理想の自分と、今の自分が戦っていませんか?
こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『服部希美』が担当します。
私たちは誰しも「こうありたい」という理想の自分を描くものですよね。
そういった理想があるからこそ、よりよい自分になるための努力ができたり、挫折や困難を乗り越えることができたり、達成する喜びを感じることができたりします。
ですが、その理想を求めるがあまり、頑張り過ぎて燃え尽きてしまったり、そうなれない今の自分に失望し、やる気を失ってしまうこともあるようです。
心理学では、理想の自分と今の自分がほどよい距離感にあるときに、一番、意欲が湧き、理想に近づきやすくなり、
理想の自分と今の自分との距離が離れすぎていると、やる気がなくなったり、諦めやすくなるなんて言われています。
では、どうしてそれほどまでに、理想の自分が今の自分とかけ離れてしまうのでしょうか。
ケースバイケースではありますが、今日は「完璧主義」の視点からお話ししたいと思います。
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私たちは、自分に自信がない分だけ、無意識のうちに「理想の自分=完璧な自分」で思い描いてしまいやすいと言われています。
たとえば・・こんな理想の自分を描いていらっしゃる人がいるかもしれませんね。
仕事も恋も家事も趣味も・・全てを完璧に両立できている、キラキラした自分。
誰にも嫌われず、みんなから寄ってきてもらえるような、人気者の自分。
失敗もミスもしない、できる自分。
たしかに、そんな人になれたらステキですよね^^
なりたい自分になる努力をすること自体は、まったく悪いことではないと思うのです。
ですが、人間である以上、どんな人だって、得意なこともありますが、苦手なこともありますね。
まったく失敗をしない人、というのもいないと思うのですが、自分に自信を無くしていると「価値がない分、完璧な自分に変わらないと愛されない」と感じてしまいます。
その結果、理想の自分に完璧を求めれば求めた分だけ、「〜ありたい自分」と「今の自分」今の自分がかけ離れてしまうのです。
そして「理想の自分」と「今の自分」がかけ離れてしまうと「さらに、自分で自分のことを認められなくなり」自分を責め過ぎてしまったり、周りにも評価されているにもかかわらず「たかがこのぐらい」と受け入れられなくなってしまいます。
たとえば、100点満点のテスト。自分なりに勉強を頑張ったとしても・・
100点でなければ意味がない、と完璧を求めてしまえば、100点以外には意味を感じなくなってしまいますよね。
たとえ50点しかとれなかったとしても、50点を取るだけの努力や能力が、その人にはあるはずなのに、自分のことをどんどんと失望していってしまいます。
そして、理想とかけ離れている「今の自分」を感じるとき、私たちはとってもイヤなな気持ちになりますから、辛い気持ちを回避したくなり「所詮、自分には無理なんだから頑張ったって無駄」と理想の自分を切り離してしまう、ということが起きてしまったりするのですね。
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とはいえ、単純に「所詮自分はこのぐらいの人間なのだから、理想の自分になんてこんなものさ」なんて「自分へのいい期待を手放してしまう」のも、少し、さびしいことじゃないかな、と私は思うのです。
一生いっしょに生きていく、自分を見捨てているのと同じことだと思うから・・。
ということで、今日は、こういった場合に意識するといい視点を2つご紹介したいと思います。
・理想の自分を見直してみる
・今の自分を見直してみる
理想の自分は、その人にとって「とても大切なもの」や「意欲」が元になっています。
まずは「自分が何を大切に思っているのか」を掘り下げて、理想の自分を見直してみましょう。
たとえば「仕事も恋も家事も趣味も完璧に両立できている、キラキラした自分」になって、どんな気持ちを感じたいのでしょうか?
なぜ、そんな自分になりたいなと思ったのでしょうか。
それは、完璧な自分にならなければ感じられないことなのでしょうか?
もしも「自分のことを、ステキだなと感じられるような人生を歩んでいきたい」と感じたのであれば、「理想の完璧な自分」だけでなく「いまの自分のステキなところや、今あなたが持っているステキなもの」も見つけてみましょう。
そして、そんな思いで努力している今の自分、頑張ってきた自分も十分にステキなんだと、理想の自分に近づく過程の自分の素晴らしさにも気づき、認めていきましょう。
今の自分と理想の自分が戦うのではなく、今の自分を労い、認め、励ましながら、理想の自分に近づいていく。
理想の自分像も時折見直し、「自分らしく、自分を幸せにするもの」に修正していく。
そんな心持ちで、自分のベストを尽くしていくことができると、理想の自分と今の自分との距離が、だんだんと近づいてくるようですよ。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
(完)