あなたは情熱的になることにどれぐらい恐れをもっていますか?
こんばんは。
神戸メンタルサービスの平です。
先日、大失恋をしたクライアントさんのカウンセリングをしました。
彼女とはもう10年来のつきあいなのですが、10年前に私どもに来られたきっかけも失恋でした。
失恋後のどうしようもないつらさをなんとかできないかと思いながら検索するうちに、私どものサイトと出会い、カウンセリングを受けにきてくれたのでした。
失恋した経験のあるみなさんなら、そのときのなんとも表現しがたいつらさが理解できるかと思うのですが、あれはじつは、恋人から「もう愛してもらえない」ということではなく、大好きなあの人を「もう愛してはいけない」ということから生じるつらさなのです。
失恋が、なぜ、こんなにつらいのかというと、それは、いままでパートナーが心を満たしていくれていたものが、そっくりなくなってしまうからです。
ということは、パートナーがあなたに貢献していてくれた度合いだけ、それがなくなったときの傷も大きいといえるわけです。
つまり、失恋のつらさが大きいということは、角度を変えてみると、パートナーがそれだけあなたを幸せにしていてくれたということもできるわけです。
当然、そんなに私を愛してくれたパートナーでしたから、あなたもどんどん好きになったんですよね。そして、パートナーを愛した度合いだけ、失恋したときにその愛を止めることがまたつらくなるわけです。
大きな失恋を体験すると、多くの人は、「こんなにつらい思いをするならば、こんどの恋はほどほどにしておかなくちゃ。だって、失恋してしまったら、またこんなつらい目に遭ってしまうもの」と感じてしまいます。
実際、失恋がきっかけで、あまり恋に情熱をもてなくなったという人は少なくありません。
10年前の彼女も、同じような思いをもっているようでした。
しかし、そのとき、私は彼女にこう言ったのです。
「きみが風邪をひいて、熱を出して、ひどい目にあったとしよう。その後は、“また風邪をひいてしまったら、どうしよう‥‥”と、ビクビクとしながら人生を送るかい?」
「それよりも、“そのときはそのときで、病院に行き、熱さましを飲み、できるだけ早く苦しみから解放されるようにすればいい”と考えるほうが健全ではないかな?」
「恋も一緒。“次は、この失恋より、もっとつらい失恋になるぐらい、人を好きになってやる!”と思ってほしいもんだね」そのときの約束どおり、彼女はもっとつらい失恋をして、ふたたび私のもとに来てくれたわけです。
ちなみに、私はいつも受講生たちに、「びびってないで、もっと人を好きになろう」とエールを送り、そして、冗談で、「失恋したときはちゃんと弔ってあげるし、戒名も書くからね」とも言っているのです。
カウンセリングの中で、彼女は今回の恋がどれぐらいうれしく、楽しく、素晴らしいものであったかを語ってくれたのちに、それを失った悲しみや苦しみも伝えてくれました。
そして、カウンセリングの終わり、彼女は「くそー! 次はもっとつらい失恋になるような恋をするーー!」と叫んで帰っていきました。
次の恋も失恋と決めつけるのはどうかと思いますが、失恋にもけっしてくじけず、「もっともっと人を好きになり、恋にのめりこむ!」という彼女の決意は立派なものです。
彼女は昔から大のパパッ子で、深層心理の中には、「自分が男性であったなら、お父さんと男どうし、もっと楽しく遊べた」という思いがありました。
そのため、彼女は女性でありながら、仕事をするときはまるで男性のようで、職場の人々とも男どうしのようなつきあいのできる人だったのです。
が、その一方、恋が生まれ、自分の中の“大人の女性”を感じはじめると、自分をどう取り扱っていいのかとまどってしまうというパターンを彼女はもっていました。
しかしながら、この10年の間に、彼女は自分の大人の女性の部分をだいぶ成長させてくれたようでした。
そして、自分がほんとうにほしいもの、たとえば、「結婚できるパートナーがほしい」とか「女性として、もっと人生を楽しみたい」といったことが、ようやく自分のパートナーに言えるようになりました。
以前は「そんなことを口に出したら、きっと自分は嫌われる」と思っていたのですが‥‥。
失恋があなたに教えてくれるもの‥‥、それは、あなたが情熱的になることに対して、どれぐらい恐れをもっているかということなのかもしれませんね。
しかし、そのリスクに立ち向かう勇気をあなたがもてたなら、そのときはじめて、ほんとうに大事なものを手に入れることができるのです。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!