喜ぶ顔が見たくて子どもの反応に一喜一憂してしまう

■子どもを楽しませたい親心

子連れで旅行やレジャーに行くとき、親は「あれも楽しませたい」「こんなものも見せてやりたい」と思いますよね。

わたしも、息子が小さい時、そんなふうに思っていました。
あれこれ下調べをしては、「ここはきっと息子の気に入るだろう」とか、「ここで一緒に写真をとりたいなぁ」と思ったり、息子が喜ぶ状況を想像して一人でニヤニヤしてみたり・・。

ところが、我が息子とのレジャーでは「え???これ楽しくないの?」「え??そんな反応なの?」と予想を覆されることがよくありました。

 

■子どもの予想外の反応に戸惑う親心

例えば息子が5才くらいの頃の話ですが
USJのCMを見た息子が、「いきたーい」というので連れて行ったら、入り口まで来て「嫌だー!」と言い出し、入り口の手前で固まってしまったことがありました。
人一倍、場所見知りをする子供だったので、初めての場所に対する恐怖心が強く、落ち着くまでに30分から1時間くらいかかったからです。

当時は、場所見知りしているのだ、とは気づいていませんでしたので、「あなたが来たいって言ったんだよ。」
「テレビで見た時は、あんなにキャッキャ言っていたのに、どうして?」と戸惑うばかり。
後になって、息子の特性を知り「なるほどー!」とやっと謎が解けたのです。

そんな息子の特性を知ってからは、事前に予測していた反応と違う反応を示されても「今度は、何?」と息子の行動について興味を持って対応することができるようになっていきました。

 

■子どもの興味に視点を合わせて一緒に楽しむ

小学生の頃、砂の彫刻のある美術館に行ったときのことです。

砂で作られた展示物には、ちっとも興味を示さなかった息子が、砂の彫刻の作り方を説明しているVTRを見つけたとたん、その場にくぎ付けになって、「すっごいな。ああやって砂を固めて作るんだって。」
などと言いながら、作る様子を説明するVTRを10回近くみつづけました。

息子は、そのVTRを見ながら
「固めた砂を彫っていくんやで」
「うわ、これ、失敗したら、1からやり直しらしいで」
といちいち伝えてくれました。

(いや、いちいち言ってくれなくても一緒に見てるから・・)
と突っ込みたくもなったのですが、そこは、大人の対応として
「え、そうなん??」
「ほんまやなぁ」
と答えました。

息子は、自分の興味を持ったものに、わたしが関心を向けるのがうれしいらしく、
ますます調子を上げて説明し続けました。

そんな息子の様子を見ていると、なんだかわたしもうれしくなって、息子と一緒に何度もおなじVTRを見つづけました。

息子の行動に興味を持ち、息子の感じている面白さを共有することで、「息子と一緒に楽しむ」ことができたのです。

 

■子どもを喜ばせたいから、子どもの反応に一喜一憂する

わたしたちは自分の考えたやり方や自分の想像した形で喜びや楽しみを手に入れたいと思います。

親子であればなおさらです。

親は、子どもが喜ぶであろうことをあれこれ考え、計画を立て、子どもの喜ぶ顔を見て、満足感や達成感を感じますものね。

けれども、せっかくいろいろ考えたり工夫したりして準備したにも関わらず、喜んでもらえなかったり、楽しんでもらえなかったりすることもあります。

 

■「せっかく準備したのに!」と腹が立つのは…

喜んでもらえなかったり、楽しんでもらえないとき、わたしたちは「失敗感」を感じます。

自分のせいで、喜ばせられなかった、楽しませられなかった、という「罪悪感」を感じることもあります。

こういった感情は感じていたくない感情ですから、「せっかくわたしが、がんばって準備したのに、なぜ喜ばないの!!(怒!!)」と怒りを使って、嫌な感情を自分の心の奥に隠そうとします。

せっかくのレジャーなのに、せっかくの旅行なのに、イライラ・プンプン・・では楽しくないですよね。

 

■子どもの反応で一喜一憂しないために

わたしは、この子に喜びを与えたい。だから、あれこれ準備する。
でも、それを喜ぶかどうかは子どもしだいだから、うちの子はどんな反応をしてもいい!
さてさて、どんな反応をするかな?

というように、自分の思いと子どもの反応を分けて考えることができれば、「失敗感」や「罪悪感」、「怒り」を感じる度合いがぐんと減ります。

期待した通りにいかないこともあっていい。
そんなふうに考えてみませんか。

来週の「子育て応援」は池尾千里カウンセラーが担当します。
お楽しみに!

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
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