知らない間に自己否定して疲れてしまうとしたら・・・
■良くするには、あなたならどうする?
あなたが、ある老舗 冷蔵庫メーカーの商品開発の担当者だとします。
社長から商品開発の担当者として、今年モデルの冷蔵庫の 開発を任されたとします。
「去年より良い商品を出してくれよ」と社長に期待をかけられたします。
あなたなら、去年より良い商品をだす為にどんなことを考えますか?
今までになかった冷蔵庫を作る為に、ゼロから全く新しいアイディアを生み出そうとするでしょうか?
今ある商品と違う商品を合体させるという考え方をするでしょうか?
(例えば、冷蔵庫とテレビを合体させてテレビも見える冷蔵庫とか)
色々な考え方はあると思いますが、よくある考え方として、今ある商品の問題点を改良して良い商品にしていこうという考え方があるかと思います。
「今までの商品の使い勝手が悪かったところを改良して、今年の商品は使いやすくなりました」と言うようなものです。
■問題を洗い出して改善する
これって、商品開発だけではなく、いろんな事にこの考えが使われることがあると思います。
例えば、
仕事というシーンだったら、”労働環境の問題点を洗い出して、より働きやすい職場にしていこう”など労働環境の改善をすることにこの考え方が使われることもあるでしょう。
個人というレベルでは、「私は引っ込み思案のところがあって損をしているから、もっと自分の思ったことを表現していこう」などのように個人的な改善にこの考え方を使うこともあります。
改善、改良、進化、成長などを目指すときに、今ある問題点を見つけて、そこからから改善、改良、進化、成長していこうとすることがあります。
あなたもこのような考え方を使うことってあるんじゃないでしょうか?
カウンセリングをしていても、クライアントさんからこのような考え方をお聞きすることがあります。
例えば、
「今のままじゃダメだから幸せになる為に変わろうと思っているんです」
とか
「今までの自分だと同じ失敗を繰り返すから成長しようと思うんです」
などのように
「今の自分ではダメだ」とか「このままじゃいけない」という内容のお話をお聞きすることがあります。
幸せになるために、状況を良くするために問題意識をもって変わろうとするって、すばらしいと思います。
■知らない間に自己否定
しかし、そのすばらしい考え方のはずのものが、時にはクライアントさん自身を疲れさせてしまうことになっていたというケースにお会いすることがあります。
「今の自分ではダメだ」とか「このままじゃいけない」というのは、問題意識を持つ言葉でもありますが、今の自分を否定する言葉にもなっていると思いませんか?
否定の言葉でもあるのでその思い(否定のパワー)が強く働いた時は、自分を傷つける言葉になることがあります。
その為、
幸せになる為に、状況をよくする為に「今の自分ではダメだ」とか「このままじゃいけない」と思って頑張っているのですが、否定の要素が強くなりすぎた時にはご自身の心を疲れさせてしまうことがあるようです。
例えば、
今まで癇癪を起こして何人もの友達関係を壊してきた人が
「今の自分のままではダメだから感情をコントロールできるようにならなければ」
と思ったとします。
しかし、変化には多少時間を要するものの為、すぐには感情をコントロールできるようにはならず再び癇癪を起こしてしまったとします。
“今の自分はダメだ=癇癪を起こす部分”だったわけですから、癇癪を起こした自分をダメだと思ってしまいます。
自分ってダメだな・・・と。
そして同じことを繰り返している自分を責めて、何とか自分を変えようと”強く”思ったとします。
今の自分のままじゃダメだ変わらなければ、
今の自分のままじゃダメだ変わらなければ、
今の自分のままじゃダメだ変わらなければ、
今の自分のままじゃダメだ変わらなければ、
今の自分のままじゃダメだ変わらなければ・・・
と、
一日の内に何回も、日々繰り返し心の中で自分にプレッシャーをかけて何とか自分を変えようとしたとします。
これ、心が疲弊してしまうと思いません?
■心を回復させる為の戦略に切り替えよう
自分を否定する言葉が繰り返し唱えられていると(もしくは強い思いを込めて唱えられていると)心が疲弊していきます。
自己肯定感も傷ついていきます。
自分を(もしくは状況を)変えようとすることは良いことなのですが、その思いが強くなりすぎて自己否定に意識のパワーを注ぎ込んでしまっている結果になってしまっていることがあります。
自分を(もしくは状況を)変えようと頑張って、気づいたら自己否定にパワーが注ぎ込まれて心が疲弊してしまったり、自己肯定感が下がってしまっている時は、「今の自分ではダメだ」とか「このままじゃいけない」と自分にかけているプレッシャーを緩めてあげるような言葉をご自身にかけてあげましょう。
「そんなに急いで変わらなくてもいいんだよ」
「今の自分をそんなに悪く思わなくて良いんだよ」
「今だって充分頑張ってるじゃないか」
などとプレッシャーを緩めるような言葉をかけてあげて、
「今の自分ではダメだ」とか「このままじゃいけない」と繰り返し思わなくてもいいように(もしくは強く思わなくてもいいように)していきましょう
そうやって何かを改善する為の戦略から、心が疲弊し続けることや、自己肯定感が下がり続けることへのストップをかける戦略に切り替えるのです。
プレッシャーを緩めてあげると、時と共に弱った心が回復していくでしょう。
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あなたが問題点を見つけて、そこを改善しようとすることは、とても良いことです。
だけど、もし心が疲れた時は改善することよりも、弱った心を回復させることを優先してください。
心が元気になったら、また良くなる為に何かを変えることを頑張れば良いと思います。
それまでは、弱った心に無理をさせないであげてくださいね。
(完)
- 心が疲れた時は疲れた自分を受けいれ自分を労ることがいる時
- 期待の心理が作る心の疲れ〜自分への期待を手放す時〜
- 完璧主義が作る心の疲弊〜完璧にできなくてもいい〜
- 問題を改善しようとして疲れてしまった〜知らない間に自己否定〜