なぜか女性に嫉妬されやすい私
一般的にお父さんに愛された娘のパターンをもつ人は、仕事や恋愛を手に入れやすいといわれています。
これは子供の頃にお父さんという権威の象徴に愛された経験があるので、大人になっても「男性に愛される私」「社会に愛される私」をいうセルフイメージをもちやすいからだといわれています。
ただし、エレクトラの勝者の悩み(深層心理の中にある罪悪感)があって、それはお母さんからお父さんを奪ってしまったことなのです。
つまりはお母さんに「勝ってしまったこと」です。勝ってしまったがゆえに、その罪悪感を年上の女性に投影すると、職場の先輩女性に敵対心をもたれやすい、嫁姑問題が起きやすいなど、女同士の争いを抱えやすくなるのです。
また、お父さんに愛された娘のパターンをもつ人であっても、なかなか彼氏ができにくい場合があります。そういう人に多く見られるのは、それなりの年齢になっても、どこか子供っぽさが残っていて、結婚することや子供をもつことに抵抗感を感じるケースです。
深層心理の中に「自分は子供だから愛されてきたけれど、大人の女性になると愛されないのではないか」「大人の女性になると、お母さんと競争しなければいけないのではないか」「大人の女として競争をしたら、お母さんに負けるのではないか」という怖れがあります。だったら、大人になんてなりたくないという自信のなさが隠れているのです。
◆なぜか不倫になる私
エレクトラの勝者のパターンをもつ人が、お父さんからお母さんを奪ったという心の物語を再現すると、不倫の関係に苦しむことがあります。お父さんを奪ってしまったことが、お母さんへの罪悪感になっているとこのような関係性に陥りやすくなるわけです。
このタイプの人は、男性から愛されることは得意だけれども、自分から愛を表現することが苦手な人が意外と多いようです。男性から近づいてきてくれる分には良いのですが、自分から近づこうとしたときには、(無意識的にお母さんへの)遠慮が出やすくなるのです。
それはそうですよね。いつもお母さんからお父さんを奪っているような後ろめたさを感じていたのですから、自分から近づくことは「何か悪いこと」をしているような気がしてもおかしくありません。
だからこそ、お母さんへの遠慮は、自分からは好きな人や好きなものに近づけないという形で出ることがあります。つまりは「好きなものを好きだと言えない」という行動パターンとして出るのです。
お父さんに愛された娘というのは、もしかしたら「愛され上手でわがまま放題」のイメージがあるかもしれませんが、じつは「好きな人の前では好きと言えない。そっけない態度をとってしまう」ことがあるのです。
大好きな人に大好きと言ってはいけない。となると、本命になりにくい男性(自分がセカンドポジションになる)、距離のある男性ばかり(近づけない関係)を求めることになって、不倫や遠距離恋愛になりやすくなります。
深層心理的には、お母さんとの競争があって、自分が勝ってしまったことへの罪悪感が存在します。すると、その罪を償うかのように幸せになれない恋愛ばかりを選んでしまうのです。
ですが、このパターンをもつ女性の望みは、お父さんとお母さんが二人並んで、仲良くしていることなのです。子供の頃からずっとそれを願っていましたが、叶わなかったのでこのような悩みを抱えるようになったのです。
◆そこにあるのは心優しき人の物語
エレクトラの勝者のカウンセリングとしては「奪ったもの(父)をお母さんに返すワーク」などをすることがあります。これはちょっとしたイメージワークを使います。
お父さんをお母さんのもとまで連れていき、お母さんに戻します。お父さんとお母さんの手をとって、二人の手を結び、ずっと見たかった仲良しのお父さんとお母さんにようやく出会います。
そして、自分はそこからだんだんと距離を取って、両親から離れていきます。ここでは一旦、ひとりぼっちにならなければいけません。
ひとりぼっちになって歩いていくと、目の前に新しい扉が見えてきます。扉を開けてその先の世界を見てみましょう。そこにはあなたを待っている人がいます。その人は・・・
たとえばこのようなイメージですが、まさにエレクトラの勝者の人が望む心象風景です。本当に見たかったのは、仲の良いお父さんとお母さんの姿なのです。
その姿を見てようやくホッとして、自分のパートナーのもとに歩いて行けます。お父さんとお母さんが仲良くしてくれるのをずっと待っていたのです。これはとても心優しき人の物語なのです。
(完)