ネガティブさを才能にする〜否定的・批判的・悲観的を才能に使うには〜

ネガティブさで自分を責めないで。ネガティブさは才能です!

ネガティブさは人間に備わる能力です。ネガティブさを使って自分を否定するのか、ネガティブさを才能と認めて活用していくのかは、自分自身で選択することができます。今回は否定的・批判的・悲観的なネガティブさについて、どんな才能なのか、どんなふうに活用していくといいのかを紹介していきます。

「私ネガティブです」と胸を張れる方は少数派かもしれません。どこかで「ネガティブなのは良くないこと」「ネガティブな自分は隠さなければいけない」と思っていませんか。今回は、ネガティブさは才能になるというお話です。

●人はネガティブなもの

ある研究によると、人は一日約6万回の思考をし、その80%はネガティブな思考だと言われています。データ的にも、人は基本的にネガティブ思考です。

また、人はポジティブな情報よりもネガティブな情報の影響を受けやすく、マイナスなことほど記憶に残るという心理(ネガティビティ・バイアス)があります。命を守るために、人はネガティブな刺激に敏感でいる必要があるのです。

さらに、ポジティブな情報は長持ちしない記憶の特性があります。プラスに思うことは積極的に思い出すようにしないと、簡単に忘れてしまいます。

人はもともとネガティブなもので、ネガティブは悪いものではないのです。

●ネガティブの活用法

ネガティブにはいろいろありますが、今回は「否定的になる」「批判的になる」「悲観的になる」の3つを才能に活用する方法を紹介していきます。

○否定的を予測力に

ネガティブなタイプには「よく考える」という特徴があります。特に否定的に考えるのは大得意で、最悪の事態を想定できる危機管理能力を持っています。これを才能として活用するには、「予測力」として使いましょう。

例えば、ハイキングに行くとします。ネガティブな人は、「虫に刺されたら嫌だな」と否定的にも感じるでしょう。だからこそ、虫よけスプレーや虫刺されの薬を事前に準備することもできます。もし予測力が役に立ったら、自分をほめてくださいね。

「事前に考える」「予測できる」というのは、ネガティブさのある人の才能です。否定的なネガティブさを「予測力」に使うと、あなたは大活躍できるでしょう。

ただし、この予測力を悪いことが起きる方にだけ使うと、気持ちは消耗してしまいます。良いことが起きる方の予測にも、その才能を活かしましょう。「最善を望み、最悪にそなえよ」というイギリスのことわざがあります。これ以上ないくらいの成功や幸せを想像する、意識的に「最善を望む」ことも忘れないでくださいね。

○批判的をサポート力に

ネガティブなタイプは、孤独を感じやすい傾向があります。人の輪には入らずに、外から眺めているような場合もあります。時には、他の人を「間違っている」「バカっぽい」などと、批判的に思うこともあるようです。

この客観的な距離感や、批判的な見方を持つからこそ「できること」があります。それは、全体像を捉えて、「どこに何が不足しているのか」「みんなの満足度を高めるにはどうしたらいいのか」「どう動くとより効率的になるのか」など、改善策を生み出すことです。

「私はひとりぼっち」と孤独に焦点を合わせると辛くなりますが、「周りを見よう」と意識すると、ネガティブだからこそ気がつけることがたくさんあります。この気づきをサポート力に使うと、才能が発揮されるでしょう。

ただ、サポート役は「何で私ばかり」「自分だけ損をしている」とも感じやすいポジションです。陰で支えることも多く、スポットライトが当たるのは他の人ばかりかもしれません。

それでも、サポート力を才能に使うコツは、出し惜しみをしないことです。能力の出し惜しみは、「何かしたい」と自分の中から湧き上がる活力を止めてしまいます。自分がイキイキするために、「自分のために才能を発揮しよう」と思ってみるといいのかもしれません。

サポート力の才能をケチらずに発揮していれば、自分自身に対して誇りが持てます。そして、人からの評価に左右されない自分軸ができます。それこそがサポート力を才能に使う醍醐味でしょう。

○悲観的を共感力に

ネガティブなタイプには悲観的になりやすい傾向もあるようです。それは、それだけ悲観的にならざるを得ない体験、悲しさやあきらめを経験してきたからでしょう。

心にある傷と痛みは、自分のために使おうとしても、残念ながら役には立ちません。けれども、悲観的になった経験を活かして周囲に目を向ける時、誰かの痛みを理解したり、人を思いやったりする共感力に役立てることができます。

経験してきた痛みがすべて、誰かへの優しさに換えられたなら、これまでの我慢やがんばりが報われるのかもしれません。人への優しさに使えた時に、過去の経験に意味が生まれ、「無駄じゃなかった」と思えるのかもしれません。自分の痛みを誰かのための優しさに使ってみましょう。

●ネガティブを才能にかえるために

才能を発揮するには、才能と認めて使っていくことが必要です。ネガティブさを自己否定の材料にするのか、ネガティブだからこそ「できることがある」と認めて発揮していくのかは、自分自身の選択次第です。

ネガティブさも、あなたの大切な才能のひとつなのです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。