誰も頼らず一人でがんばり続けたから燃え尽きたのだとしたら

この問題が誰にも頼らず一人でがんばってきたあなたに訪れた人生を変える転機になるとしたら

もし、あなたが一人でがんばり続けることが相手を寂しくさせていたのなら、逆に頼りにする助けを求めることが解決への道。この問題は、一人でがんばらなくていいことを学ぶためにやってきたチャンスなのかもしれません。今、パートナーシップはもちろん、人生を変える転機が訪れたのかもしれないのです。

前回は、デッドゾーンを抜けるために取り組む意欲を取り戻す3つの視点をお伝えしましたが、その中にも出てきたのが
「今まできちんとしっかりと我慢強くがんばってきた人」だからこそ、燃え尽きやすく、この問題が起こったことを苦しむ、というお話。

これは、デッドゾーンに至る原因はここにあるとも言える話なのです。

デッドゾーンという燃え尽きの原因の大きなひとつは「すべて自分一人でがんばってきた」ことにあります。
もしも、これが本当だったとしたら。一度、そう考えてみてください。

今までのやり方でうまくいかない場合、今までやったことのない方法を試す、というのは、問題解決の手段一つです。

だとしたら、今、必要なのは自分ひとりでやらないこと。
誰かに助けを求めたり、自分の思いを誰かに話したりと、誰かを頼りにすることなのかもしれない、と思ってみてください。

◇一人でがんばり続けることが相手を寂しくさせるとしたら

パートナーシップの問題の原因をみていくと「一人で誰にも頼らずがんばりすぎてしまった」ことが理由になっている場合が見受けられます。

この連載の第一回に例として出したこのケースを見てみましょう。
「浮気した彼を責め続けてきたけど、それに疲れたし、なのに怒りが止まらない自分に嫌気がさしている」

こうした思いをもっている女性が彼の前でも「誰にも頼らず一人でがんばり続ける」タイプだったとします。
彼の前では弱音を吐かず、きちんとしっかりしなければいけない、と常に自分に厳しくがんばっていたとしたら。

もしかしたら彼は、

「本音を言ってもらえなくて寂しい」
「自分は必要ないのではないか」
「自分より大切なもの(仕事や子ども等)があるんじゃないか」

こんなふうに感じてどんどん寂しくなっていったのかもしれません。

しかし、この女性だって好き好んで「誰にも頼らず一人でがんばり続け」てきたわけではありません。
理由があってのことです。

例えば、
・幼い頃から成績優秀で家族の期待を一身に背負ってきたとか。
・病気がちな母親のサポートをずっとやり続けてきたとか。

こうした人生を送ってきたら、きちんとしなければ、しっかりしなければ、と甘えることができず、自分に厳しくなってしまうのは無理もない話です。

でも、大切なのは、ケースはいろいろでも(親が厳しすぎて褒めてもらったことがないような時でも)、しっかりしなければいけない理由は「誰かを助けるためにやっている」ことを知っておくことなんです。

自覚がない人がとても多いのですが、もし「誰にも頼らず一人でがんばり続ける」ことが誰かのためになることと思っているとしたら、大切な人愛している人の前ほど、これをやってしまいます。

長いことこのやり方を積み重ねてきたのでパターンになってしまって止めにくいという理由もありますが、大きく働く力としては、誰かのために役立つと思うから止められないということもあるのです。

もしそうだとしたら、あなたはものすごく大きな優しさと愛情を持っている人になりませんか?
誰かのためにぐっと頼る気持ちを我慢して、一人でがんばりつづけるなんて、愛の大きな人にしかできないことです。

この辛い出来事は「自分の中にある大きな優しさと愛に気づく」ために起こった問題なのかもしれない、と気づいた時。
デッドゾーンを抜けていく大きな力になります。

◇一人でやらず誰かと共に進んでいくことを学ぶチャンスだとしたら

もし、あなたが一人でがんばりすぎていたからデッドゾーンがやってきたのだとしたら、誰かを頼ることが抜け道になります。

先の例で言えば、夫に自分の「素直な」気持ちを伝える、頼り甘えられるようになる、ということができるようになるといいのですが、なかなかそう簡単にはいきません。

そこで、まずは、誰かにあなたの素直な気持ちを話してみるところから取り組んでみましょう。

私がカウンセリングでこの提案をさせていただくと、ご相談者さんから
「私は、いつも周りの友達に愚痴を聞いてもらってます。それなのに一人でやってることになるんですか?」
と言われることがあります。

確かに愚痴は話してるかもしれませんが、愚痴と弱音は違います。
あなたは、自分の本当の気持ちや弱音を誰かに話せているでしょうか。

この質問をさせていただくと「本当の弱音って何ですか?」とのご質問をいただくことも、しばしばあります。

もし、自分でも気がつけない弱音があるとしたら、どうでしょう。

例えば、

ずっとひとりでがんばってきて寂しかった。
ずっと助けて欲しかったのに、助けてと言えなかった。

こんな感じです。

本当の気持ちや弱音は誰にも話せないと思われるかもしれません。
話せる人が周りにいないと思われるかもしれません。

でも、必ずあなたの声を聴いてくれる人はいます。

あなたの周りを見回してみましょう。
家族、友人、そして仲間。
もしかしたら、何年も会っていない昔の同級生が今、あなたが胸のうちを話せる存在である、なんてこともあり得ます。

親しいか親しくないかに関わらず、範囲を広げて、あなたの感覚を頼りに探してみましょう。
それが今まではできなかったヘルプを出せる人を探すヒントです。

誰かに自分の本当の気持ちや弱音を聴いてもらうことが、パートナーに思いを伝える練習になります。
それが、この真っ暗闇の中に出口を見つける足がかりになっていくことも多いのです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。