“デッドゾーン”をどう越えるか
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
今回は、先週のお話の後編として、“デッドゾーン”をどう越えるかについてお話していきましょう。
男女関係は“ロマンス”に始まり、ケンカの時代である“パワー・ストラグル”という段階に進み、その後、「ケンカもしたし、言うことも言った。
でも、結局、関係性を変えることはできなかった。だったら、割り切りましょ、あきらめましょ。
そして、傷つかないようにやっていきましょ」という“デッドゾーン”の段階へと進んでいきます。
デッドゾーンの時代は、一見穏やかですが、昔、感じていた情熱やロマンスが二人の間から失せてしまいます。
結婚しているカップルの場合、とてもいい父で、とてもいい母かもしれませんが、情熱もロマンスもなくなっている夫婦が大半です。
要は、ラブラブな気分がなくなっているのです。
それぞれの中には、無意識的に“役割”ができあがり、ロマンスや情熱よりもその役割を守ることが大事になってきています。たとえば、前述の、よい父親、よい母親も役割です。
ほかにも、仕事、子育て、介護など、それぞれは素晴らしいことなのですが、ロマンスよりもそれぞれの役割が優先してしまうことが大きな問題なのです。
デッドゾーンにハマるとほとんどの人は、「自分が我慢し、辛抱さえすれば、関係性はうまくいくんだ」と考えます。
すると必ず、我慢した度合いだけ、あなたは別のなにかの中毒になったりします。
「ビールぐらい、好きなだけ飲ませろよ」というときもあるし、「ペットのワンちゃんだけよ。私を愛し続けてくれるのは」など、パートナーの代わりに情熱やロマンスを向けるものをつくり、それにエネルギーを注ぎ込んでしまったりするわけです。
ここには、「あなたがああいう態度だから、私はこうするしかないのよ」という怒りが隠されているので、このデッドゾーンはなかなか越えていくことができません。
また、あなた自身がガンコになっているとき、それはパートナーにも投影されますから、「あの人はすごくガンコだから、なにを言ってもムダ」と思えてしまいます。そうして、コミュニケーションも閉ざされてしまいます。
こうなると、あなたには、「このまま、かりそめの平和で生きていくのか、パートナーを変えるのか」という選択肢しかないように感じられるわけです。
しかしながら、ここで必要なものは、デッドゾーンを超えていこうという勇気です。
あなたが、もう一度、パートナーシップに情熱やロマンスがほしいと思うのと同じように、じつはそれが嫌いな人間など存在しないということを理解することです。
多くのクライアントさんから、私はこんなことを聞かされました。「うちの主人(うちの妻)にかぎっては、ロマンスをほしがらない人間なんです」。
しかし、パートナーからは、いまはあなた自身もそんなふうに見えているのだということを、みなさんは理解されていません。
向き合うには勇気が必要です。なぜなら、向き合ってしまうと、ケンカになってしまうかもしれないからです。
でも、したいことは、ケンカではないはずです。
ただ、もう一度、ロマンスがほしいだけなのですよね。
つまり、あなたの心の奥底にある、「あなたとのロマンスがなくなってしまった、ただそれだけで、これだけ傷ついてきた」という事実と向き合う必要があるのです。
そして、ここでさらに、みなさんの心の奥底に隠れているのは、「私は愛されていない」という間違った思い込みです。
デッドゾーンを抜けるには、何種類も抜け道がありますが、今日、私がみなさんにわかっていただきたいのは、この「私は愛されていない」という思い込みが、「愛されにくい私」をつくっているということなのです。
だって、もう長いこと、あなたはパートナーに、「ああしてもらいたい、こうしてもらいたい」というエネルギーをけっして表現してこなかったはずですよ。
「どうせ私は愛してもらえない」と思い込んでいましたから。
そこで、いま、いちばん必要になってくるのが、「あなたにこうしてもらうことが、私の喜びになるの。うれしいの」ということをパートナーにきちんと伝えることです。
これには、とても勇気がいります。
たとえば、奥さまに久しぶりにセックスを求めたいと思った男性のほとんどは、ストレートにその思いを伝えることができず、結局、「まあ、いいか‥‥」とあきらめてしまいます。
それは、いちばん欲しいものを拒絶されることを恐れるからです。
ものすごく傷つくことであり、それを恐れているからなのです。欲しいという気持ちをごまかし、“欲しくないもの”にしていきます。
そうして、また情熱やロマンスが遠のいていくわけです。
しかし、勇気をもって、あなたのパートナーに、あなたが心から求めるものを知ってもらいましょう。
これは、「愛されやすい環境をつくる」ということでもあります。
知らず知らずのうちに、あなたは自立し、孤立し、パートナーから見ると、どう愛してあげたらよいのかわからない人になってしまっていたのですよ。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!