男性の依存は「怒り」に転化しやすい
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
今回は、「すぐにキレて怒鳴り散らすだんなさんとその行為が理解できないと悩む奥さんのご夫婦」について、心理的な分析をしながらお話していきます。
このご夫婦は、結婚して10年以上になります。
だんなさんは、一流大学を出て、一流会社に勤めており、普段は温和そうに見えるのですが、家ではことあるごとにキレて奥さんに怒鳴り散らすそうです。
どんなことにキレるかというと、暑い夏の日に、だんなさんが家に帰ってきた時に、クーラーが付いていないというだけで激怒する。
桜餅を冷蔵庫に入れていないというだけで、真夜中に「桜餅を冷蔵庫に入れていないじゃないか!!」と大声で怒鳴り散らすといったことなのだそうですが、キレて怒鳴り散らした最後には必ず「お前は何もできないんだから」と言って、奥さんをひどくののしるらしいのです。
最近では、「この子が早く走れないのは、お前の責任や!!」と子どものことでも奥さんを責めるそうです。
「お前がちゃんとしないから、あんなふうになるんや!」と奥さんはだんなさんに言われるので、奥さんは謝らなければならなくなります。
奥さんにしてみれば、郵便ポストが赤いのも私の責任、地震や台風も私の責任というふうに感じてしまいます。
このご夫婦は、こんなことを十数年繰り返してきたのですが、ぜんぜんなくならないし、どうしてこうなるのか分からなくて、困り果てた奥さんがご相談に来られたのでした。
男女関係では、この種のことがよく起こります。
男性のみなさんにお伺いしますが、中学生や高校生のころ、親にものを頼む代りに「またぁ~、お母ちゃん、何回言っても分かってくれないな!!また、忘れてる!!」というふうに、親に対して怒ったことはないでしょうかか?
私たちは中学生から高校生ぐらいにかけて、「もう子どもじゃないのだから」と考え、甘えることを自分に禁止します。
そのため、親に甘えたり、頼んだりすることができないので、その代りとして「怒る」という表現方法を使うのです。
こういった経緯から、『男性の依存』は、「怒り」に転化しやすいのです。
つまり、このご夫婦の場合、だんなさんが奥さんに怒鳴り散らすということは、だんなさんが奥さんに甘えていると見ることができます。
ただ、上手に甘えられないんですよね。
だから、だんなさんがキレたり怒鳴ったりするのは、「なぜ分かってくれないの?」というのを奥さんに訴えているわけです。
さらにだんなさんの気持ちを探って行きましょう。
「一般的に、子どもとご主人では、どちらが手がかかるでしょうか?」
もちろん、子どもの方が手がかかりますよね。
ですから、だんなさんとしては、「俺はあいつら(子供)ほどお前の手をわずらわせてはいないよな」と思っているんです。
奥さんにしてみれば「はっ??」ということだと思いますが、だんなさんはそんなふうに感じているんです。
そして、「奥さんとしては、怒鳴り散らすだんなさんと、かわいい子どもではどちらが好きですか?」
もちろん、かわいい子どもですよね。
そうなると、だんなさんの気持ちが、少し理解できないでしょうか?だんなさんの心の奥ににひそんでいる気持ちは「ヤキモチ」「嫉妬」なんです。
でも、だんなさん本人もそのことには気付いていません。
こういったことは、長男の方にすごく多いです。
だんなさんは一流大学出身ですが、さらに長男だとすると、彼は人生のなかで多くのことをがまんしてきました。
なぜかと言うと、彼は「甘える」「頼む」ということをしてこなかったのです。
赤ちゃんは、泣くだけで、全面的に面倒を見てもらえますが、だんなさんにしてみると、子どもが生まれてからは、二人きりのときよりも、奥さんがだんなさんのために何かしてくれる時間は、すごく少なくなります。
すると、だんなさんは、「なにか損だな」という感覚を持ちます。
特にこのだんなさんのように甘えることが下手な人は、こんなふうに思います。
「他のことをいっぱい辛抱しているんだから、俺の桜餅くらい冷蔵庫に入れとけよ!桜餅くらいのことで、俺に怒らせるなよ!!」
彼が一番怒っているのは、「俺に言わせるなよ!!」ということなのです。
だんなさんは、「甘える」とか「頼む」ということをずっとずっとがまんして、がまんして、がまんしていて、最終的に言うので、キレたように怒鳴った言い方になるのです。
だんなさんががまんしているのは、本当は桜餅だけじゃないんです。
いっぱいいっぱいがまんしていることがあるような感じですね。
みなさんやみなさんのパートナーにとっても、そんなずっとがまんしていることがあるかもしれませんね。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!