お母さんは、心の安全地帯

■子供がお母さんから欲しいものは安心感

子供の心配って尽きないですよね。

子供の成長に従って、心配になる内容も変わってくるかと思います。

赤ちゃんのころの

「今日も元気にミルクを飲んでくれるかな?」
「暑くないかな?」「寒くないかな?」
「体温は?ゴキゲンは?」

から始まって

「うちの子は、歩き出すのが遅いのでは?」
「うちの子は、全然しゃべらないけど大丈夫かしら?」

など、いつのときも親は子供のことが気掛かりです。

この頃は、黙って見守るしかないですよね。
なににせよ、まだ言葉が通じないですものね。

しかし、幼稚園や保育園、小学校と成長するに従い、心配する事柄も変わってきます。
そして、ほとんどの親は黙っていられなくなって、子供を正そうとしてしまうことって多いのではないでしょうか?

「この子は、ココがダメだわ」
と親が思っていること、または、誰かに指摘されたことなどがあれば
「この子の、ココを正さねば」
「この子の、こういうところを直さないと」
と、注意したり叱ったりします。

子のためを思ってのことなのですが、そのやり方は、子供からすると
「私ってダメな子なんだ」
「それが出来ない私は、愛されないんだ」
と自己否定の気持ちを持ちやすくなるのです。

子供にとってお母さんは安全地帯。
子供は、いつでもお母さんから ”安心” が欲しいのです。

「お母さんは、私を理解してくれる」
「お母さんは、僕を応援してくれる」

そんな信頼関係があると、子供は安心感を得ます。
そして、この安心感があると、なにごとも積極的に意欲的に取り組めるのですね。

 

■お母さんが感じる不安

たとえば、我が子の引っ込み思案なところを、心配しているお母さんがいたとします。
娘さんは中学1年生。

・ご近所さんに会っても「おはようございます」の挨拶が出来ない。
・親戚の集まりでも、私の後ろに隠れて、いとこの子供たちの輪に入らない。
・運動クラブに入っているけど、「声を出せない」と監督さんに注意された。

これまでも、お母さんなりに
「挨拶はきちんとしなさい」
と注意したり

「みんなと仲良く、一緒に遊んだら?」
と人と溶け込むように促したり

「チームワークのために、クラブでは声を出した方がいいよ」
と、アドバイスしてきた。

でも、なかなか改善しない。

この子には、求めるだけムダ?
この子は、こういう性格なんだと認めるしかないのだろうか?
そもそも、私が注意したり応援していることが、負担になっている?

もう、どうしてよいかワカラナイ!

そんなとき、親としては

「こんなことで、この子は将来大丈夫だろうか?」
「この先、人とのお付き合いが出来るのかな?」
「こんなに引っ込み思案で、社会から取り残されてしまうのでは?」

などと心配になるし、焦りの気持ちも出てくると思うのですね。

「もう、中学1年生なのに」
「中学1年生にもなって…」

と。

こういうときの私たちって、見事にネガティブストーリーに嵌ってしまったりします。
そして、子供の将来に不安を感じ、子供をなんとかしたくなるのです。

 

■お母さんは、心の安全地帯

確かに
「中学1年生にもなると挨拶くらい、言われなくてもちゃんとしなさい」
と思うお母さんのお気持ちは、よくわかります。
私も、そうでした。

が、子供はそれぞれ、個性もあるし成長のスピードも違うし、当の子供自身が上手く出来ない自分を、酷く責めていることもあります。

自分で自分を責めているところに、誰かに指摘されたとしたら、子供はどんどん自信を失ってしまいます。

大人からすると
・それくらい、出来て当たり前
・それくらい、わかっていて当然
と思うことでも、子供はまだまだ未熟で、日々色んなことを感じ葛藤しながら、がんばっているのですね。

特に、引っ込み思案で照屋さんな子は、人との距離が近いのが苦手だったりします。
けれど、だからといって人が嫌いなわけでもないし、積極性が無く意欲が無い、というわけでもありません。

むしろ、内面では強い芯を持った、情熱家であることの方が多いな、と私は感じています。
静かな情熱、とでもいいましょうか。

なので、ご近所さんに会ったときに、挨拶が出来なかったとき、それを叱るのではなく
「うちの子、ほんと照屋さんで~」
とフォローしつつ、ふたりになったときに
「〇〇ちゃんは、ほんとシャイだな~、今度は挨拶しようね」
というような “次はがんばってみよう“ と思える、声掛けをしてあげて欲しいのです。

すると、子供は、お母さんに
・守られている
・私を理解し応援してくれている
と認識します。

これは、子供に大きな安心感を与えます。
私を否定せずに、理解し見守ってくれている、というメッセージになるのですね。

同じ、子供のためを思っての発言でも、叱ったり注意したり、こうあるべき、という言い方は
「そのあなたでは、ダメ」
「そんなあなたは、受け容れられません」
という否定のメッセージになってしまいやすいのです。

これは、子供の自信を育たなくしてしまい、積極性や意欲を削いでしまう可能性を高めてしまいます。

どうせなら、子供が安心して色んなことに意欲的にチャレンジしてくれるような声掛けをしたいですよね。

とはいえ、お母さん自身が自分に厳しいと、頭ではわかっていてもつい、子供にも厳しくなってしまいがちです。
なぜなら、私たちは無意識に自分の心の中のものを、外側の誰かや何かに映し出す、投影という心の作用が働くから。

お母さん自身が ”挨拶は、いつでも誰にでもキチンとしなければならない” という強い観念を持っていると、子供にもそれを当てはめるのです。

そして
「なぜ、そんなことも出来ないの?」
と責めてしまいたくなるのですね。

そのような場合には、いつから、なぜ、私は私にこんなにも厳しいのだろう?と問いかけてみてください。
そして、もう少し、自分に寛容になってみようと思ってみてくださいね。

キチンと挨拶できることは素晴らしいことですが、お母さん自身が自分に寛容になると、子供のことも大らかに受け止めることが出来、結果、子供をサポートしやすくなります。

すると、子供との信頼関係も築きやすく、子供に安心感を与えやすくなりますよ。

「理屈ではわかるけど、なかなか、自分にも子供にも寛容になれない」
そんな時は、カウンセリングも利用されてみてくださいね。
お役に立てれば、嬉しいです。

お母さんは、子供にとって安全地帯です。
心の充電器、といってもいいかもしれません。

そのためには、お母さん自身がリラックスして自分自身に優しくしてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、少しでもお役に立てれば、幸いです。

来週は、那賀まきカウンセラーがお送りいたします。
どうぞ、お楽しみに。

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦、浮気、離婚などのパートナーシップから対人関係、子育て、また、死や自己受容のテーマなど幅広いジャンルを得意とする。 女性的で包容力があり、安心して頼れる姉貴的な存在。クライアントからは「話しをすると元気になる」「いつも安心させてくれる」などの絶大なる支持を得ている。