豊かさを人生に招き入れるためには、欲しいものを手に入れていいと思えることが大事で、幸せになるために全てを受け取っていいと自分に許可できるような自己肯定感がいります。
嫉妬される怖れや一人だけ恵まれてしまう罪悪感、被害者になれない怖さを超えて、欲しいものを欲しいという勇気をもつことが「豊かさ」の入り口に立つことになります。
樹に実がたわわになっている、
乳がとまることなく溢れでる、
それがアバンダンスでいう「豊かさ」のイメージです。
でも、それをありがたみをもって味わい、喜びを感じられなければ、仮にどれほどの豊かさを手にしていたとしても「豊かさ」=「幸せ」にはならないでしょう。
「豊かさ」は、銀行残高の多寡でも、資産の額でも、知識の量や友人の数などの定量的なものではなく、ふんだんに「ある」と感じられる「心」の状態だからです。
私たちは、つい「◯◯さえあれば幸せになれるのに」と条件をつけて、「今」「ここ」に「ある」もの、もっているものを過小評価したくなります。
「彼(女)さえいれば、幸せになれるのに」、
「子供さえいれば、幸せになれるのに」、
「病気さえなければ幸せなのに」、
「この家に住めれば、私は幸せなのに」。
・・・・・
その時は、本当に、真剣に、そう思っているのですが、人間って喉元過ぎればなんのその、彼ができればできたでデートの頻度や質や言葉じりやセックスに注文をつけたくなりますし、子供ができれば、思い通りにならないことが頭痛のタネになります。病気が治れば治ったで、仕事の有る無しが幸不幸を左右するかもしれませんし、大好きな家に住み続けられることになれば、今度は、親しい人たちがそばに住み続けてくれるかどうかが心配事になるやもしれません。
つまり、条件自体は、それがどんなに強い想いであったとしても、本当はあまり意味がなくて、むしろ、その条件を言い訳のようにして「今」の自分の状態を「不足」「不十分」だと見ている、その心の態度の方こそが「問題」なのです。
そして、この「見方」そのものを変える、と決める必要があります。
「幸せ」になることも、「豊かさ」を感じる心を受け取るのも、
「幸せになってもいい」
「豊かになってもいい」
という許可を自分におろすことが大事なのです。
豊かさを人生に招き入れる「心」は、 「欲しいものを手に入れていい」と思える「心」であり、 「幸せでいい」といえる「心」であり、「愛されていい」と自分にいえる「心」。そんな、
「すべて受け取っていいよ!」
という自己承認、自己肯定感、包容力をもてることなのです。
「ある」ことを喜べなければ、軽自動車ではなくベンツに乗るようになっても、6畳一間の住まいから5LDKの邸宅に住むようになったとしても、外車を何台ももっている人と比べて、あるいは邸宅を世界中に何件も持っている人と比べて、まだ「不足」「不十分」だと惨めさを感じることができます。実際、「ある」ことを喜べず、不幸せなお金持ちも大勢います。
「ある」ことよりも「ない」ことにばかりフォーカスしてしまうのは、「ある」ことを自分に許せないから。
不思議に思われるかもしれませんが、私たちは、「ない」と思うことの悲しみや怒りや無価値感よりも、「ある」という喜びを感じることの方がよっぽど「怖い」ようなのです。
「すべてを受け取ってしまったら恨まれないかしら?」と嫉妬ややっかみが怖いですし、一人だけ恵まれてしまうという罪悪感が出てきたり、これまで同じ立場にいた仲間を失うような寂しさを感じる人もいます。
何よりも、すべて欲しいものを手に入れ、願いが叶ってしまうと、もう「文句が言えない」、「言い訳ができない」という気持ちになり、それがとても「怖い」のです。
何不自由なく、すべて欲しいものが手に入り、望みどおりにやりたいことをやる自由と豊かさを持っている人を見たら、「文句を言う筋合いはないだろうに」と思いませんか?「怒ることなんかないよね。不満などないのだから、優しくできて当たり前でしょう」、「人を(上手に)愛して当たり前」だと思いませんか?
そしてそう期待した分、自分がその豊かさを受け取ることを思うとき、今度は自分もそう期待されるだろうというプレッシャーを感じることになります。
「嫌われちゃうかも」、「責められちゃうかも」、「がっかりさせてしまうかも」という怖れが出てきます。
ものすごく大きな喜びを受け取れる「心」は、そんな不安や怖れを引き受けられる「心」でもあります。
ひょっとしたら傷つくかもしれないけれど、それを厭わずに「欲しいものを欲しい」と思えることが、「豊かさ」を受け取る入り口に立たせてくれます。
◎エクササイズ2
あなたが「豊かさ」は欲しくないと思っているとしたら、それは何故だと思いますか?意識の上では、豊かになりたいと思っていても、無意識のレベルでは、豊かさを怖れているかもしれません。もし、わかるとしたら、「豊か」になることにどんな怖れがあるのでしょうか?メモしてみてください。怖れは気づくことで軽くなります。怖がっている自分を心の中で優しく抱きしめてくださいね。
>>>『3.豊かさ(アバンダンス)の心理学(3)~自分とつながる、人とつながる~』へ続く