自分自身と上手く付き合えないと、人とも上手く付き合えない
◆自分との付き合い方とは?
「自分との付き合い方ってなに?」と、みなさん思っていらっしゃることでしょう。自分との付き合い方を知るために、いちばんわかりやすい心理法則は「投影の法則」です。
投影の法則とは、自分の感情、感覚、観念などを、人やものに映し出し「さも相手がそう感じているのだろう」と感じることをいいます。自分の心のなかにあるものを、外側の世界に映し出しているので、投影と呼ばれています。
私たちは自動反応的に投影をしているので、もし自分に対する思いグセがあれば、それがあたかも真実であるかのように映し出されることがあります。
「自分が心のなかで思っていることなのに、相手がそう思っているのだろうと感じてしまうことだってある」ということです。それを思い込みといいます。
私は思い込みのことを「自分にかけた悪い魔法」と表現することがあります。それぐらい投影は私たちにネガティブな影響を及ぼすことがあるからです。
◆自分にかけた悪い魔法とは?
まず投影の法則の基本原則をお話します。たとえば、このようなご相談を頂くことがあります。
「私、友達に避けられているのかなと思うことがよくあって。ちょっとでもそっけない態度を取られると、なにか気に障ることをしたのかな、なにか余計なことでも言ったのかなと不安になるんです。人に嫌われるのがこわくて、相手の機嫌が気になって仕方がないんです。」
皆さんも似たようなこと、思ったことがありませんか?
じつはここにも投影の法則が働いているのです。
わかりやすいように、もしかしたら相手は自分のことを嫌っていないのかもしれないという想定をしてみましょう。心配事や不安の9割は起こらないという法則もあるぐらいですからね。
さて、ここで問題です。
相手が嫌っていないのに、なぜか嫌われているように感じてしまうとき、自分の心のなかの「何」を映し出しているのでしょうか?
投影の法則を使って考えてみましょう。そう、そのとおりです。自分で自分を嫌っているマインドを相手に映し出していると考えられるのです。
自分を嫌っていると、こんな思いグセをもつようになります。
・自分が自分のことをよく思わないように、人も自分のことをよく思わないのではないか?
・自分が自分のことを受け入れられないように、人も自分のことを受け入れないのではないか?
自分を嫌っていると、あたかも相手に嫌われていると感じやすくなります。投影は「自分が潜在的にもっている感情を映し出す」ということを知っておいてほしいのです。
◆悪い魔法はどうやって解くの?
「きっとあの人は私を嫌っているんだ」と相手のせいにしていたものを、「そう感じているのは自分かもしれない」と捉えなおすことを「投影を取り戻す」といいます。
きっと私は嫌われているに違いないと自分に悪い魔法をかけているときには、きっとあの人は私のことを嫌っているに違いないと相手にも悪い魔法をかけているのです。
自分のマインドを映し出していたのだと気が付くことができれば、自分のマインドを変えることで、人に対する感じ方を変えていけるということになるのです。
では、ここでまた問題です。
自分を嫌っていると、人からも嫌われているという感覚になる。だとしたら、人から嫌われていないという感覚を作り出すためには、どうしたらいいのでしょうか?
もう皆さん、おわかりですね。自分を嫌っていないマインドを投影できるようになれば良いわけですよね。
自分の良いところも、自分のダメなところも、その両方があって自分なのだと自分を受け入れるようになると、そのマインドが外側に投影されるようになります。
自分を受け入れるように心がけていくと、人もまた自分を受け入れてくれるだろうと心が捉えやすくなっていくのです。
投影というのは、外に映し出している世界を通して、自分の心の中を知るという大切な行為なのです。
言い換えるのならば、私たちは「自分が見たいように世界を見ている」ともいえるし、また「世界は私が作っている」ともいえるのです。
ということは、あなたが大好きな人に笑っていてほしいと思ったときはどうすればいいのでしょうか?そう、あなたが笑顔になり、笑うことですよね。
彼にもっと愛してほしいなと思った時はどうすればいいのでしょうか?そう、あなたがもっと自分を愛しなさいということですよね。
そう考えてみると「私が変われば世界が変わる」ということを実感していただけるのではないでしょうか?
(完)