自分なりのやり方が産む人間関係の摩擦〜パワーストラグルからの脱出〜

パワーストラグルからの脱出

人は経験を得て、 こうやったらうまくいく、こうやったら失敗しにくい、こうやったら傷つかないはずだなどなど自分なりのやり方を確立していきます。
それは良いことなのですが、ネガティブに出たときに人間関係の摩擦を生んでしまうことがあります。そんな時は自分のやり方を考え直す時期なのでしょう。

■自分なりのやり方の確立

何事も初期段階からうまくできる事は少なく、何かをし始めた初期段階はわからないことがたくさんあったり、 スムーズにいかなかったり、失敗することもあったりします。

それらの経験を経てだんだんうまくできるようになっていくのが一般的なプロセスでしょう。

例えば、
営業マンでしたら、
入社したてのころは、 仕事のことでわからないこともたくさんあり先輩社員に教えてもらいながら、徐々に覚えていく道を通ります。

なかなか売れなかったものも、経験を積むうちセールスのコツなどをつかみ、 スムーズに物を売れるようになっていきます。

経験のなさから、お客様を怒らせてしまうこともあるかもしれません。
しかし、 経験を積むうちに、どうやったら怒らせずに、どうやったら気分良く買い物をしてもらうのかというコツをつかみ、失敗することも減っていくでしょう。

そうやって経験をつむことで、
自分なりに上手く行くやり方、
自分なりの失敗を回避するやり方、
自分なりの効率的なやり方、
自分なりの合理的なやり方、
自分なりの考え、哲学を確立していきます。

それは、ゴールへたどり着くための道のりを自分なりに推測できる能力を身に付けたようなもので良いことと言えるでしょう。

例えば、
大阪から東京に車で行くとして、
「高速を使った方がスムーズにたどり着けるな」
「この時間帯に出発すると渋滞に捕まりやすいから時間をずらして行った方が困らずに済むだろうなぁ」
「 〇〇サービスエリアでお土産を買うと時間の効率的に使えるな」
などなど
自分なりに推測できる能力があると、ゴールである東京にうまくたどりつくのに便利ですよね?

例え話として、大阪から東京に車で行く話を使いましたが、
仕事、 恋愛、人間関係、家庭の運営の仕方などで、
どうやったらうまくいくのかとか、
どうやったら失敗しないかとか、
どうやったら傷つかなくて良いのか等々、
そこにたどり着くために自分なりのやり方を経験を通して身に付けていくのです。

■自分なりのやり方のこだわりが産むパワーストラグル

しかし、
これがネガティブに出たときに、
これが上手く行くやり方なのだ、
このやり方が正しいのだ、
これが失敗しないやり方なのだ、
これが効率的なやり方なのだ、
これが合理的なやり方なのだ、
この考えるべきなのだ、
こうあるべきなのだ、
等の思い込みが強くなり、
それ以外の考え方の人との摩擦を生んでしまうことがあります。

良いことであったはずなのが、自分なりのやり方への思いが強くなりするぎるがあまりマイナスの影響がでちゃうことがあるのですね。

例えば、
Aさんという会社員さんが、 同じ部署の人たちの意見をそれぞれ聞いて、みんなの意見を取り入れる形を取ろうとしたところ、意見がバラバラすぎてまとまらなかったという経験があったとします。

この経験から、みんなの意見を取り入れていたら仕事にならないと思い、ある程度、意見を聞いたらトップで意志決定をしてトップダウンでやっていたほうがスムーズに仕事を進められると思うようになっていったとします。

そして、 仕事はトップダウンでやっていくべきだという、Aさんなりの仕事のやり方を確立していったとします。
また、それで上手くやっていけていたとします。

そして、このAさんがあるプロジェクトを同僚のBさんと組んでやることになったとします。

同僚のBさんは、
プロジェクトに関わるみんなの意見を聞き、みんなの意見を取り入れる形を取る形で仕事を進めよう意見を提案したとします。

そんな時に、 Aさんの自分なりのやり方がネガティブに出たときに人間関係の摩擦を起こすのです。
「そんなやり方よりも、トップダウンで進めていくべきだ」
などと、
相手のやり方に否定的な見解をし、自分のやり方で進めるべきだを主張しすぎたりするのです。

もちろん自分のやり方を主張する事自体は悪いことではありません。
マイナスの影響を生む時は、自分のやり方への拘りが強くなり、それ以外のやり方には否定的になってしまっている時です。

これが上手く行くやり方なのだ、
このやり方が正しいのだ、
これが失敗しないやり方なのだ、
これが効率的なやり方なのだ、
これが合理的なやり方なのだ、
この考えるべきなのだ、
こうあるべきなのだ、
等の思い込みが強くなりすぎると、
自分のやり方以外には否定的になってしまうことがあります。

上記のような心理が強くなり、
自分のやり方を押しすぎるがあまり人間関係で摩擦がおきてしまう傾向が多い時期を
心理学ではパワーストラグルステージという言い方をします。

自分のやり方を確立しているのは悪いことではありません。
しかし、そのことで人間関係の摩擦が多くなってしまっているのはマイナスなのかもしれません。

人間関係の摩擦が多くなっているようであれば、
自分のやり方への拘りを 緩めていくことを考えてもいいかもしれません。

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例えば、
先ほどのAさんとBさんの例え話だったら、
Aさんがこう考えてもいいかもしれません。

「 自分の場合はみんなの意見を取り入れると言うやり方をやってうまくいかなかったけど、Bさんの人柄や、能力だったらうまくいく場合があるかもしれない。
Bさんが みんなの意見を聞いてそれを取り入れるやり方で進めようとするのはBさんが今までそのやり方で上手くやってきたからなのかもしれないなぁ。
一概に、そんなやり方よりも、トップダウンで進めていくべきだと押し付けずに、Bさんのやり方の話を良く聞いて考慮してもいいかもしれない」

と。

 

■自分のやり方について見直す時期

経験値を積み、自分なりのやり方を確立しているのは良いことです。

しかし、その自分なりのやり方で進めたい気持ちが強くなるあまり人間関係の摩擦を多く生んでいるようになっていたら(パワーストラグルのステージに突入したら)、そのやり方についての考えを見直してもいいかもしれません。

自分なりのやり方で進めることを重要視したいか?
それとも人間関係の摩擦を減らすことを重要視したいか?
ちょっと立ち止まって考えてみてもいいかもしれませんね。

もし、
人間関係の摩擦を減らすことを重要視したいのであれば、
自分のやり方へのこだわりを手放して、
相手も納得できるやり方を考えてみる視点を持ってみることにチャレンジしてみる時なのでしょう。

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例え話として、
仕事のやり方で例え話を書きましたが、
自分のやり方へのこだわりが強くなるあまり人間関係の摩擦が起きるというのは、
仕事関係だけではなく、
恋愛でも、
夫婦関係でも、
友達関係でも、
起きます。

そして、先ほど書いてみたのと同じように、
その関係で自分なりのやり方のこだわりから、人間関係の摩擦が多くなっているようであれば、同じようにやり方について考えを見直してみるといいでしょう。

例えば、
パートナーとの関係で、
自分なりのやり方で進めたい気持ちが強くなり、
パートナーとの摩擦が多くなっているようであれば、
パートナーも納得できる二人のやり方を見つける視点を持ってみることにチャレンジしてみる時なのでしょうね。

何かのヒントや、インスピレーションになれれば幸いです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら

1.正しさよりも幸せを手に入れる〜本当に欲しいのは正しさ?幸せ?〜
2.自分が正しいと思い込み相手を非難してしまう時〜ビリーフ編〜
3.自分なりのやり方が産む人間関係の摩擦〜パワーストラグルからの脱出〜
4.自分のこだわりが緩められない時〜痛みを癒やすと緩められる〜

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。