誰かを大切にすることから気づく、自分を大切にするということ
「自分を大切にするってどういうこと?」
カウンセリングや講座等の中でこうした質問をされることが結構あります。
自分を大切にするとは、自分の価値に気づいて、そんな価値ある自分だから大切に扱ってあげましょう、という意味なのだと私は思っています。
しかし、私たちは自分になかなか価値を見出せないので、自覚している以上に自分を大切に扱うことができていません。
自分を大切に扱わないということは、自分を乱暴に扱うことにつながります。
例えば、無茶をしたり、無理をしたり、我慢したり等、こうしたことを自分自身にやってしまっては、負担が大きくなり、疲れるし、元気がなくなるし、物事がうまくいきません。
別の言い方をすれば、自暴自棄の状態と言ってもいいかもしれません。
ただ、わかりやすく暴走しているだけでなく、自分の心を自ら責め続けることも多いので、一見するとわからないこともあります。
また、この状態だと、それを見ている周りの人も近づきにくくなってしまいます。
自分を責めてボロボロになっている人がいたら、それを見ている人も苦しくなってしまいます。
自分を大切に扱わないというのは、幸せも喜びも遠ざけてしまうことになってしまうのです。
人生で苦労をしてきている度合いだけ、また、自分に厳しい度合いだけ、自分を責めたり追い込んだりすることが当たり前で慣れてしまっていますから、自分で気づくことがとても難しいのです。
気づけないと、それを変えることが難しくなるのですが、逆に言えば、気づけば変える行動を移せるとも言えます。
◇誰かを大切にすることから気づく、自分を大切にするということ
しかしながら、自分を大切にできていないことに気づき、実際に大切に扱ってあげることはとても難しい。
まずは、自分を大切にするとはどういうことかを理解するところから始めていきましょう。
そのためには「自分にとって大切な人、幸せになって欲しい人、応援している人のことを思い浮かべる」ことがヒントになります。
ちょっと想像してみてください。
今、あなたにとって大切な友人がいたとします。
その人が落ち込んでいるので、元気づけてあげたい、と思ったとしますよね。
そしたら、どんなことをしてあげたいと思うでしょうか。なんと声をかけてあげたいと思うでしょうか。
「どうして落ち込んでいるの?」と聞いてあげる。
語りだしたら、その思いを受け止めてあげる。
「大丈夫だよ、元気だしなよ」と言ってあげる。
その人のいいところを伝えてあげる。
励ましてあげる「君は力があるんだから、やれるよ」「今回はうまくいかなかったかもしれないけど、次は絶対、大丈夫」
あるいは、どこかに連れていってあげたりすることもありますよね。
美味しいものを一緒に食べる。
リラックスできるカフェに行く。
映画を観る、呑みに連れて行く、コンサートに行く。
そんなことをしてあげたり、言ってあげたりしませんか?
これと同じことなんです。
「友人」を「自分」に置き換えてあげればいいんですね。
私たちは自分にとても厳しい心を持っています。
そのために、自分に何かをしてあげることに対して、まるで甘やかせてはダメだ!と言ってしまい、
やれなくなってしまうことがたくさんあるのです。
けれど、大切な誰かのためには、何かをしてあげたいと素直に思えます。
自分を大切にしてあげるとは、大切な誰かのために何かをしてあげることと同じだと思ってみてください。
◇がんばった自分を認めてご褒美をあげるという視点を持ってみましょう
自分に何かをしてあげる時は、例えば、以下のようなことを考えてみてください。
・マッサージに行く
・大好きなお菓子を買う
・素敵なカフェでまったりする
・好きなミュージシャンのライブにいく
・あえて本屋に出向いて気に入った本を3冊買う
こんな風に、楽しさ、喜び、安心感等、自分を喜ばせてあげられることをやってみます。
その際に注意していただきたいのは、何も考えないでやるのではなく、自分へのご褒美だと思ってやること、です。
「これは(今週、今月)がんばった自分へのご褒美だ」と心の中で宣言してから実行に移してあげてください。
実際にやってみると、何も考えないでお菓子を買うよりも、ご褒美と思って買う方が抵抗を感じることがあります。
もしそんな抵抗を感じたら、自分にご褒美をあげる価値がないと感じているんだな、と気づくチャンスになります。
これを積み重ねて、自分を大切にしていくことに慣れていってください。
やり続けていくと、最初は自分を喜ばせることがなかなか思い浮かばなくても、段々と思いつくようになっていきます。
こうして自分を大切にする練習をしていくと、ある時、ふと気づく瞬間がやってきたりします。
「今までいかに自分に厳しくしていたのか」ということに。
自分を大切にする練習、是非、お試しください。
(完)