親として○○でなくては!」という思い・・・
もし、その思いであなたが苦しくなっているのなら
もしかしたら「自分の親(特に母)に対する不満や怒り」が隠れているのかもしれません。
■以前の私は母なのに家族と別行動なんてしちゃいけないと思っていた
わたしは、子どもが小学生の頃から、少しづつ、自分一人の時間を作るようにしてきました。一泊程度の一人旅に始まって、今では10日くらいなら家を空けても大丈夫だし、たまにはそんなリフレッシュをしてもいいよね、と自分に許可を出すこともできます。
けれども、以前のわたしは、「母親が家族を置いて、一人で‥。なんて、ゼッタイだめ!」と思っていました。
母として、妻として
「そんなことは絶対しちゃいけない!!」
「そんなことをするのは母失格、妻失格だ」
「母なら、妻なら、自分よりも家族優先であるべきだ」
と思っていたからです。
■今、「してはいけない」と思っていることのルーツは親への不満や怒り
わたしがそのような思いを強く抱いていたのは、心の奥で、自分が子ども時代に感じていた親(特に母親)への怒りが隠れていたからでした。。
(わたしの家は兼業農家で、両親ともに仕事を持っていたため、母は仕事と家事と農業でいつも忙しい上に、障害を持つ妹の世話で、わたしと過ごせる時間はとても少なかったのです。)
当時は自覚がなかったのですが、心の中ではかなり怒っていたようで、「私は、絶対、母のように子どもを放っておいたりしない!」と、必要以上に感じていたようです。
人間ですから、子育てに疲れたり、夫婦の時間にうんざりしたりすることだってあります。時には、「家族と離れて一人の時間を持ちたい」と思うことだってあります。
でも、そんなとき「そんなことをしたら、わたしのそばにいてくれなかった、あの母とおんなじじゃないっ!」と感じてしまうので、自分の「ひとりになりたい」という気持ちをぐっと飲みこんでガマンしていました。ガマンするのは苦しいことですが、どんなに苦しくても、「母と同じになるのはイヤだ」と思っていたのです。
「許せない!」という怒りの気持ちがあると、「たとえ自分が苦しい思いをしても、ああはならないっっ!」「それくらいだったら、楽なんてしなくていい!」
「なんだったら、幸せになんてならなくてもいいもんねっ!」と意地を張りたくなります。
「あんなことを許すくらいなら、苦しくても今のままでいいっっ!」と思ってしまいます。
許せない気持ちが最優先になって、そのために自分が楽になることや幸せになることを遠ざけてしまう、だなんて、なんだかもったいないと思いませんか?
■子ども時代に感じた「親への怒り」が今の自分の幸せを遠ざける
「わたしのことを理解してくれなかった親を許せない!」と思いすぎていると、自分が誰かを理解できないということに嫌悪感や罪悪感を感じます。
そして、必要以上に「相手を理解しなければ!」と自分を追いつめてしまいます。
「わたしにものすごく怒った親を許せない!」と思っていると、自分が誰かに対して怒ることを許すことができず、腹が立つことがあってもぐっと我慢をし続けたり、耐え続けたりするかもしれません。
そんなに辛く苦しい思いをし続けなくても「親を許せばいい」だけなのですが、
これがなかなかできないのです。なぜなら傷ついた度合いが大きければ大きいほど、「あんな人を『許す』だなんてしたくない!」と思うのも、また、事実だからです。
その難しさを知ったうえで、カウンセリングの場では「許してみましょうね。」とご提案させていただくことがあります。
なぜなら、怒りを手放すことで、自分がラクになれるからです。
■自分がラクに(幸せに)生きるために「許せない思い」を手放す
例えば「親が子供である自分を優先してくれなかった。だからわたしはそうしない!」と頑なになっていた昔の私の場合。
「でも、親だって、子供を優先し続けるのはむずかしいよな。」
と、少しだけでも、親を理解することができると
「あの行動には、今でも腹は立つけど、そういう時もあるよな。」
と許すことができました。
すると、自分に対しても、「親なんだから、なんでも子供優先にしなきゃ!」というルールが緩んで、「たまには、自分の時間を持ってもいい」と思えるようになっていきました。
誰かに対する怒り(許せないという思い)が自分自身を苦しめているのなら
自分がラクに(幸せに)なるために
怒りを手放してみよう!
相手を少し理解してみよう!
少し許してみよう!
そんなふうに思うところから始めてみるといいかもしれませんね。
来週は、池尾千里カウンセラーがお送りいたします。
どうぞ、お楽しみに。