女性性と男性性がケンカをする?
◆無自覚にお母さんの女性性の痛みを引き継いでしまうことがある
私たちの男性性・女性性のバランスは育った環境に大きく影響を受けます。一般的には男性性の使い方はお父さんを、女性性の使い方は母親をモデルとして成長をしていきます。
たとえば、日本人にとても多いのは「母子癒着」の影響によるものです。お父さんが仕事に忙しく、お母さんがひとりで子育てに奮闘する。お母さんはさみしいので子供に癒着をする。
このような家庭で育った場合、お母さんはお父さんには頼れずにさみしい思いをしていることがあります。すると、お母さんはお父さんの愚痴を言うことが多くなったりします。当然のことながら子供は愚痴聞き役になりますが、子供はそうやってお母さんの感情に寄り添うようなことをとてもよくします。
お母さんがひとりで苦労しているいちばん近くにいて、お父さんの愚痴を言うのを聞いていると、子供はお父さんのことをリスペクト(敬意・尊重)しにくくなっていくのです。
そんな経験をした女性が大人になったとき、パートナーをもつことを望んでいながらも、まわりの男性が頼りなく見えてしまい、魅力を感じにくくなることがあります。それはどこかで「男性は頼れないもの、男性は当てにできないものだ」というようなハートブレイクをお母さんから引き継いでしまっているからなのです。
すると、とても魅力的な女性でありながらも、なかなか恋愛が始まらない、お付き合いしても短期間で別れてしまうなどのパターンをもつことがあります。
本人の感じる感覚としては「なぜ私は恋愛対象に選ばれないのだろう?」と悩んでいます。お父さんがそばにいてくれなかった、お母さんの女性性の痛みを自分のなかに取り込んでいるので、そう感じてしまうわけですね。
ですが、男性からすると「僕なんかが近づいてもいいのかな」と感じさせていることがあるようです。それはお父さんにガッカリした分だけ、そうなります。「なぜあんなに頼りにならないのかしら」「もっとしっかりしてもらわなきゃ困るわ」というリスペクトの無さが、近づいても相手にしてもらえないだろうという「壁」になっていることがあるからです。
ですが、これは心の中で、自分の女性性が自分の男性性に文句を言っていると見ることもできます。かつて、お母さんがお父さんの文句を言っていたのと同じように。
だとしたら、自分の中にある男性性を「もっと素敵なもの」として育て直すことができたら、もっと素敵な男性との出会いを増やすことができるということになります。
◆女性性のハートブレイクを癒すために
そのためには、お父さんの素晴らしさを再評価してみる必要があります。お父さんが家族にしてくれたことを見直して、お父さんの中にある男性性を価値あるものとして受け取り直す必要があるのです。たとえば「働くことへの忍耐強さ、家族を支える包容力、いざという時の決断力」などがそうです。
男性に対するイメージが良くないときには、自分の中の女性性が傷ついていることが多いのです。いうなれば、自分の中の女性性が自分の男性性に惚れていないのですから、男性を好きになれないのも仕方のないことなのです。
そんな時にチェックしてほしいのは「お母さんをかわいそうな人にしていませんか?」ということです。お母さんをかわいそうな人のままにしていると、癒着を剥がすことができないからです。癒着をしたままだと子供目線でしか物事が見られなくなるので、お母さんを母親ではなくひとりの女性として理解する目線が必要です。
たしかに、お母さんはお父さんとの関係性では苦労をしたかもしれませんし、愚痴も多かったのかもしれません。その反面、それを引き受けてでも、あなたという娘を育てあげるだけの「強さ」をもって歩んできた人、と見ることもできます。
苦労しながらも、その人生を引き受けるだけのしなやかさをもっているのが、お母さんのもつ「真実の女性性」とも言えるのです。そんな女性性をしっかりとお母さんから受け継ぐことができると、大人の女性としてのセクシャリティを手に入れることができます。
女性にとってお母さんの人生を受け入れるということは、大人の女性を受け入れるということでもあるのですが、お母さんへのリスペクトが無いと宝の持ち腐れになるのです。
お母さんの女性性を受け入れることができたら、その分だけ自分の女性性が上がることになり、女性としての生き方をもっと楽しめるようになるのです。
(続)
1.男性性・女性性を整えると人生が整う
2.男性性・女性性からみるパートナーシップのバランス
3.女性性のハートブレイクを癒すために
4.男性性と女性性のアンバランスさを整えるために