「いい人でいなければいけない」という思い込みが恋愛を遠ざける

いい人でいなければと思いすぎると恋愛を遠ざけたくなる

恋愛したいけど難しいとお感じの方の中には「いつもいい人でいなければならない」という強い観念に縛られている人がいます。その結果、自分に人を近づかせず、自分を知られたくないと隠してしまうことがあります。その結果、人と人が触れ合う恋愛が苦手になり、自ら遠ざけてしまうのです。

今回の4回シリーズは「恋愛が苦手になってしまう心理とその対処法」がテーマです。

連載3回目までは恋愛を遠ざける代表的なパターンの解説を、最終回はそのパターンからの解放について考えていきます。よろしければお付き合いください。

「私はいい自分でなければならない」という強い観念が恋愛を遠ざける

特段自分のことを悪い人間だとは思っていない。むしろ普段は理性的できちんと社会の中で生きている。真面目ではあるけれど友だちもいて、人付き合いもできる。

そういったタイプの方から「しかし昔から恋愛だけは苦手だと感じているんです(恋愛はしたいと思うけれど縁遠いです)」というお声を伺うことがあります。どうしたら恋愛や結婚ができるようになるのでしょうか、というご質問とともに。

じっくりお話を伺うと、どこか「私はいい人でなければならない」という強い観念が垣間見えることがあります。

「私はいつも〇〇のようにあるべきだ。」「プライベートでも〇〇のようであるべきだ。」「人と接するなら私は〇〇のようでなければならない。」

このような「べき思考」をたくさん抱えておられるような状態です。

もちろん人は「〇〇であるべき」と考えることがありますが、あまりにべき思考が強いと、自分自身の心の自由を感じられなくなったり、自分自身のことがよく分からなくなったり、実現したい夢や希望を叶えることに高いハードルを感じるようになることがあるのですね。

恋愛のケースで言い換えるならば、あまりに「私はいい人でなければならない」と強く思いすぎるために、恋愛など人との関わりに強いプレッシャーを感じている方がいるということなのです。

このプレッシャーは怖れの感情を示すものなんですよね。

だから、その怖れを感じながら恋愛と向き合うことになり、結果「恋愛ってちょっと怖い、リスクやハードルが高い」と感じてしまうことがあります。

その結果、自ら恋愛と距離をおいたり、遠ざけるといったことが起きる場合があるのです。

「いい自分でいられなくなること」を怖れると恋愛は怖くなる

さて、もし自分が「いい自分でいなければならない」と思うなら、その逆とも言える観念「いい自分でいられなくなること」が最も怖いことだと思わないでしょうか。

実は「いい人でいなければ」という思いは「いい人でいられなくなったら〇〇になってしまう」という不安から生じている場合が少なくないものです。

もちろん「大切な人にとっていい自分でいたい」と思うことが問題なのではありません。

それは大切な人への思いやりとも解釈できますし、与える意識のあらわれと捉えることもできるんです。

ここでは、いい人でいられないことが怖いと感じすぎていることが問題になりやすい、とご理解くださいね。

そもそも人間にはいい面とそうではない面の両面があり、両面があって当然なのです。

ただ、あまりにもいい自分でいられなくなることを怖れているとしたら、自分を知られたり、理解されたり、時には愛されること自体が怖くなってしまいますよね。

つまり「いい自分でいられなくなる」と「自分には愛されない」「愛される価値がなくなる」という思い込みが生じているとしたら、これは自ら恋愛を遠ざけてしまったり、近づかない理由にもなるでしょう。

 

自己概念と現実の自分が違いすぎるとしたら

度を超えて「いい人でいなければ」と思うとしたら、それ自体が自分を否定的に見ていることだとも考えられそうです。

このようなことは自己概念と現実の自分の不一致から生じる場合があります。

自己概念とは自分が思う自分であり、これは現実の自分と一致するとは限りません。

むしろ、一致していないから「いい人でいなければ」と思いこむことも少なくないでしょう。

自分らしい自分でいるためにできること

もしあなたが「いい人でいなければ」「いい自分でいられなくなることが怖い」と感じ、それゆえに恋愛と距離をおいているならば、自分を知る、見つめるといいでしょう。

「なぜ私はいい人でいないといけないと思い込んでいるのか」よりは、「どうしたらいい自分でいなければいけないという思い込みを手放して、自分らしくいられるようになるのか」と見つめてみるといいでしょう。

もっと自分を認めてもいいでしょうし、自分が過小評価している部分に気づいてもいいでしょう。

こんな自分であらねばならないという思い込みがあるなら、それを客観的に見つめ直してもいいでしょう。

自分が自分らしくいられるときはどんなときだろうと考えてみたり、自分のどこを成長させるとより充実感を感じられるだろう、自分が喜べることや達成感を感じられることはなにかなどを考えて見てもいいかもしれませんね。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら

1.「いい人でいなければいけない」という思い込みが恋愛を遠ざける
2.「もう同じ痛みを感じたくない」が恋愛を怖いものにする 〜恋愛とハートブレイク〜
3.「あの人と同じようにはなりたくない」が恋愛をネガティブなものにする 〜恋愛とシャドー〜
4.「私らしく愛すること」が幸せな恋愛を導く

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。