自分が正しいと思い込み相手を非難してしまう時〜ビリーフ編〜

自分が正しいと思い込み相手を非難してしまう理由

「自分の考え方が正しい、相手がおかしいのだ」と相手を非難したくなる気持ちが生じることはありませんか?そこには、もしかしたらビリーフ(belife)というものが関係しているのかもしれません!日本語では信念もしくは観念というのですが、それが自分の考えが正しいと思い込ませることがあります。

■ビリーフ(信念、観念)

正しさに拘ることで幸せが逃げていくことがあるということを前回の心理学講座で書きました。
ビリーフから、自分が正ししい、相手が間違っているという非難の気持ちが生まれることがあります。

とことでビリーフってなに?

そう思われた方もいると思いますので、まずはビリーフからの説明をしますね。

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私たちは、その人、その人、それぞれが思う常識的なものを持っています。
これは心理学ではビリーフ(belife)といい、日本語では信念もしくは観念という言い方で使われます。

ビリーフ(信念、観念)とは、

例えば、
“待ち合わせには5分前についておくべきだ”
とか
“人と会う時は身だしなみに気を使うべきだ”
みたいに、
〇〇は〇〇あるべきだ(もしくは、べきでない)
や、
〇〇の時は〇〇あるべきだ(もしくは、べきでない)
というようなことを、
人それぞれが無数に思い込んでいます。

“その人、その人、それぞれが思う常識的なものを持っている”という書き方をしました。

“人は常識的なものを持っている”
ではなく、
“その人、その人、それぞれが思う常識的なものを持っている”
です。

人は、それぞれ常識と思っていることが実は違うのです。

■ビリーフから正しさの争いが生まれる時

例えば、
”恋人&隠し事”について”のビリーフ(信念、観念)に関して、

Aさんという人は、
“恋人であっても本人が打ち明けたくないことは踏み込むべきではない”
というビリーフ(信念、観念)を持っているとします。

一方、
Bさんという人は、
“恋人同士は隠し事はすべきではない、全てをオープンにするべきだ”
というビリーフ(信念、観念)を持っているとします。

お互いにこれが常識、当然、当たり前のこと、正しいこと、などなど、ニュアンスは少々違えど、こうするものだと思い込んでいるものを持っています。

そんなAさんとBさんが恋人になるとどうなるのでしょう?

そう!
恋人にも隠して起きたいこと(いいたくないこと、打ち明けづらいこと等)ができた時に、お互いの思い込んでいる常識の違いから揉め事になる可能性がでてきます。

Aさんが仮に職場の人間関係で悩んでいたとします。
しかし、恋人であるBさんに弱音を吐きたくなく悩んでいることを隠しているとします。

Bさんは、Aさんの様子がおかしいの気づき、
「最近様子がおかしいよ。何かあったの?」
と聞きだそうとします。

しかし、Aさんは
「別になんでもないよ」
と悩んでいることを言おうとしません。

そんなAさんにBさんは、しつように聞き出さそうとします。

そんな時に揉め事が起きます。

Aさんの言い分
「人はそれぞれ言いたくないことだってあるのに、しつように聞きだそうとするのは、おかしいよ」

Bさんの言い分
「恋人なのに隠し事するっておかしいわ。後ろめたいことがあるから隠そうとするんじゃない」

などのように、
お互いが、相手がおかしい(間違っている)と非難するようなことがでてくるのです。

あなたには、Aさんと、Bさんのような、
お互いの思いこんでいる常識の違いから揉め事(もしくは相手を否定的に思う気持ちが生じる)がおきたご経験はございませんか?

■自分が常識と思い込んでいることに気づこう

お互いに、相手がおかしいと思っている時は、自分のほうはおかしくはないと思っていることになりますよね?

自分のほうがおかしくないと思うというのは、違う言い方をすると、自分の考え方は正しいと思っているわけです。

つまり、自分は正しい考え方をしていて、相手が間違っている考え方(相手がおかしいとか、相手が変、相手が非常識)をしているなどと思いこんでいるのです。
そして、相手に対して非難するようなな思いが生まれます。

そうすると、時には、先ほどの例え話のAさんとBさんのように、相手のことを声に出して否定することに発展することもあります。

もしあなたがAさん(もしくBさん)の立場で、
相手に非難するような思いを持っている時は幸せでしょうか?
言い争いをしている時って幸せでしょうか?

たぶん、そうではないですね。

〇〇は〇〇あるべきだ(もしくは、べきでない)
や、
〇〇の時は〇〇あるべきだ(もしくは、べきでない)
というような事柄で、
誰かに対して非難するような気持ちがでている時は、
少し立ち止まって、
自分の思っている常識(当然、当たり前のこと、正しいと思っていること)は、本当に常識なのかを疑ってみてはいかがでしょうか?

自分がそれが常識と思い込んでいただけで、
人によっては常識ではないのかもしれないということに気づけたら、
相手への腹ただしさがやわらぐこともでてくるかもしれません。

例えば、
先ほどのAさんと、Bさんだったら・・・

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Aさん
『僕が、恋人であっても本人が打ち明けたくないことは踏み込むべきではないと、そう振る舞うのが常識のように僕は思っていたけど、それは常識じゃなく僕の思い込みだったのかもしれないなぁ? 私は、恋人に私が思い込んでる常識にあわせた行動をとっていない!と怒っていたかもしれないなぁ。 自分ではそれが常識だと思っていたけど、僕は踏み込んで欲しくないタイプなんだとちゃんと説明しないと分からないことなのかもしれないな」

Bさん
「私は恋人同士は隠し事はすべきではない、全てをオープンにするべきだ”とそれが当然のように思ってきたけど、世の中にそれ以外の価値感の人もいるかもしれないな。言いたくないことがあるからって、相手におかしいと非難したり、後ろめたいことあるからだと決めつけたりするのは私が良くなかったなぁ。これからは気を付けよう」

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などのように、
自分は正しい考え方をしていて、相手が間違っている考え方(相手がおかしいとか、相手が変、相手が非常識)をしているとはかぎらないということに気づけるかもしれません。

そうやって、自分が正しい考え方をしているという思い込みが消えて、相手への腹ただしさがやわらぐことがたくさん増えるといいですね。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら

1.正しさよりも幸せを手に入れる〜本当に欲しいのは正しさ?幸せ?〜
2.自分が正しいと思い込み相手を非難してしまう時〜ビリーフ編〜
3.自分なりのやり方が産む人間関係の摩擦〜パワーストラグルからの脱出〜
4.自分のこだわりが緩められない時〜痛みを癒やすと緩められる〜

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。