パートナーにあなたのすべてを委ねられる?
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
パートナーシップにおけるいちばんの重大事は、パートナーに「あなたのすべてを委ねられるか?」ということかもしれません。
お金も、体も、すべてのことについてです。
独身時代はすべて自分でやらねばならないわけですが、その自分を愛してくれる人に委ねることができるのがパートナーシップであるとも言えるわけです。
親子関係においても、子ども時代のあなたは両親に自分を委ねていました。
そして、両親はなんでもしてくれたり、与えてくれたりしたわけですが、ある意味、これは親の趣味や意向に沿って生きていた時代ともいえます。
男女関係はそれとは異なり、あるジャンルはあなたの意向通りにして、あるジャンルはパートナーの意向通りにするなど、おたがいを委ねあう関係になります。
そして、そうすることによって、あなたには思いつかないような発想ややり方のもと、これからの人生を歩んでいくことも可能になります。
私はわが家にいるときは、ほとんどすべてのことを奥さまに任せています。
任せているのか、甘えているのかは微妙なところですが、つまり、私は家ではまったくなにもできないダメ亭主であるわけです。
しかしながら、家族旅行などのジャンルでは、うちの奥さまは私に丸投げでまったくなにもしません。そして、文句を言うこともありません。
私はできるかぎり、彼女が喜びそうなことを考え、さらに、私の人生経験の中で楽しかったことなども思い出しながら、旅行のプランを考えるわけです。
どちらにしても、ここで重要なのは、「相手を十分に信頼し、委ねられる」ということであるはずです。
対人関係は数々あれど、そこまでできる関係性はなかなかないものですからね。
昔の話ですが、私どもの受講生に、実家が自営業だという男性がいました。
家業のために、彼が子どものころから、おとうさんもおかあさんもつねに忙しかったということです。
子ども時代の彼は、自分のことはぜんぶ自分ですることにより、おとうさんとおかあさんの役に立とうとしていました。
で、結婚してからも、自分のことを奥さまに委ねるということは、「迷惑をかけること」と彼は認識していたのです。
そんな彼の口ぐせは「大丈夫、自分でできるから」だったのですが、奥さま側からすれば、彼になにを与えてあげようとしても、「いらない」と否定されてしまうようなものであるわけです。
そのうち、奥さまにはまるで自分自身が否定されているように感じられるようになってきて、夫婦の仲もこじれてきてしまいました。
じつは、彼の中にも「してもらいたい」ことはたくさんあったのです。
でも、いつも「迷惑じゃないかな?」と感じてしまい、「迷惑をかけるぐらいだったら、自分でやってしまえばいいや」と思っていました。
ですから、奥さまからすると、「彼をどう喜ばせたらいいかがわからない」とか「私じゃ不十分なんだ」と感じてしまうわけです。
このご夫婦はカウンセリングを利用してくださったので、カウンセラーが二人の間に入り、それぞれの思いを伝えるとともに、ご主人のリハビリを進めました。
ご主人に、「あなたが“迷惑をかける”と感じることのすべては迷惑ではなく、愛されるために必要なことなのだと考えをあらためてください。そして、一つでも二つでもいいから、奥さまになにかを頼んでください」とお願いしたわけです。
この実習により、彼のリハビリは順調に進みました。
みなさんはつまらない話だと思われるかもしれませんが、彼の場合、下着一つ買ってきてもらうのも悪いと思っていたのです。
奥さまは奥さまで、「彼には彼のこだわりの下着があるから、自分で買いにいくのかも‥‥」と思っておられたのですが、彼には別にこだわりなどなく、ただ、「妻に男性用の下着を買わせるなんて申しわけない」というだけだったのです。
リハビリ中も、彼の奥さんへの言葉は「いろいろと申しわけないね」というものが多く、「ありがとう」と言えるようになるまでには、さらに1年近くかかりました。
さて、あなたはどうでしょうか?
パートナーになんでも委ねられるようになり、そして、心から「ありがとう」と言えるようになれば、夫婦関係もパートナーシップもだいぶ改善できるはずですよ。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!