的な彼女が、きっとそんなことで悩んでいないだろうと思われていたわけです。
そして「私は好きだからやっていただけ。あなたができることからやればいい。」と言われ、すっと肩の荷が降りたんですね。同時に「私は今まで何と戦ってきたんだろう」と思ったそうです。
また、ご主人に話すと「何故実家に行きたがらなかったか」の本当の理由が伝わり、ギクシャク感がぐんと減ったそうです。
そして、ご主人に対してはもう一つのチャレンジをしてもらいました。
「家事がちゃんとできない私でも愛してくれますか?」と聞いてもらったのです。
繰り返しになりますが、ご主人は彼女が魅力的だと思ったからご結婚なされたわけですからね。「もうそんなことは気にしなくていいよ、僕ができることはやるから」と言われたそうです。
「心底安心したし、私からもっと夫を大切にしたいという気持ちが湧いてきた」と彼女はおっしゃっていました。
ご主人の実家に行ったときも「私がやりますから」とお姑さんに伝えると「そんな無理しなくていいのよ」と言われたことが嬉しかったそうです。今までであればそのお姑さんの言葉が嫌味にしか聞こえなかったでしょうが、彼女はその気持を素直に受け止めることができるようになったわけです。
その後、ご実家に行くことに対して随分と抵抗感がなくなり、今ではいい関係を築いておられるようです。
◯ネガティブな思い込みは魅力を隠してしまう
彼女は急に家事がうまくなったわけではありません。なにか劇的な変化を遂げたわけでもありません。
しかし、彼女のコンプレックスは彼女を苦しめるものではなくなりました。
ネガティブな思い込みは魅力を隠す。
ネガティブな思い込みは人の愛を拒絶する理由にもなり得る、というわけです。
ただ、自分の気持ちに素直になる勇気を持つだけで、悩ましい問題を手放すことができると彼女は教えてくれているような気がします。
必要なのは「自分の弱さを認め、表現すること」。
コンプレックスを克服するためにエネルギーとお金を投資することも一つの方法ですが、今の自分自身を受け入れ、苦手なところを誰かに頼むこともまた楽になれる方法だと言えるかもしれませんね。
(続)
- もう一度自分の魅力を実感するために 〜魅力をブロックする復讐心〜
- わかりやすい人になれば魅力は伝わる 〜感情を受け入れることがカギ〜
- コンプレックスを魅力に変えていく方法 〜ネガティブな思い込みは魅力を隠す〜
- 魅力的な自分とは「本当の目的」を生きる自分のこと