ミスは自分への投資

ミスはしたくないと思っていても、仕事をしている中でミスをした経験は誰にだってあると思います。
そのミスを経験として上手く自分に取り込めるようになると、ミスへの恐れも軽減されます。

〇ミスをしてしまった時の気分

あなたが、うっかりミスをしてしまった時はどんな気分でしょうか?

「どうしよう、どうしよう」
「ああ、やっちゃった・・ 私って駄目だなあ」
「なんでこんなミスしちゃったんだろう、なんで気づかなかったんだろう」
「みんなに迷惑をかけちゃって申し訳ない」
「きっと仕事ができない奴だと思われた」
「みんなになんて思われてるんだろう」
「私はここに居られない」
「責任をとってもう辞めるしかないのかも・・」

と動揺や焦りから始まり、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、罪悪感が湧いて自己嫌悪や自分責めをしてしまいます。

「ちゃんと教えてくれないから、見ててくれないからこんなことになる」
「まだ慣れてないんだから、ちゃんとチェックしてよ」
「私だけが悪いわけじゃないのに・・・」

と、誰かのせいだと思いたい、責任転嫁したい気持ちになることもあるでしょう。

真面目でキチンと仕事をしたいと思っているからこそ、迷惑をかけてしまったことが申し訳なさ過ぎて、私たちは自分を強く責めます。
その責めが強くなりすぎると、誰かを責めたい気持ちになるのです。
誰かを責めている時だけは、自分を責めなくてよいからです。

〇なぜミスをしてしまうのか?

ミスを誘発する原因のひとつに、仕事場で緊張しすぎていて気持ちに余裕がないことがあげられます。

就職して初めて仕事をする、転職や異動で新しい職場で仕事を始める時、その職場環境や一緒に働く人、仕事に慣れるまである程度時間がかかります。
覚えることも学ぶことも多い上に、しっかり仕事をしなきゃと思ってつい肩に力も入ります。

一生懸命に頑張る人ほどこんなふうに思っていないでしょうか。

「早くみんなのように仕事ができるようにならないと、みんなに迷惑をかける」
「がっかりされる」
「仕事ができないと馬鹿にされるのではないか」
「役に立たないと思われると、ここに居られない」
「出来ないと怒られる(のが怖い)」

そうすると、余計な力が入ってしまうし、人の目や思惑が気になったりもするしで、リラックスした状態からは遠くなってしまいます。

上司や先輩から、たとえアドバイスであったとしても何かを指摘されたと思うと、「ああ、どうしよう!!」と頭が真っ白になってしまうかもしれません。
余裕がなくなってしまうと、ミスも起こりやすくなると思いませんか。
緊張しすぎていると、真剣に教えやアドバイスを聴こうとしても、頭に入りにくくなってしまいます。

人によっては、たった一度の小さなミスでも、もう取り返しがつかないくらいに思って自分を責めてしまい、その落ち込んだ気分からなかなか抜けられなくなることがあります。
そうなると、先に書いたような自己嫌悪や責任転嫁で心の中がいっぱいいっぱいになってしまうことはよくあります。

さっきや以前のミスを思い出しては、何度も何度も頭の中で繰り返し、自分を責めたり、誰かのせいにしてみたりと心の中は忙しい状態になっているので、それがまた次のミスを引き寄せてしまうことになってしまうのです。

ミスで落ち込んでいると、また続けてやらかしちゃった・・・、なんて経験をしたことがある人は少なくないと思います。

○ミスをしてしまったら

誰だってミスなんてしたくありません。
もし、あなたがミスすることを極度に恐れているとしたら、何をするにしても、どこかビクビクしたり、自信が持てなかったりという気持ちになってしまいます。

だけど、仕事が忙しすぎたり、体調や気分がすぐれないような時にも、いつもならやらないようなミスをしてしまうこともあります。
どれだけ気をつけていても、何か所ものチェック事項をスルーして起きてしまうミスもあるでしょう。

そんな時、そのミスの修正方法(リカバリー)を知っているだけでも、気持ちは落ち着きます。
大事なのはミスをした時に、そこでどうするかを考え対応できることだと思います。

もちろん、その仕事をキチンと理解して、しっかり覚えて、自分なりにミスを防ぐようなやり方を持っておくことは大事です。
でも、ミスが起きても、それをリカバリーするには、「ああして、こうして・・」ということが頭に浮かべば、それを乗り切ることができます。
ミスが起きた直後は誰もが落ち込みもするでしょうけれど、なんとかなるとわかれば心は少し落ち着き、冷静になれます。
自分が対応できるのならそれでもいいし、上司や先輩に助けてもらって乗り切ってもどちらでもいいのです。

○ミスを自信につなげていく

私たちはミスをしてしまった時に、「なんであんなミスしちゃったんだ、どうして気づかなかったんだろう」とその失敗を延々と責め続けます。
けれども、ミスがあったからこそ気づけることもありますし、失敗してわかること、学べることもあります。

あえて言うなら、取り返しのつくミスや失敗は最初の頃に経験しておくといいとも言えます。
そして、その時にリカバリーの仕方(対処方法)を学んでおくと、その時は辛い思いをしてもいずれそれが良い経験になります。
そうすると、ちょっとしたミスもそれほど怖くなくなっていきます。

同じミスは何度もしない方がいいのですが、過去に経験したことがあるミスであれば機転を利かせて乗り切ることができますし、それができると自分への自信にもつながります。

ただし、次からはミスしないようにと、振り返り(反省)は大切です。
ミスした時の状況を客観的に振り返り、ミスの原因を理解して、今後はどうすればいいのかと考えればいいのです。

ミスをした自分を、「なんて私はダメなんだ、なんてことをしてしまったんだ」と責めを続ける必要はありません。ミスは修正すればいいのです。
私たちは、反省のつもりで自分バッシングをしていることも多いので、そこは気をつけてくださいね。

ミスを自分へのダメ出しに使うのではなく、ある意味自分への投資と考え、その経験を自分の自信へつなげていこうと意欲をもつだけでいいのです。

ミスをしてとても落ち込んでしまうあなたは、それだけ仕事はきっちり、しっかりやっていきたい、人の力になりたい、という強い信念があります。そのご自身をどうぞ信頼してくださいね。

お読みいただき、ありがとうございました。
あなたにとって何らかの気づきやヒントになれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。