スケジュール変更が苦手な子どもとのつきあい方

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。

■発達障害の息子はスケジュール変更が苦手

私の息子は「発達障害」 の診断を受けています。そのためちょっとしたところで、独特の考え方や感じ方、反応の仕方をします。そのたびに、親である私は「なぜ、そんな反応になるの?」と頭を抱えることがたくさんありました。

息子の発達特性の一つに<突然のスケジュール変更が苦手>というのがあります。

発達障害はASD(自閉症スペクトラム障害)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)の要素が入り混じって発現するようで、同じ障害名がついていても一人一人が違う症状を見せる障害だという人もいます。発達障害を持たない人も一人一人個性がちがうのだから、当たり前、といえば当たり前の話かもしれませんが。

息子の場合は年齢とともにこだわりや苦手が緩んできていますが、やはり見通しがつかないことは好きではないし、急な変更が入るとプチパニックを起こしたり、不機嫌になったりします。

 

■献立変更でプチパニックになった息子

例えば、晩ご飯のメニュー。

事前に1週間分決めてしまうと、その通りに進まないと「なんで??」と不機嫌になります。

先日の出来事です。
スーパーで買い物をしているとき、息子の大好物の「肉厚ステーキ」が安売りされているのを発見したので、息子が喜ぶだろうと思って購入しました。

家に帰って息子に「今日の晩ご飯は『ステーキ』やで!」と言うと、息子は「え???今日、『肉じゃが』って言ってたやん。」と結構厳しい口調で反論してきました。

その時の会話。

私 :「え???だって、あんた『ステーキ』好きやんか?」
息子:「好きやけど、今日は『肉じゃが』って言ってたやん!」
わたし:「確かに言ったけど、材料もあるから今からでも作れるけど、明日作っても大丈夫やから・・」
むすこ:「・・・・・」(めっちゃ不機嫌な顔)
わたし:「ステーキ食べたくないの?」
むすこ:「食べたい・・・けど・・・・」(納得できない表情&戸惑う顔)
わたし:「どっちでも作れるから、ちょっとゆっくり考えて、答えが出たら教えて!」

30分後・・・

「今日はステーキ。明日は肉じゃが。そのあとは一個ずつ後ろにズレる感じでお願いします。」

それからしばらくして、
「大好きなステーキを食べたい気持ちはものすごくあるが、そのことで、予定が狂うことが気持ち悪いと感じるから、自分の中で一度予定をリセットして、今日からの予定をもう一度立て直したのだ」とも伝えてくれました。

 

■プチパニックにはリセットのため時間と空間が有効

新型コロナの影響で買い物に行く回数を減らして、1週間分の献立を考えるようにした結果、うちの息子が急な変更が苦手な子だったことを再認識した出来事でした。

小さなころは、急な変更が起こると癇癪を起したり、固まったりしていたので、わたしも、気をつけていたのですが、成長とともにある程度なら変更にも対応できるようになった分、これくらい大丈夫だろうと油断してしまっていたのです。

「好きなものが食べられるんだから、予定通りじゃなくても大丈夫だろう」と思ったわたしが甘かった、と気づいたのは、息子の「今日肉じゃがやって言ってたやん」という言葉を聞いたときでした。

けれども「せっかく買ってきたのに」という気持ちもあり、何とか説得したいと思ったので、そのまま会話を続けました。ところが息子の表情はどんどん曇っていきます。私はそれを見て「このままではまずい」と思いました。過去の経験から、これ以上追い詰めたら、息子がもっとひどいパニックを起こすと予想がついたからです。

そこで、ちょっと距離をとって、予定通りでもいいし、変更してもいい状態であることだけ伝えて、息子に選択権を渡すことにしました。

息子にとって「一人でゆっくり考える時間」や「自分で気持ちを切り替えるための時間」はとても大切です。

息子は、予定が変わる時に感じる「気持ち悪さ」をどう扱えばいいのか、とっさには思いつかず切り替えるのに時間がかかる、と言います。

そのための時間が必要なのです。

 

■子どもの困り感を理解できると愛おしさが増す

そばで暮らしていると、わかっていても、こういう息子の特性のことを「あーー。もうーー。めんどくさい!」と感じます。

でも、たぶん、私以上に「あーー!もうーー!めんどくさいっっ!」と感じているのは息子自身なのです。

「予定外に好きなものを食べられるぞ、ラッキー!」と思えたらラクなのに、「好きなものを食べたいと思うけれど、そのために予定が変わるのは気持ち悪いーー!」と感じているわけですから。

息子はそんな自分のめんどくささとなんとか折り合いをつけようと頑張ってるだなぁと思うと、私は知らず知らずのうちに「この子がんばってるやん!えらいやん!かわいいやつ!」と思っていました。

子どもの困り感を理解したとき、今まで気づいていなかった子どもがんばりに気づくことができます。そして、がんばっているわが子のことを誇らしく感じたり、愛おしく感じたりできるようになるのです。

子どもの困り感に寄り添うことで、私たち「親」もステップアップしていけるといいですね。

 

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