ネガティブな自分を愛することが自己肯定感を高めるコツ
心理的な葛藤の背景には、「自信がない」ことが問題の場合が多くあります。自信があったら、「不安にならない」「堂々とふるまえる」「気持ちが言える」「仕事で成功できる」「強気で恋愛できる」「夢にチャレンジできる」…などと考えることがあるかもしれませんね。
自信を持つのに必要なもののひとつは、自己肯定感です。
◆自己肯定感とは
自己肯定感とは、ありのままの自分でOKと思える気持ちです。「自己肯定」の文字から「自分の良い面を積極的に評価する」と捉えられがちですが、「自己肯定感」は欠点を含めた自分自身を丸ごと肯定的に受けいれることです。
人から褒められるような自分や、がんばっている自分は、比較的評価しやすいでしょう。しかし、隠しておきたいような「いまひとつな自分」の部分もあるのが人間だったりします。そして、それも自分の一部として愛していくことが自己肯定感を高めるカギになります。
また、自己肯定感に関してもっとも大事なのは、「自己肯定感が低い自分はダメ」と自己否定しないことです。どんな状態の自分でも「これが今の自分」と受けいれ、全肯定するところから始めましょう。何もしなくても自分はゼロ地点(マイナスではない所)に居て、何かできたら全部がプラスと発想していくようにしましょう。
◆自己肯定感が低いと
自己肯定感が低く自己否定がある状態では、次のようなことが起きやすくなります。
○人に振り回されやすい
自分で自分を認められないと承認欲求が強くなり、他人の評価が気になります。そのため、他人を優先して我慢したり、評価を得ようと無理してがんばったりしがちです。しかし、受けた評価が自己肯定に結びつかないと、常に新たな評価を求め続けることになります。どんなにがんばっても心は満たされず、やがて燃え尽きてしまうでしょう。
○「きっとうまくいく」と思えない
自己肯定感が低いと、「自分が悪い」「完璧ではない」「人に迷惑をかける」「役に立たない」など、すぐ自分を責めて苦しくなる傾向があります。また、チャレンジせずに「どうせ無理」とあきらめる場合もあります。
心理的には、自分が自分を否定していると、「きっと人も自分を嫌だと思う(ダメだと思う)だろう」と思いやすいものです。その結果、「嫌われる」「否定される」「拒絶される」などと怖くなって、人間関係がうまくいかなかったり、行動をためらったりしがちになります。
◆自己肯定感を高めるには
自己肯定感を高めるには大きく分けて2つのアプローチがあります。ひとつは、自分のいいところに焦点を当てて認めていくアプローチ。もうひとつは、いまひとつな自分を「これも自分」と受けいれていくアプローチです。特に大人が自己肯定感を高めるには、後者のアプローチが重要になってきます。
今回は、自己肯定感を高める4つの方法を紹介します。
○自分をほめる
「自分のいいところ」「自分ががんばったこと」を書き出して、自分をほめてみましょう。もし自分ではわからなかったら、人に聞いてみたり、過去にほめられたことを思い出したりしてみましょう。
ちなみに、自分のいいところは、普段自分が当たり前にしていることの中に隠れている場合が多いです。例えば、優しい人は優しさが標準装備なので、特別に優しくしている自覚はなかったりします。自分にとっての当たり前を見直してみましょう。
また、自分ががんばったことは、自分の基準で認めていきましょう。今生きていることだって、コロナ禍でステイホームすることだって、「がんばっている」ことなのです。
○感じる気持ちをただ認める
時には、腹が立つこと、悲しいと思うこと、うらやましいと思うこと、ネガティブな気持ちになることだってあるでしょう。そんな自分を嫌わないでほしいのです。自分の中にそれらの気持ちが「存在する」のをただ認めてみましょう。
お友達が苦しい胸の内を打ち明けてきたら、「そう感じたんだね」と共感するように、自分自身の気持ちを否定せずに「こんな気持ちがあるな」とうけとめてみましょう。「これも私の一部」と大切にしてあげましょう。
○愛を受け取る〜感謝する〜
あなたのことを大切に思ってくれている人に、感謝の手紙を書いてみましょう。その人がいつ・どこで、何をしたことで、どんな気持ちになったのでしょうか。感謝をすると、誰かから大切にされたと感じるでしょう。自分に向けられた愛を受け取ると、自分の存在を肯定しやすくなるでしょう。
○セルフ・ハグする
ハグには、癒しホルモンや幸せホルモンの分泌効果があります。特に気持ちが凹んだ時には、セルフ・ハグしたり、優しく丁寧に体をなでたり、自分を大切に扱ってみましょう。体温のぬくもりや体感覚で、無意識的に赤ちゃんの時に愛された記憶とつながり、自分を慈しみやすいでしょう。
自己肯定感を高める方法は他にもたくさんあります。自分に合う方法を探してみてくださいね。
(完)