「事始め」〜幸せと夢を叶える年末年始のヒミツ〜

今年も、もうすぐ終わりですね。
皆さんは年末年始の準備の真っただ中でしょうか?

そんな忙しさの中でも、ふいに今年を振り返る瞬間が一日の中であるかもしれませんね。
私も、この時期は新年の準備をしながら一年を振り返ってしまいます。

あなたにとっては、どんな一年だったでしょう?
良い、悪いを決めたくはないけれど「あれができなかった」「こうだったらなぁ」なんて、できなかったばかりに目を向けたくなることもあるかもしれません。
私も、ついつい「もっとやっておけば」なんて反省会が始まったりすることがあります。

でも、不思議なものでどんなに独りで反省会をしていても年末って何故か「来年こそは!」って気持ちが上向きになることってありませんか?
仕事納めに年賀状、大掃除に年始の準備、やることがいっぱいあるから…なんて昔は思っていたんです。
けれど、今になってよくよく思い返してみると年末に自然と私達がしていることがあるんです。

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皆さんは「事始め」という行事を知っていますか?
私は、「舞妓さんちのまかないさん」という漫画を読んで知りました。

「舞妓さんちのまかないさん」は、舞妓さんになるために青森から一緒に京都に出てきた二人の幼なじみの女の子のお話です。
百年に一人の舞妓さんになると言われて晴れて舞妓さんデビューをした、すみれちゃん。
「あんたに舞妓ちゃんは向いてへん。青森へお帰り」と言われたけれど、舞妓さんが共同生活を送る屋形で「まかないさん」として働くことになったキヨちゃん。

人一倍努力家で、舞妓さんになってからもずっと頑張り続けるすみれちゃんと、おおらかで毎日、屋形にいるすみれちゃんを含めた大勢の舞妓さんのために三度三度ご飯を丁寧に作り続けるキヨちゃん。
端から見ると生き方も性格も正反対の二人の一年を描いているお話です。
私は最初は読んでいて、舞妓さんになれなかったキヨちゃんのことが気になって仕方ありませんでした。
青森から舞妓さんになるために京都に出てきたのに、私だったらご飯を作るのが好きで「まかないさん」として働けたとしても複雑な気分になりそうだったからです。

でも、キヨちゃんは全然そんな表情を見せません。
むしろ、すみれちゃんが舞妓さんデビューをする時、踊りの舞台に立つ時、誰よりも全力で「おめでとう!」「やっぱり、すみれちゃんはすごい!」と喜ぶのです。
そして、すみれちゃんだけではなく、屋形の舞妓さん達がいつも舞妓さんでいられるように元気が出たりほっとするご飯を作り続けるのです。

そんな二人の「事始め」のお話。
12月に京都では芸舞妓さん達がお世話になったお茶屋さんや、お師匠さんにお正月の準備を始める前に一年の感謝を伝える行事を「事始め」と言います。
お茶屋さんやお師匠さんに挨拶巡りをして、他の舞妓さん達はもうクタクタです。
でも、すみれちゃんは夜のお座敷の前にもう一度、踊りの練習をして、キヨちゃんの作ってくれたご飯を食べてお座敷に向かいます。
その時、キヨちゃんに言うんです。
「おいしいごはんをいつもおおきに。相変わりませず。よろしゅうおたの申します」
そして二人で笑顔になってほっこりとした雰囲気のままお話は終わります。

お話としては季節の挨拶と日常を描いただけのお話です。
むしろ、幼なじみに改まって「事始め」の挨拶をするのは、私がもし、二人みたいな16歳の女の子だったら恥ずかしくてできないかもなんて思いました。
それでも、すみれちゃんがその挨拶をしたのは、キヨちゃんが「まかないさん」と言う舞妓さんを支えるプロの一人として一緒に成長を喜んでくれるのをわかっているから、この言葉を使ったのかもしれないなと私は思ったんです。

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本を閉じてから、年末に一人反省会が長く続かないワケを私はこの物語を通して気付きました。

昔から意識してはいないけれど、年末に自然と「事始め」みたいなことをやっていたんですよね。

仕事納めの時に「よいお年を」と言って別れたり、年賀状を書いている時に「旧年中は大変お世話になりました」と書いたりもします。
友達にも、恋人にも、家族にもSNSで「来年もいい年になるといいね」なんてメッセージを送ったりもしていました。
皆さんも年末に同じようなことはしていませんか?

特別に意識しなくても、節目のひとつとして普段はしない誰かへの感謝をしたり、一年間、私のことを応援してくれていたと意識して感じられる時が年末なのかもしれません。

独りで反省会をしている時、私もそうですが自然と自分ことを責めたり誰かと比べて落ち込んだりしてしまいがちです。
そのうち「どうして私は…」って自己嫌悪いっぱいになったり、周りの人が夢を叶えても嫉妬しちゃったりして喜べないことが苦しくなったりします。
でも、そんな自分は誰にも知られたくないから強がって見せないようにして、平静を装いながらも心の中は大荒れなんてことよくあったものです。
心の中で感情が大荒れで自分でも手が付けられないような時は、応援してくれても「でも応援するだけで何か助けてくれるわけじゃないじゃない」なんて心の中で拗ねちゃうなんてこともありました。

今思うと、助けても言えないくらい辛さも抱え込んでいたし、誰かを応援できない、一緒に喜べないことも苦しかったんです。
モチベーションがアップする反省会ならいいんですけれど、ずっと続いたり気分が落ち込み続けてしまう反省会をしてしまうのは目標を叶えることではなくて、心の目的が変わってしまっていることがあるんです。

その目的は、幸せにならないこと。

私達の心って私達が考える以上に、本当はとっても誰かを愛したくて幸せを喜びたいという気持ちが強いものなんです。
嫉妬してしまったり、自己嫌悪いっぱいの拗ねてる自分が応援してもらったり、夢を叶えても一緒に喜んでくれるなんて思いにくかったりしますよね。
仮にそんな状態で応援してもらってる、祝福してもらってる自分を想像すると隠れたくなったり、申し訳ないような、素直に「ありがとう」と言えないような気分になりませんか?
「私はそんなに応援できなかった。喜べなかったのに、そんなことをしてもらう価値はない」なんて思っていたりするんです。
だからこそ、独りで反省会という幸せな気分になれない時間を罰のように自分に与えていたりします。

「舞妓さんちのまかないさん」に出てくるすみれちゃんは、自分一人が舞妓さんになってしまったという気持ちよりも、キヨちゃんと一緒に喜びを分かち合い続けることを選んでいるんです。
夢や目標が叶っているから幸せじゃないんですよね。
一緒に分かち合える人と、お互いに素直に「すごい!」と言えて「ありがとう」を言い続けられることを選んでいるから頑張れるし、幸せなんだと私は思うんです。

でも、目の前の人もあなたと同じような気持ちの時もあるかもしれません。
けれど年末って、皆が独りで反省しなくていい空気になるんです。
テレビでもSNSでも、どこでも「今年一年、ありがとうございました」「よいお年を」そんな言葉ばっかりで溢れています。

何もできてない、してない一年なんて、私は誰もそんな一年じゃないと思うんです。
仕事でも、学校でも家族の中でも、「誰かが笑顔でいるために」「安心して過ごせるようになるために」いっぱいあなたがしてきたことがあったはずなんです。
そして、そんなあなたのことを誰かが、その人なりのベストな方法で寄り添ったり応援してくれていたりするんです。

それは、あなたにとっては健康になるために体に向き合ってきた日々かもしれません。
スタバの店員さんがカップに書いてくれたニコちゃんマークかもしれません。

失敗しちゃった、できなかった、そんなふうに今年の終わりも自分に言い続けないでください。

やってみようと思った、そう思えた自分に「頑張ってくれて、ありがとう」と感謝を伝えてあげても今はいいんじゃないでしょうか?

たくさんの「ありがとう」を自分にも誰かにも伝えて、伝えられて、そんな幸せな時間が「事始め」なのかもしれません。
反省会も大事な時もあるけれど、自分を責めたり誰かを責めたりしている時は、私達は独りで頑張っていたりするんですよね。

でも、そんな時ほど年末の「事始め」のような時間を思い出して「ありがとう」を見つけることが、気持ちを前向きにしてくれることがあります。
年末だけの行事にしないで、日々の中で反省会の時間が長くなる時は、この年末の皆がお互いに感謝できる空気をいっぱい思い出してみてください。

どんな人でも誰かの応援がなかったり、一緒に喜んでくれる人がいなかったら夢も目標もいらなくなっちゃうんじゃないかなと私は思うんです。
反省会で苦しくなっちゃうような人は、それくらい自分だけじゃなくて誰かも幸せにしたい人なんですよ。

私からも皆さんへ、今年一年、ありがとうございました。
来年も相変わりませず?
いや、きっと、もっと素敵な一年になることでしょう!
たくさんの感謝と幸せに溢れた年末年始をお過ごしください。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

お客様からは「話していて安心できる」「気持ちが落ち着く、整理できる」と定評がある。自身の過去のいじめから来る対人恐怖(男性恐怖)、過食症を克服した経験を持ち、繊細な感受性でお客様ひとりひとりの心に寄り添い、どんな時もお客様の魅力と光を見続けるカウンセリングを心情としている。