依存側からの一方的な連絡は相手に問題を突きつけることになりやすい?
「あなたの本当の気持ちを伝えてみてもいい」といった情報を見たりしたことってないでしょうか。
連絡しちゃダメ、と、気持ちを伝えていい。これは真逆の内容なのですが、一体どちらを信じたらいいのでしょうか。今回は自立と依存という視点から、2つの情報の意味を紐解いてみたいと思います。
今回の4回シリーズ講座は「恋愛・夫婦関係」と「自立と依存」の関係性について、恋愛や夫婦関係を向上させるために役立ついくつかの視点を4回に分けてお伝えしていこうと思います。
*
「彼にフラれてしまいました。でも、何とかもう一度やり直したいんです。」
「夫が家を出ていきました。でも、もう一度家族としてやっていきたいんです。」
このようなときに「今は連絡しちゃダメよ」という情報を見聞きしたり、逆に「あなたの本当の気持ちを伝えてみてもいいかもしれませんね」という情報を見たことってないでしょうか。
例えば、「彼にフラれてしまいました。でも、何とかもう一度やり直したいんです。」というご相談があったとして。
最初のころは「今は彼に連絡しないほうがいいですよ」という提案がなされていた。
しかし、カウンセリングが進むうちに「そろそろ彼に連絡してもいいかもですし、自由にしていただいてもいいんじゃないでしょうか」とか「そろそろ相手にあなたの本当の気持ちを伝えてみてもいいかもしれません」といった提案に変わった。
このようなことが起きる場合があるんです。
このとき「実はお二人の関係性が変化している」その可能性が高いときに提案の内容が変わることがある、と言えます。
その関係の変化は「自立」と「依存」という視点から見えてくるのです。
○好きになった側が依存・好きになられた側が自立
一般的な恋愛では、いわゆる好きになった側が「依存側」・好きになられた側が「自立側」となることが多いです。
平たく言えば、惚れた方が「依存」で、惚れられた方が「自立」となるわけです。
また、自立側は「今の関係をリードしていく側、与えていく側、問題を起こす側」となります。
一方、依存側は「相手を受け止める側、合わせる側、(二人の間の)問題を見つける側」となります。
これがまず基本的な考え方です。
○依存側からの一方的な連絡は「相手に問題を突きつけることになりやすい」
今回取り上げているような「彼ともう一度やり直したい」というご相談をいただいたとすると、彼とやり直したい側は「依存側」となっていることが多くなります。
自立側が「別れたいと言った側」であり、依存側は「別れたいと言われた側」になりますからね。
ここで「彼から別れたいと言われてすぐ」という時期を想定すると、「彼ともう一度やり直したい」と思う側は、やり直したい相手を受け止めるつもりでも、ついつい「二人の間にある問題を見つけてはそれを解決しようとする意識」が強くなりやすいんですね。
二人の関係を取り戻したい気持ちが強ければ強いほどそうなりやすいといいますか。
だから、ダメだと分かっていても、つい相手に何か伝えたくなって(問題を解決して関係を取り戻したいと思って)連絡を取りたくなるのです。
例えば「私が悪かったところは直すから」などと伝えたくなってしまうわけです。
ただ、依存側は「問題を見つける側」ですから、相手の置かれている状況を理解する意識より、「問題を解決すれば二人の関係はもとに戻るのではないか」と考えやすいのです。
言い換えるなら、今の状況や相手の気持ちを理解する余裕がなく、物事をうまく進める方法ばかり考えてしまいがちなのです。
一方、自立側は「問題を起こす側ですから、例えば自ら浮気などの問題を起こしたり、自分の問題に直面し、葛藤を抱え悩んだ挙げ句、もう関係を続けられないと感じる側になるわけです。
このとき自立側はできる限り感情的になりたくないと思うことが多いです。問題と直面することを避けたいがゆえに、今まで以上に感情を抑えて今の状況を捉えるようになっています。
その相手に「二人の問題はこんな風に解決していけばいいと思うんだよね。私はまだ好きだからやり直したい」と伝えてたとしたら、どんなことが起こるでしょうか。
いいか悪いか別にして、おそらく自立側は再度自分の問題を突きつけられるような感じがしてしまう可能性が出てきます。また、必死に感情的に迫られることでよりしんどい思いをする場合も出てきそうです。
つまり「彼から別れたいと言われてすぐ」という時期を想定し、かつ、自分自身が依存の立ち位置にいるときほど、一時的にコミュニケーションを増やさないほうが今後のことを考えれば得策となる、と考えたほうがいい場合があるのです。
よって、「今は連絡はやめておいたほうがいい」といったご提案になることがあるんですね。
○自立と依存が変わると状況も変わります
しかし、カウンセリングなどを通じて自分と向き合ったり、癒やすことを進めていくと、依存側が理性的に今の状況を捉えるようになることがあります。
今起きていることを事実としてしっかり受け止めたり、今までのように悲しみなどの感情に流されないようになると、次第に自分のこと、相手のことを冷静に見ることができるようになるんですね。
このとき、これからどうなるかわからないにしても「こちらから相手のことを愛してあげたい」「この関係をいい方向にリードしていきたい」といった思いが芽生えることもあるでしょう。
(同時に、自立側に回ると自分の問題も意識しやすくなるので「そこまで昔の関係に戻りたいわけじゃないかも」と感じやすくなるのですが)
つまり、依存側、問題を見つける側にいた人が、「今の関係をリードしていく側、与えていく側」へと徐々に変化していく場合があるのです。
このとき、今まで自立側だった相手が依存側、受け止める側に回ることになります。
こうなると(ケースバイケースではありますが)こちらから連絡をして相手に気持ちを伝えても相手に受け止めてもらえたり、問題ではなく未来志向の話をしやすくなるわけですね。
このような自立と依存が逆転している場合、よほど相手が頑なに拒絶していないならば「一度関わってみるのもありですよ」というご提案をさせていただくことがあるわけですね(全てがそうだというわけではありませんが。)
このようにご提案が変わるのは、お二人の間の「自立」と「依存」の関係性に変化が生じているときが多いのです。
つまり、二人の間に変化があり、そこでお互いの態度や心境が変化しているからこそ「今できる関わり方」を選べるようになると言えます。
そう考えると、二人の関係(自分の立ち位置)が変わらない場合ほど、関係修復のハードルは高くなると言えるのです。
(続)
- 彼ともう一度やり直したい。でも連絡してはダメ? 〜自立と依存の視点から〜
- 「惚れたら負け」は本当? 〜関係を対等にするために必要なこととは〜
- 自分の問題で悩み始める自立側の心理 〜自分が許せず悩む人たち〜
- 自立と依存のバランスをとることがよりよい関係につながる